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第3部 周りと仲良くしろと言われました
59.いいかげんしつこいと思うのです
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香子としては紅児に聞きたくはなかった。出なくてもいいと言っても紅児はがんばってしまいそうだったから。
(……無視するかなー……私たちには関係ないもんね……)
シーザンの姫に紅児を会わせる義務はない。しかし外交問題が……など香子はどうしてもいらぬことを考えてしまう。
『よし! ほっておこう!』
どちらにせよシーザンの姫が四神宮に来ることはない。よしんばこちらを訪ねてこようとしても中書省で止められるはずである。中書省で止められなくても皇帝が止めるはずだ。……そう、止めるはずである。香子はちょっとだけ不安になった。
『香子』
『あ……ごめんなさい』
白虎が一緒にいるのについつい別のことを考えてしまったことに香子は謝った。白虎の室で、長椅子に腰掛ける白虎を椅子にして香子はお茶を飲んでいた。
『シーザンの娘のことか』
『ええ、厄介だなと思いまして』
白虎が香子の手から蓋碗を奪い、卓に置く。そして香子を横抱きにした。至近距離で金の瞳に見つめられて香子はどぎまぎする。白虎が薄っすらと笑み浮かべた。
『捨ておけ……と言ってもそなたは気にするのであろうな』
香子は苦笑した。
『たぶん……そうだと思います』
『では何も考えられなくしてやろう』
白虎はそう言うと香子の唇を塞いだ。確かに白虎のこと以外何も考えられなくなると、香子は内心同意した。
(また我慢させてしまった……)
白虎は本性を現しやすい四神の一柱だ。なのに香子の全身を愛でながらも人型をとかなかった。相当我慢させたのではないかと香子は反省した。
『香子』
『んっ……』
頬を優しく舐められる。我慢をさせてしまったと考えるのも、香子が白虎を好きだから思うことだ。
四神に愛される香子の身体は透き通るように白く、どこもかしこも四神の好みの体型になっている。胸は白虎に抱かれるたびに大きくなり、それでいて弾力があって揉みがいがある形になっている。白虎としてはもっと胸が大きい方が好みのようで、香子の胸を中心に触れるから胸の感度も上がっていた。
(胸って……揉まれるだけで感じるもの、だっけ……?)
乳首が感じるのはわかるけど、と香子は思う。だが白虎に揉まれるだけでびくびくと震えてしまうから、胸もやっぱり性感帯なのかな? とも思ったりする。そんな香子に白虎が内心ほくそ笑んでいることは知らない。四神に日々愛されているというのに、香子はどこまでも初心なようだった。
その日の夜、香子は白虎、玄武、朱雀と過ごした。すごく甘くて、いつまでも感じさせられて頭が焼き切れそうだと香子は思った。
翌朝は玄武の腕の中にいて、香子はほっとした。
(やっぱり安定するのは玄武様だよねー……)
玄武といるのが一番落ち着くという自覚はあるが、玄武がそれほど穏やかな気性ではないことも香子は知っている。嫉妬にかられて空間移動することもあるし、いきなり室に連れ込まれそうになったことも何度もある。香子はここに来た時すでに処女ではなかったが、それでも玄武が”初めての人”という気がしてならなかった。
(あー……自分が乙女すぎてつらい)
二十歳もとっくに過ぎたのに、と香子は恥ずかしさに顔を覆った。
『香子、如何した?』
玄武に声をかけられて、香子ははうはうした。このバリトンが危険なのだ。朱雀のテナーも、青龍の涼やかな声も、白虎のバスも香子を震わせる。
『……なんでもないですー……玄武様、大好き……』
『香子……』
想いを発露するまではよかったが、そんなことを言ったらどうなるかぐらい香子も知っているはずである。だが香子はあまり学ばないあほの子なので、おなかが鳴るまで朝から玄武に愛でられてしまったのだった。
(い、言わない……もう夜以外言わない……)
そう決意したが、いつまで守られるかは不明である。どこまでも香子はあほの子であった。
数日は穏やかに暮らせるだろうと香子は思っていたが、シーザンの姫は非常に気が短い性質だったらしい。皇帝から明日、シーザンの王と共にお茶をしましょうという誘いが来てしまった。一応香子名指しではなく四神に向けての誘いではあったが、香子は深くため息をついた。
『香子、如何する?』
白虎が楽しそうに聞いてきた。香子はムッとした。
正直顔は絶対に出したくないが皇帝の面子を潰すわけにもいかないだろう。かといって白虎を伴っていけば皇帝を立てたことになってしまう。(中秋の時期ではあるので)
『うーん……私が行かないって言ったら誰も行きませんよね?』
四神が何を当たり前のことを、というような顔をした。そんなこと同意しなくてもいいと香子は思う。
『じゃあ……普段の延長ってことで青龍様と朱雀様、行きましょう』
『我が香子を抱いて行けばいいのか』
『はい、青龍様。よろしくお願いします』
『我が向かう、ということは紅夏はどうする?』
朱雀が楽しそうに聞いた。
『……今回は留守番をしてもらいましょう。白雲と青藍をお願いします』
『わかった』
四神はとても楽しそうだ。香子は別に楽しくないのに、と内心またため息をついた。
ーーーーーー
「貴方色に染まる」68話辺りです。興味ありましたらそちらもご覧くださいませ~
(……無視するかなー……私たちには関係ないもんね……)
シーザンの姫に紅児を会わせる義務はない。しかし外交問題が……など香子はどうしてもいらぬことを考えてしまう。
『よし! ほっておこう!』
どちらにせよシーザンの姫が四神宮に来ることはない。よしんばこちらを訪ねてこようとしても中書省で止められるはずである。中書省で止められなくても皇帝が止めるはずだ。……そう、止めるはずである。香子はちょっとだけ不安になった。
『香子』
『あ……ごめんなさい』
白虎が一緒にいるのについつい別のことを考えてしまったことに香子は謝った。白虎の室で、長椅子に腰掛ける白虎を椅子にして香子はお茶を飲んでいた。
『シーザンの娘のことか』
『ええ、厄介だなと思いまして』
白虎が香子の手から蓋碗を奪い、卓に置く。そして香子を横抱きにした。至近距離で金の瞳に見つめられて香子はどぎまぎする。白虎が薄っすらと笑み浮かべた。
『捨ておけ……と言ってもそなたは気にするのであろうな』
香子は苦笑した。
『たぶん……そうだと思います』
『では何も考えられなくしてやろう』
白虎はそう言うと香子の唇を塞いだ。確かに白虎のこと以外何も考えられなくなると、香子は内心同意した。
(また我慢させてしまった……)
白虎は本性を現しやすい四神の一柱だ。なのに香子の全身を愛でながらも人型をとかなかった。相当我慢させたのではないかと香子は反省した。
『香子』
『んっ……』
頬を優しく舐められる。我慢をさせてしまったと考えるのも、香子が白虎を好きだから思うことだ。
四神に愛される香子の身体は透き通るように白く、どこもかしこも四神の好みの体型になっている。胸は白虎に抱かれるたびに大きくなり、それでいて弾力があって揉みがいがある形になっている。白虎としてはもっと胸が大きい方が好みのようで、香子の胸を中心に触れるから胸の感度も上がっていた。
(胸って……揉まれるだけで感じるもの、だっけ……?)
乳首が感じるのはわかるけど、と香子は思う。だが白虎に揉まれるだけでびくびくと震えてしまうから、胸もやっぱり性感帯なのかな? とも思ったりする。そんな香子に白虎が内心ほくそ笑んでいることは知らない。四神に日々愛されているというのに、香子はどこまでも初心なようだった。
その日の夜、香子は白虎、玄武、朱雀と過ごした。すごく甘くて、いつまでも感じさせられて頭が焼き切れそうだと香子は思った。
翌朝は玄武の腕の中にいて、香子はほっとした。
(やっぱり安定するのは玄武様だよねー……)
玄武といるのが一番落ち着くという自覚はあるが、玄武がそれほど穏やかな気性ではないことも香子は知っている。嫉妬にかられて空間移動することもあるし、いきなり室に連れ込まれそうになったことも何度もある。香子はここに来た時すでに処女ではなかったが、それでも玄武が”初めての人”という気がしてならなかった。
(あー……自分が乙女すぎてつらい)
二十歳もとっくに過ぎたのに、と香子は恥ずかしさに顔を覆った。
『香子、如何した?』
玄武に声をかけられて、香子ははうはうした。このバリトンが危険なのだ。朱雀のテナーも、青龍の涼やかな声も、白虎のバスも香子を震わせる。
『……なんでもないですー……玄武様、大好き……』
『香子……』
想いを発露するまではよかったが、そんなことを言ったらどうなるかぐらい香子も知っているはずである。だが香子はあまり学ばないあほの子なので、おなかが鳴るまで朝から玄武に愛でられてしまったのだった。
(い、言わない……もう夜以外言わない……)
そう決意したが、いつまで守られるかは不明である。どこまでも香子はあほの子であった。
数日は穏やかに暮らせるだろうと香子は思っていたが、シーザンの姫は非常に気が短い性質だったらしい。皇帝から明日、シーザンの王と共にお茶をしましょうという誘いが来てしまった。一応香子名指しではなく四神に向けての誘いではあったが、香子は深くため息をついた。
『香子、如何する?』
白虎が楽しそうに聞いてきた。香子はムッとした。
正直顔は絶対に出したくないが皇帝の面子を潰すわけにもいかないだろう。かといって白虎を伴っていけば皇帝を立てたことになってしまう。(中秋の時期ではあるので)
『うーん……私が行かないって言ったら誰も行きませんよね?』
四神が何を当たり前のことを、というような顔をした。そんなこと同意しなくてもいいと香子は思う。
『じゃあ……普段の延長ってことで青龍様と朱雀様、行きましょう』
『我が香子を抱いて行けばいいのか』
『はい、青龍様。よろしくお願いします』
『我が向かう、ということは紅夏はどうする?』
朱雀が楽しそうに聞いた。
『……今回は留守番をしてもらいましょう。白雲と青藍をお願いします』
『わかった』
四神はとても楽しそうだ。香子は別に楽しくないのに、と内心またため息をついた。
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「貴方色に染まる」68話辺りです。興味ありましたらそちらもご覧くださいませ~
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