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第3部 周りと仲良くしろと言われました
81.他国からの贈物の扱いはとても困ります
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いつも通り朱雀も玄武の室で待っていて、玄武をサポートするように動いた。
二神は毎晩のように香子を抱く。抱かれるのはたいへんだが、身体が慣れてきているようだと香子は思う。
そろそろ朱雀の”熱”を与えられなくても玄武を普通に受け入れられそうではあるが、それを自分から言うのは少し恥ずかしい。以前朱雀の”熱”を断ったことがあったが、あの時の朱雀はしょげかえってしまってたいへんだった。
(もし……もしもだけど……私が玄武様に嫁いだら朱雀様の”熱”はもうないんだよね?)
あの狂おしいほどの熱は朱雀からでなければ受けることはできない。
香子は”熱”を受けたいわけではない。だがそれが朱雀の愛だというのならば受け止めたいとは思う。
いつも通り朱雀から”熱”をもらい、香子は泣きながら二神を受け入れた。四神の愛は熱くて重い。確かにずっと同時では耐えられないだろうと香子も思う。
(でも、一年じゃ足りないような気がするんだよね……)
会って一週間で玄武の腕の中に囚われたけど。それを思い出して香子は軽く首を振った。
そんな、軽い女ではないと香子は自分のことを思いたい。
『香子、如何した?』
『あ……』
余計なことを考えていたのがバレて、朱雀にいっぱい胸をいじられて白状させられた。朱雀は意地悪だと香子は思う。
『香子、乳首を舐めてもいいか?』
『だ、だめですっ……ああっ……』
玄武に聞かれたけどそれは確認するだけのことで、結局玄武に乳首を舐められてしまった。もうエロすぎて嫌だ。そんな風にしてその夜も過ぎた。
翌朝、例のごとく朝食を玄武の室に運んでもらって食べている時に、皇帝からの遣いが来たと白雲が言った。
『遣い? 皇帝から?』
何の件だろうと思ってから思い出した。オロス王が張錦飛に迷惑をかけていた件についてである。
『内容は?』
『お詫びに宴席を設けたいと言っているようです』
白雲にそう言われ、香子は眉を寄せた。冗談ではないと思ったのだ。
『宴席になんか出たくないわ。張老師だって迷惑なはずよ。それだったら古今東西のおいしい料理を張老師の館に運ぶことぐらいできないのかしらね? 当然四神宮にもね』
『伝えておきましょう』
『よろしくね』
白雲は玄武の室を出て行った。
『宴席は嫌か』
玄武が嬉しそうに言う。玄武だって嫌なはずだと香子は思った。
『玄武様だって嫌ですよね? 宴席なんていったらいろんな人が来るでしょう? 私も張老師も見世物ではありません。それに、何度も言いますが皇帝の顔は見たくありません!』
つい先日見ただけでもムカムカしたのだ。口実をつけて呼び出すとは何事だと香子は思う。
『そうだな。我も宴席はいらぬ』
『我もいらぬな』
朱雀も同意してくれ、香子はさもありなんと思った。極力皇帝には会いたくない。あの如何にも俺はモテて当たり前という顔を見ると香子は腹が立ってしょうがないのだ。皇帝がモテるのは当たり前だ。国のトップなのだから。それにそれなりにイイ顔をしている。だから余計にムカつくのだ。
基本的に香子は女性の味方だから猶更である。皇后を冷遇したことは一生許さないだろう。
そこでこの話は終ったかと思ったがオマケがあった。
『え? 贈物? オロス王から?』
『はい、それもとても多いとのことで花嫁様に確認してほしいとのことでございます』
午後、白雲に言われて青龍と共に謁見の間へ向かった。
『わぁ……』
謁見の間にところ狭しと贈物を乗せたお盆のようなものが運び込まれた。よくもまぁこんなに金銀財宝をよこしたものである。
『花嫁様が気に入ったものがあるとよいのですが……他国からの贈物なので販売も難しいかと』
四神宮の主官である趙文英が困ったように言う。香子は頷いた。
『青龍様、下ろしてください』
抱き上げられたままだと贈物を見ることができない。目録はもらったがやっぱり何があるのかさっぱりだった。オロス語を漢字で当て字しただけの名称が多いものだから、目録程度で理解できるはずはなかった。
赤や金といった色味のものが多いような印象だった。金の延べ棒などはいずれ何かの資金調達に使えるだろうと、とっておくことにした。宝石についてはよほど珍しいものを除いて販売するように指示した。
問題は衣裳である。
『綺麗だとは思うけど……着方がわからないのよね』
民族衣装はどこの国の物でも素晴らしいと香子は思う。ただどうやって着たらいいのかわからないし、かといって着せてもらう為に他国の人間を四神宮に入れるわけにはいかない。なかなかに難しい。
『衣裳って、いっぱいあるのよね?』
『はい』
趙が沈んだ声で答えた。香子用の倉庫は今とんでもないことになっているとは聞いている。とにかく贈物が多すぎるのだ。だから一部を販売させることにしたのだが、それでも間に合ってはいないのが現状だ。
『困ったわね』
これで香子が誰に嫁ぐか決まっていればその神の元へ送ればいいのだが、まだ香子には決められないので四神宮で保管しておくしかないのだ。
『衣裳とかって誰かに相談できないかしら?』
そう呟いてから皇太后のところで会った宮廷御用達の仕立て屋を思い出した。
『老仏爺(皇太后)に相談しましょう』
ただ倉庫の肥やしにしかならないのならば、発想を変えればいいのだ。青龍には一度香子の部屋に寄ってもらい、延夕玲に頼んで手紙を認めさせたのだった。
二神は毎晩のように香子を抱く。抱かれるのはたいへんだが、身体が慣れてきているようだと香子は思う。
そろそろ朱雀の”熱”を与えられなくても玄武を普通に受け入れられそうではあるが、それを自分から言うのは少し恥ずかしい。以前朱雀の”熱”を断ったことがあったが、あの時の朱雀はしょげかえってしまってたいへんだった。
(もし……もしもだけど……私が玄武様に嫁いだら朱雀様の”熱”はもうないんだよね?)
あの狂おしいほどの熱は朱雀からでなければ受けることはできない。
香子は”熱”を受けたいわけではない。だがそれが朱雀の愛だというのならば受け止めたいとは思う。
いつも通り朱雀から”熱”をもらい、香子は泣きながら二神を受け入れた。四神の愛は熱くて重い。確かにずっと同時では耐えられないだろうと香子も思う。
(でも、一年じゃ足りないような気がするんだよね……)
会って一週間で玄武の腕の中に囚われたけど。それを思い出して香子は軽く首を振った。
そんな、軽い女ではないと香子は自分のことを思いたい。
『香子、如何した?』
『あ……』
余計なことを考えていたのがバレて、朱雀にいっぱい胸をいじられて白状させられた。朱雀は意地悪だと香子は思う。
『香子、乳首を舐めてもいいか?』
『だ、だめですっ……ああっ……』
玄武に聞かれたけどそれは確認するだけのことで、結局玄武に乳首を舐められてしまった。もうエロすぎて嫌だ。そんな風にしてその夜も過ぎた。
翌朝、例のごとく朝食を玄武の室に運んでもらって食べている時に、皇帝からの遣いが来たと白雲が言った。
『遣い? 皇帝から?』
何の件だろうと思ってから思い出した。オロス王が張錦飛に迷惑をかけていた件についてである。
『内容は?』
『お詫びに宴席を設けたいと言っているようです』
白雲にそう言われ、香子は眉を寄せた。冗談ではないと思ったのだ。
『宴席になんか出たくないわ。張老師だって迷惑なはずよ。それだったら古今東西のおいしい料理を張老師の館に運ぶことぐらいできないのかしらね? 当然四神宮にもね』
『伝えておきましょう』
『よろしくね』
白雲は玄武の室を出て行った。
『宴席は嫌か』
玄武が嬉しそうに言う。玄武だって嫌なはずだと香子は思った。
『玄武様だって嫌ですよね? 宴席なんていったらいろんな人が来るでしょう? 私も張老師も見世物ではありません。それに、何度も言いますが皇帝の顔は見たくありません!』
つい先日見ただけでもムカムカしたのだ。口実をつけて呼び出すとは何事だと香子は思う。
『そうだな。我も宴席はいらぬ』
『我もいらぬな』
朱雀も同意してくれ、香子はさもありなんと思った。極力皇帝には会いたくない。あの如何にも俺はモテて当たり前という顔を見ると香子は腹が立ってしょうがないのだ。皇帝がモテるのは当たり前だ。国のトップなのだから。それにそれなりにイイ顔をしている。だから余計にムカつくのだ。
基本的に香子は女性の味方だから猶更である。皇后を冷遇したことは一生許さないだろう。
そこでこの話は終ったかと思ったがオマケがあった。
『え? 贈物? オロス王から?』
『はい、それもとても多いとのことで花嫁様に確認してほしいとのことでございます』
午後、白雲に言われて青龍と共に謁見の間へ向かった。
『わぁ……』
謁見の間にところ狭しと贈物を乗せたお盆のようなものが運び込まれた。よくもまぁこんなに金銀財宝をよこしたものである。
『花嫁様が気に入ったものがあるとよいのですが……他国からの贈物なので販売も難しいかと』
四神宮の主官である趙文英が困ったように言う。香子は頷いた。
『青龍様、下ろしてください』
抱き上げられたままだと贈物を見ることができない。目録はもらったがやっぱり何があるのかさっぱりだった。オロス語を漢字で当て字しただけの名称が多いものだから、目録程度で理解できるはずはなかった。
赤や金といった色味のものが多いような印象だった。金の延べ棒などはいずれ何かの資金調達に使えるだろうと、とっておくことにした。宝石についてはよほど珍しいものを除いて販売するように指示した。
問題は衣裳である。
『綺麗だとは思うけど……着方がわからないのよね』
民族衣装はどこの国の物でも素晴らしいと香子は思う。ただどうやって着たらいいのかわからないし、かといって着せてもらう為に他国の人間を四神宮に入れるわけにはいかない。なかなかに難しい。
『衣裳って、いっぱいあるのよね?』
『はい』
趙が沈んだ声で答えた。香子用の倉庫は今とんでもないことになっているとは聞いている。とにかく贈物が多すぎるのだ。だから一部を販売させることにしたのだが、それでも間に合ってはいないのが現状だ。
『困ったわね』
これで香子が誰に嫁ぐか決まっていればその神の元へ送ればいいのだが、まだ香子には決められないので四神宮で保管しておくしかないのだ。
『衣裳とかって誰かに相談できないかしら?』
そう呟いてから皇太后のところで会った宮廷御用達の仕立て屋を思い出した。
『老仏爺(皇太后)に相談しましょう』
ただ倉庫の肥やしにしかならないのならば、発想を変えればいいのだ。青龍には一度香子の部屋に寄ってもらい、延夕玲に頼んで手紙を認めさせたのだった。
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