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第3部 周りと仲良くしろと言われました
63.準備には時間がかかるものです
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紅児に構いすぎだと、香子は白虎に嫉妬を向けられてしまった。全身を舐められてしまい、夕飯の前に香子はふにゃふにゃにされてしまった。四神の愛はとても重い。でも香子はそれが嫌いではなかった。
(ううう……まだ愛欲の日々は嫌あー……)
それでも白虎はかなり我慢をしたらしく、人型のままで香子を舐め回した。本性を現わされる(ちょっと意味が違う)とやはり怖いと香子は思う。もふらせてくれる時はいいのだが、その姿で欲情した目を向けられるのは苦手だ。抱かれる時も人型の白虎ならばいいのに、と香子は思うのだがそううまくはいかないものである。
でも、今日は白虎が人型のまま香子に触れたので、彼女はいつになく恥ずかしかった。なんというか、慣れない相手に触れられているような不思議な感覚になってしまったようだ。でも白虎なのは間違いないからと香子は白虎を抱きしめた。
『んっ……あぁあっ……!』
『香子……そなたの蜜を……』
『やぁあああっ……!』
とにかく恥じらう香子が愛しくてならないのか、触れた後の白虎は上機嫌だった。そのまま白虎は夕食時も香子を離さず、夜も玄武や朱雀たちと共に香子をこれ以上ないほどに甘く啼かせた。
(だから愛欲の日々はあー……)
翌朝いつも通り香子はあまりの羞恥に身もだえた。毎晩抱かれていたって恥ずかしいものは恥ずかしい。
翌日は本来なら張錦飛が来てくれる日であったが、そのまた翌日に皇帝とシーザン王たちに茶会に招かれているということで遠慮されてしまった。これだけでも皇帝許すまじと香子は拳を握りしめた。
終わってからせいぜい張に愚痴らせてもらうことにしようと気持ちを切り替え、その日香子は青龍とのんびり過ごした。
『昨夜は白虎兄と過ごしたのだろう?』
『はい』
面白がるように口元にほんのりと笑みを浮かべて青龍が聞く。香子は素直にそれに答えた。
最初は能面みたいだった美しい顔にほんの少しでも表情が浮かぶのは嬉しいと香子は思う。
『我ともそろそろ抱き合う時間をとってはくれまいか?』
半ば本気で言われ、香子は頬を染めた。
『無事、終わりましたら……』
『約束だぞ』
『……はい』
そうして何度も口づけを交わした。あまりにも甘くて香子は困ってしまった。どうしたらこんなに巧みになるのだろうか。青龍は水の流れのように香子の快感に添うのがうまくて、いつのまにかとろとろにされていることが多い。香子を気遣いながらも大胆に抱く玄武、時折意地悪に香子を抱く朱雀、本性を現わして香子を動けなくし咀嚼するように抱く白虎。全てが甘くて無理だと香子は思ってしまうのだ。
そんなことを考えている間に当日を迎えてしまった。
今回の主役は紅児だが、相対するのは香子の役割である。紅児には決して一言もしゃべらせないという強い意志を持って、衣裳を整えさせた。今日は化粧もしっかりである。
紅児は紅夏からの贈り物であるルビーと黒翡翠のついた簪を髪に挿され、困惑していた。ルビーは唐でも南方で採れるものであるから、南の領地から取り寄せたのではないかと思われた。それだけでも紅夏の本気が感じられるというものである。
『こ、こんな素晴らしいものをいただいてもよろしいのでしょうか……』
紅児は目利きはできないとは言っていたが、それなりに価値があるものだということはわかったらしく香子に縋るような目を向けた。それとまだ自分が成人していないことを気にしていた。
『紅児、男性に恥をかかせてはいけないわ。せっかく紅夏様から贈られたものなのだから気にすることはないでしょう?』
仲間である侍女たちにそう迫られれば紅児も逆らうことはできず、いささか戸惑いながらも衣裳と髪飾りを受け入れた。
『こういうのは恰好も大事だから。それぐらいはエリーザもわかっているでしょう?』
『は、はい……』
紅児の家はそれなりに大きい貿易商だ。そう言えば紅児も納得したようだった。
『今日の茶会だけど、エリーザは微笑んでいるだけでいいわ。何を聞かれても答えなくていいの』
香子は微笑んでそう紅児に伝えた。紅児は『はい』と素直に返事をした。
今回の衣裳は白虎をモチーフにしたものらしく、長袍は白地に金で白虎の刺繍をほどこされた豪奢なものだった。侍女たちの本気が伝わってくると香子は内心苦笑する。
紅児は紅夏の色を、香子は白虎の色を纏い、皇帝のお茶会に向かった。
(シーザンの王女には悪いけど、私えばられるのって嫌いなんだよね)
己が勝ち気な性格であったことを香子はうっすらと思い出す。こちらの世界に来てからそんなことはすっかり忘れていた。それでも黒月と相対したり、皇帝と皇后を相手取ったりはしたのだが、それは全て香子自身の為だ。今回は紅児の為という大義名分がある。
(世の中が全て自分の思い通りになるなんて傲慢さは今のうちになくした方がいい)
今はまだ物を知らないで済むが、大人になったらそうはいかないのだから。
香子は白虎の腕に抱かれ、御花園の四阿に入る。そこでは皇帝、シーザン王、シーザンの姫が立ち上がって香子たちを迎えた。
いざ、戦闘開始である。
ーーーーー
「貴方色に染まる」71話の前半にかかってきました。
4/15 「ざまあはされたくありません!」完結しました!
テンプレ悪役令嬢(?)モノですが主人公はヒロインです。番外編も上げる予定ではいますが、甘ラブハッピーで完結です。
キャラ文芸大賞応援ありがとうございました! 奨励賞いただきましたー♪
3/9 「虎又さんとお嫁さん~イージーモードな山暮らし~」完結しました!
結婚して一月後から山の上に引っ越したお嫁さんが、がたいのいい旦那さんとトラネコと暮らしていくだけの物語です。隣山や周りを取り巻く人たちとみんなみんな幸せに暮らしていきます。
もし興味を持っていただけましたら、マイページから覗いてやってくださいませ~
(ううう……まだ愛欲の日々は嫌あー……)
それでも白虎はかなり我慢をしたらしく、人型のままで香子を舐め回した。本性を現わされる(ちょっと意味が違う)とやはり怖いと香子は思う。もふらせてくれる時はいいのだが、その姿で欲情した目を向けられるのは苦手だ。抱かれる時も人型の白虎ならばいいのに、と香子は思うのだがそううまくはいかないものである。
でも、今日は白虎が人型のまま香子に触れたので、彼女はいつになく恥ずかしかった。なんというか、慣れない相手に触れられているような不思議な感覚になってしまったようだ。でも白虎なのは間違いないからと香子は白虎を抱きしめた。
『んっ……あぁあっ……!』
『香子……そなたの蜜を……』
『やぁあああっ……!』
とにかく恥じらう香子が愛しくてならないのか、触れた後の白虎は上機嫌だった。そのまま白虎は夕食時も香子を離さず、夜も玄武や朱雀たちと共に香子をこれ以上ないほどに甘く啼かせた。
(だから愛欲の日々はあー……)
翌朝いつも通り香子はあまりの羞恥に身もだえた。毎晩抱かれていたって恥ずかしいものは恥ずかしい。
翌日は本来なら張錦飛が来てくれる日であったが、そのまた翌日に皇帝とシーザン王たちに茶会に招かれているということで遠慮されてしまった。これだけでも皇帝許すまじと香子は拳を握りしめた。
終わってからせいぜい張に愚痴らせてもらうことにしようと気持ちを切り替え、その日香子は青龍とのんびり過ごした。
『昨夜は白虎兄と過ごしたのだろう?』
『はい』
面白がるように口元にほんのりと笑みを浮かべて青龍が聞く。香子は素直にそれに答えた。
最初は能面みたいだった美しい顔にほんの少しでも表情が浮かぶのは嬉しいと香子は思う。
『我ともそろそろ抱き合う時間をとってはくれまいか?』
半ば本気で言われ、香子は頬を染めた。
『無事、終わりましたら……』
『約束だぞ』
『……はい』
そうして何度も口づけを交わした。あまりにも甘くて香子は困ってしまった。どうしたらこんなに巧みになるのだろうか。青龍は水の流れのように香子の快感に添うのがうまくて、いつのまにかとろとろにされていることが多い。香子を気遣いながらも大胆に抱く玄武、時折意地悪に香子を抱く朱雀、本性を現わして香子を動けなくし咀嚼するように抱く白虎。全てが甘くて無理だと香子は思ってしまうのだ。
そんなことを考えている間に当日を迎えてしまった。
今回の主役は紅児だが、相対するのは香子の役割である。紅児には決して一言もしゃべらせないという強い意志を持って、衣裳を整えさせた。今日は化粧もしっかりである。
紅児は紅夏からの贈り物であるルビーと黒翡翠のついた簪を髪に挿され、困惑していた。ルビーは唐でも南方で採れるものであるから、南の領地から取り寄せたのではないかと思われた。それだけでも紅夏の本気が感じられるというものである。
『こ、こんな素晴らしいものをいただいてもよろしいのでしょうか……』
紅児は目利きはできないとは言っていたが、それなりに価値があるものだということはわかったらしく香子に縋るような目を向けた。それとまだ自分が成人していないことを気にしていた。
『紅児、男性に恥をかかせてはいけないわ。せっかく紅夏様から贈られたものなのだから気にすることはないでしょう?』
仲間である侍女たちにそう迫られれば紅児も逆らうことはできず、いささか戸惑いながらも衣裳と髪飾りを受け入れた。
『こういうのは恰好も大事だから。それぐらいはエリーザもわかっているでしょう?』
『は、はい……』
紅児の家はそれなりに大きい貿易商だ。そう言えば紅児も納得したようだった。
『今日の茶会だけど、エリーザは微笑んでいるだけでいいわ。何を聞かれても答えなくていいの』
香子は微笑んでそう紅児に伝えた。紅児は『はい』と素直に返事をした。
今回の衣裳は白虎をモチーフにしたものらしく、長袍は白地に金で白虎の刺繍をほどこされた豪奢なものだった。侍女たちの本気が伝わってくると香子は内心苦笑する。
紅児は紅夏の色を、香子は白虎の色を纏い、皇帝のお茶会に向かった。
(シーザンの王女には悪いけど、私えばられるのって嫌いなんだよね)
己が勝ち気な性格であったことを香子はうっすらと思い出す。こちらの世界に来てからそんなことはすっかり忘れていた。それでも黒月と相対したり、皇帝と皇后を相手取ったりはしたのだが、それは全て香子自身の為だ。今回は紅児の為という大義名分がある。
(世の中が全て自分の思い通りになるなんて傲慢さは今のうちになくした方がいい)
今はまだ物を知らないで済むが、大人になったらそうはいかないのだから。
香子は白虎の腕に抱かれ、御花園の四阿に入る。そこでは皇帝、シーザン王、シーザンの姫が立ち上がって香子たちを迎えた。
いざ、戦闘開始である。
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「貴方色に染まる」71話の前半にかかってきました。
4/15 「ざまあはされたくありません!」完結しました!
テンプレ悪役令嬢(?)モノですが主人公はヒロインです。番外編も上げる予定ではいますが、甘ラブハッピーで完結です。
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