378 / 597
第3部 周りと仲良くしろと言われました
75.四神の嫉妬に付き合うのはたいへんです
しおりを挟む
とろとろである。
香子は自分が蕩けた自覚はあった。
白虎は最後までは香子を抱かなかったが、香子の全身をいつも通り舐め回した。
四神の学習能力はとても高く、香子が感じるところは全てチェックしてそこだけを重点的に触れているようだった。おかげで最後まで抱かれなくても香子はたいへんなことになってしまう。白虎の毛にしがみつき、香子は白虎の愛撫を受けた。
「~~~~~ッッ!?」
感度が上がっているのが自分でもわかるので、香子はどうしたらいいのかわからない。ちょっと油断するとすぐ求められてしまう。
白虎に抱かれてから四神のアピールが更に激しくなったと香子は思った。
(これでも落ち着いた状態なの……?)
四神全てに抱かれたことで香子も気持ちがだいぶ落ち着いてきているのは感じていた。精神は全てに作用する。
「あっ、あっ、あーーーーーっっ……!」
『そなたを今宵抱く。よいだろう?』
『……は、はい……』
『素直なそなたも愛しくてならぬ……』
香子は背中をべろりと舐められてびくびく震えた。慣れてきたのか、白虎の本性を現わされて触れられてもあまり恐ろしいとは思わなくなった。白虎がどこまでも紳士的だからだろう。それでも虎が恐ろしい猛獣だということは間違いないので、それは忘れないようにしようと香子は思った。
香子は夕飯をなにがなんでも食べたいのでそれまでには一旦解放してもらった。あれからずっと愛撫を受け続けてぐったりである。
(だから愛欲の日々はまだ嫌なのに~……)
少しでいいから一人にしてほしいと香子は思う。
(結婚したら……私の部屋も用意してもらおう……)
まだ先の話ではあるが、あと半年弱である。最初の一か月が異常に濃かっただけで、その後の時間の過ぎ方は少しずつ加速しているように香子には思えた。それが慣れによるものだということは香子にもわかっている。まだ半年あると考えるか、もうあと半年しかないと考えるかでも違ってくる。
髪を直し、衣裳を改めて用意されて着替えさせられた。礼服とまではいかないが、茶会に着ていった衣裳は白虎のおかげでくしゃくしゃになってしまった。本当に、こういう衣裳というのは着た後はどうなっているのだろうと香子は考えてしまう。貧乏性なのかしら? と香子は思った。
やっと侍女が満足して着替えを終え(侍女たちは香子を着飾ることに命をかけている)、居間に向かうと白虎が待っていた。当たり前のように香子は抱き上げられる。侍女たちは目を伏せているようだったが、それでも視線を感じる。香子は心配そうに自分を見ている紅児に笑んだ。紅児は優しい子だと香子は思う。だからこそ紅夏とは改めてしっかり話さなければいけない。
(他にも考えなきゃいけないことはあるのだけど……)
延夕玲のことも気になるし、香子の頭の中はなんだかんだいって忙しかった。
夕食の席はいつも通りだった。香子はやっとおいしくごはんが食べられた。
『おいしい……』
シンプルな、ジャガイモを千切りにした炒め物がおいしい。なんでこんなにしゃきしゃきになるのか聞いてみたい。アクセントに入れられているピーマンの細切りもいいかんじだ。これは香子のリクエストである。毎日豪華な食事よりも庶民が普通に食べるような料理がいいのだ。にんにくのみじん切りも一緒に炒めてもらったのでたまらない。匂いは気になるかもしれないが香子はにんにくの味が大好きだった。
『そなたは本当においしそうに食べるな』
白虎が言う。
『おいしいですから!』
いつもの答えだ。レンコンとひき肉を炒めてもらったものもとてもおいしい。あく抜きもされているのでしっかり白い。大陸で食べていた時はあく抜きがされていなかったのでマーブルがかっていたものが普通に出てきた。でもおいしかった。ちゃんとした料理人はあく抜きとかもしっかりするのだなと再認識した。なにせ香子は学生だったからそんなに高級な店には行ったことがなかったのである。
ごはんの後は茶室に移動して今日のことを話した。すでに朱雀がみなに念話で伝えていたようだが、四神は香子のとりとめもない話を聞くのも好きなようである。
『……ボースーの大使は許せませんな』
青龍が涼やかな声で恐ろしいことを言う。
『何かしようとしちゃだめですよ?』
『なにゆえに』
『白虎様が怒ってくださいましたから。皇帝がよいように取り計らうでしょう』
青龍は一瞬眉を寄せた。
『……あの皇帝を信用するのか?』
『なれば、どう対応したか文書でも出させましょう。青龍様』
『うむ』
『私はもう皇帝には関わりたくないのです』
”皇帝”という単語を出しただけで反応されるのがいただけないと香子は思う。あれだけ皇帝は毛嫌いしていると伝えているのに。だがそういうことではないのだということも香子は知っていた。もう香子が人間の男を指した単語を口にするのが許せないのだ。こればかりは四神の本能であるからしかたない。
『だからこの話はもう終わりにしてくださいませ』
『わかった』
青龍がやっと引き下がった。
『香子、今宵は白虎と過ごすのだな』
朱雀がニヤニヤしながら言う。香子は朱雀を睨んだ。
『はい』
『朱雀兄、よろしくお願いします』
白虎が頼むのを朱雀は知っていて言うのだから性格が悪い。
『頼まれずとも参ろう』
そういう話は後でしてほしいと香子は思うのだが、朱雀はわざとこういうところでするのだ。
『朱雀様、性格が悪いです』
『そなたに触れたくてたまらないのだ』
(もうっ……)
香子が朱雀に勝てるはずがないのだ。顔が熱くなって困る。
でもそんな朱雀を、香子は好きだった。
(惚れた弱味ぃ……)
また穴を掘って埋まりたいと香子は思った。
香子は自分が蕩けた自覚はあった。
白虎は最後までは香子を抱かなかったが、香子の全身をいつも通り舐め回した。
四神の学習能力はとても高く、香子が感じるところは全てチェックしてそこだけを重点的に触れているようだった。おかげで最後まで抱かれなくても香子はたいへんなことになってしまう。白虎の毛にしがみつき、香子は白虎の愛撫を受けた。
「~~~~~ッッ!?」
感度が上がっているのが自分でもわかるので、香子はどうしたらいいのかわからない。ちょっと油断するとすぐ求められてしまう。
白虎に抱かれてから四神のアピールが更に激しくなったと香子は思った。
(これでも落ち着いた状態なの……?)
四神全てに抱かれたことで香子も気持ちがだいぶ落ち着いてきているのは感じていた。精神は全てに作用する。
「あっ、あっ、あーーーーーっっ……!」
『そなたを今宵抱く。よいだろう?』
『……は、はい……』
『素直なそなたも愛しくてならぬ……』
香子は背中をべろりと舐められてびくびく震えた。慣れてきたのか、白虎の本性を現わされて触れられてもあまり恐ろしいとは思わなくなった。白虎がどこまでも紳士的だからだろう。それでも虎が恐ろしい猛獣だということは間違いないので、それは忘れないようにしようと香子は思った。
香子は夕飯をなにがなんでも食べたいのでそれまでには一旦解放してもらった。あれからずっと愛撫を受け続けてぐったりである。
(だから愛欲の日々はまだ嫌なのに~……)
少しでいいから一人にしてほしいと香子は思う。
(結婚したら……私の部屋も用意してもらおう……)
まだ先の話ではあるが、あと半年弱である。最初の一か月が異常に濃かっただけで、その後の時間の過ぎ方は少しずつ加速しているように香子には思えた。それが慣れによるものだということは香子にもわかっている。まだ半年あると考えるか、もうあと半年しかないと考えるかでも違ってくる。
髪を直し、衣裳を改めて用意されて着替えさせられた。礼服とまではいかないが、茶会に着ていった衣裳は白虎のおかげでくしゃくしゃになってしまった。本当に、こういう衣裳というのは着た後はどうなっているのだろうと香子は考えてしまう。貧乏性なのかしら? と香子は思った。
やっと侍女が満足して着替えを終え(侍女たちは香子を着飾ることに命をかけている)、居間に向かうと白虎が待っていた。当たり前のように香子は抱き上げられる。侍女たちは目を伏せているようだったが、それでも視線を感じる。香子は心配そうに自分を見ている紅児に笑んだ。紅児は優しい子だと香子は思う。だからこそ紅夏とは改めてしっかり話さなければいけない。
(他にも考えなきゃいけないことはあるのだけど……)
延夕玲のことも気になるし、香子の頭の中はなんだかんだいって忙しかった。
夕食の席はいつも通りだった。香子はやっとおいしくごはんが食べられた。
『おいしい……』
シンプルな、ジャガイモを千切りにした炒め物がおいしい。なんでこんなにしゃきしゃきになるのか聞いてみたい。アクセントに入れられているピーマンの細切りもいいかんじだ。これは香子のリクエストである。毎日豪華な食事よりも庶民が普通に食べるような料理がいいのだ。にんにくのみじん切りも一緒に炒めてもらったのでたまらない。匂いは気になるかもしれないが香子はにんにくの味が大好きだった。
『そなたは本当においしそうに食べるな』
白虎が言う。
『おいしいですから!』
いつもの答えだ。レンコンとひき肉を炒めてもらったものもとてもおいしい。あく抜きもされているのでしっかり白い。大陸で食べていた時はあく抜きがされていなかったのでマーブルがかっていたものが普通に出てきた。でもおいしかった。ちゃんとした料理人はあく抜きとかもしっかりするのだなと再認識した。なにせ香子は学生だったからそんなに高級な店には行ったことがなかったのである。
ごはんの後は茶室に移動して今日のことを話した。すでに朱雀がみなに念話で伝えていたようだが、四神は香子のとりとめもない話を聞くのも好きなようである。
『……ボースーの大使は許せませんな』
青龍が涼やかな声で恐ろしいことを言う。
『何かしようとしちゃだめですよ?』
『なにゆえに』
『白虎様が怒ってくださいましたから。皇帝がよいように取り計らうでしょう』
青龍は一瞬眉を寄せた。
『……あの皇帝を信用するのか?』
『なれば、どう対応したか文書でも出させましょう。青龍様』
『うむ』
『私はもう皇帝には関わりたくないのです』
”皇帝”という単語を出しただけで反応されるのがいただけないと香子は思う。あれだけ皇帝は毛嫌いしていると伝えているのに。だがそういうことではないのだということも香子は知っていた。もう香子が人間の男を指した単語を口にするのが許せないのだ。こればかりは四神の本能であるからしかたない。
『だからこの話はもう終わりにしてくださいませ』
『わかった』
青龍がやっと引き下がった。
『香子、今宵は白虎と過ごすのだな』
朱雀がニヤニヤしながら言う。香子は朱雀を睨んだ。
『はい』
『朱雀兄、よろしくお願いします』
白虎が頼むのを朱雀は知っていて言うのだから性格が悪い。
『頼まれずとも参ろう』
そういう話は後でしてほしいと香子は思うのだが、朱雀はわざとこういうところでするのだ。
『朱雀様、性格が悪いです』
『そなたに触れたくてたまらないのだ』
(もうっ……)
香子が朱雀に勝てるはずがないのだ。顔が熱くなって困る。
でもそんな朱雀を、香子は好きだった。
(惚れた弱味ぃ……)
また穴を掘って埋まりたいと香子は思った。
12
お気に入りに追加
4,015
あなたにおすすめの小説
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
目が覚めたら男女比がおかしくなっていた
いつき
恋愛
主人公である宮坂葵は、ある日階段から落ちて暫く昏睡状態になってしまう。
一週間後、葵が目を覚ますとそこは男女比が約50:1の世界に!?自分の父も何故かイケメンになっていて、不安の中高校へ進学するも、わがままな女性だらけのこの世界では葵のような優しい女性は珍しく、沢山のイケメン達から迫られる事に!?
「私はただ普通の高校生活を送りたいんです!!」
#####
r15は保険です。
2024年12月12日
私生活に余裕が出たため、投稿再開します。
それにあたって一部を再編集します。
設定や話の流れに変更はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる