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第3部 周りと仲良くしろと言われました
56.いっぱい怒られてしまいました
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シーザンの王女について、香子は少し困った子だなとは思ったが別に怒ってはいなかった。けれど四神とその眷属は冷静ではいられなかったようである。四神宮に戻ると、白虎はそのまま香子を己の室に運んだ。
『白虎様……』
『朱雀兄も呼んだ。いいだろう』
『……はい』
逆らう理由もなかった。ただ虎の姿で抱かれるのには、香子はまだ抵抗がある。それでも朱雀か、玄武が共にいてくれればと妥協した。怖いことに変わりはないが、香子だって白虎のことが好きだから。
抱かれている間は嵐の中にいるようだと香子は思った。優しいけどとても激しい。
「あっ、あっ、あーーーーっ……!」
朱雀に”熱”を与えられたことで浮かされた香子は、白虎の毛を掴みながら何度も抱かれた。怖いけど怖くない。怖くないけど怖い。いつだってとろけるような甘さが全身を巡って、香子はぼろぼろと涙をこぼした。
その時はそれでいいのだが、翌朝自分の痴態を思い出して香子が身もだえるのも変わらない。
(あああああ……)
『香子、そろそろ慣れないか?』
『慣れるわけないじゃないですか……』
毎回すごいのだ。玄武と朱雀に抱かれるのだって香子は毎回たいへんだった。玄武は優しいけど朱雀は意地悪で、香子は毎晩たくさん啼かされてしまう。
(えっちだ。えっちだぁ~……)
香子が夜の生活に慣れるまではかなりかかりそうだった。
その後、香子は黒月と延夕玲に怒られた。昨日の件である。
『花嫁様……私は、紅児とシーザンの姫を会わせるのは反対です』
珍しく夕玲が意見を言った。
『理由を聞いてもいいかしら?』
『シーザン王国が紅児の存在を知っていてもおかしくはないのですが、シーザンの姫がただ会いたいということはありえないと考えます。シーザンの姫は眷属を紹介してほしいと言っています。そのことに関連しているのではないかと……』
香子は自分の考えが浅かったことを恥じた。確かに異国からの客人とはいえ紅児は普通の娘だ。異国の王族というならばわかるが、貿易商の娘である。海のないシーザンに関係があるとはとても思えなかった。
『……ということは、エリーザにへばりついている紅夏が気になるってこと?』
『紅夏様だけとは限りませんが』
『そうね』
眷属の男性というだけならば、ここに白雲、紅夏、青藍といるのだ。その中の一人を誰でもいいから国に持ち帰りたいとシーザンの姫は言ったのだと香子は思っている。だがシーザンの姫は赤を好んでいるようだ。
(アクセサリー感覚で紅夏がほしいのかしら)
それはそれで失礼な話だが、姫というのはそういうものなのだろう。ましてシーザン王国は女性上位の国である。王は男性だが、おそらく政務などは女王が行っているに違いなかった。
それにしても気に食わない、と香子は思う。
姫が乗り気というのもあるだろうが、四神の眷属を国に持ち帰るとは何事か。その人を人とも思わない物言いに香子はカチンときたのだ。
(大人げないとは思うけどね……そういう文化だってこともわかっているけどね)
それならばなおのこと四神に対しての知識は持ち合わせていないといけないのではないかと香子は思う。
『どうしてもエリーザを連れて行かなければいけないわけではないから、少し様子を見ておくわ。何日かはこちらに滞在するのでしょうしね』
『花嫁様……』
黒月に睨まれた。香子はたじたじになる。
『なぁに?』
『そのようなことを言っているからあのような輩が増長するのです! 我は花嫁様があれと会うのは反対です。紅児を連れていくこともまかりなりません!』
香子は目を丸くした。黒月はシーザンの姫を「あれ」呼ばわりである。
黒月は黒月なりに香子と紅児のことを心配しているようだった。香子は笑んだ。
『ねえ黒月、私なら大丈夫よ。エリーザにも強要しないわ。ただ、四神の眷属と一緒になるのなら、そういう横やりが入るかもしれないってことは知っておいてもいいと思うの。ここにいる四神の眷属にはみな”つがい”がいるでしょう? こういうことがあった時どうするのか、対応を考えた方がいいでしょう』
夕玲と黒月は考えるような顔をした。
『そう、ですね……青藍様は……』
夕玲は夕玲で思うところがあったようだ。どうやら青藍との関係はのんびりとだが進んではいるようだった。
『……花嫁様、我には”つがい”はおりませんが……』
黒月がポツリと言ったことに、香子は噴き出してしまった。
黒月はすらりとした美女だが、まだ成人していない。”つがい”が例え近くにいたとしてもまだ認識はしないのである。
笑ったことで香子は更に黒月に怒られたが、それと同時に趙文英はどうするのかなと香子はちら、と思った。
なにせ相手は黒月である。成人するまでの十年を待ち続けるのだろうか。それとも諦めて他の女性と一緒になるのか。そればかりは香子にもわからない。
(できれば趙と黒月に一緒になってほしいけど、そううまくはいかないのかな)
『花嫁様、聞いていらっしゃるのか!?』
『あ、ごめん』
『花嫁様!』
余計なことを考えていたせいか、黒月からの説教の時間が延びてしまった。
おかしいなぁと香子は思う。私一応四神の花嫁なんだけど?
ーーーーー
「貴方色に染まる」68話辺りです。興味ありましたらそちらもご覧くださいませ~
『白虎様……』
『朱雀兄も呼んだ。いいだろう』
『……はい』
逆らう理由もなかった。ただ虎の姿で抱かれるのには、香子はまだ抵抗がある。それでも朱雀か、玄武が共にいてくれればと妥協した。怖いことに変わりはないが、香子だって白虎のことが好きだから。
抱かれている間は嵐の中にいるようだと香子は思った。優しいけどとても激しい。
「あっ、あっ、あーーーーっ……!」
朱雀に”熱”を与えられたことで浮かされた香子は、白虎の毛を掴みながら何度も抱かれた。怖いけど怖くない。怖くないけど怖い。いつだってとろけるような甘さが全身を巡って、香子はぼろぼろと涙をこぼした。
その時はそれでいいのだが、翌朝自分の痴態を思い出して香子が身もだえるのも変わらない。
(あああああ……)
『香子、そろそろ慣れないか?』
『慣れるわけないじゃないですか……』
毎回すごいのだ。玄武と朱雀に抱かれるのだって香子は毎回たいへんだった。玄武は優しいけど朱雀は意地悪で、香子は毎晩たくさん啼かされてしまう。
(えっちだ。えっちだぁ~……)
香子が夜の生活に慣れるまではかなりかかりそうだった。
その後、香子は黒月と延夕玲に怒られた。昨日の件である。
『花嫁様……私は、紅児とシーザンの姫を会わせるのは反対です』
珍しく夕玲が意見を言った。
『理由を聞いてもいいかしら?』
『シーザン王国が紅児の存在を知っていてもおかしくはないのですが、シーザンの姫がただ会いたいということはありえないと考えます。シーザンの姫は眷属を紹介してほしいと言っています。そのことに関連しているのではないかと……』
香子は自分の考えが浅かったことを恥じた。確かに異国からの客人とはいえ紅児は普通の娘だ。異国の王族というならばわかるが、貿易商の娘である。海のないシーザンに関係があるとはとても思えなかった。
『……ということは、エリーザにへばりついている紅夏が気になるってこと?』
『紅夏様だけとは限りませんが』
『そうね』
眷属の男性というだけならば、ここに白雲、紅夏、青藍といるのだ。その中の一人を誰でもいいから国に持ち帰りたいとシーザンの姫は言ったのだと香子は思っている。だがシーザンの姫は赤を好んでいるようだ。
(アクセサリー感覚で紅夏がほしいのかしら)
それはそれで失礼な話だが、姫というのはそういうものなのだろう。ましてシーザン王国は女性上位の国である。王は男性だが、おそらく政務などは女王が行っているに違いなかった。
それにしても気に食わない、と香子は思う。
姫が乗り気というのもあるだろうが、四神の眷属を国に持ち帰るとは何事か。その人を人とも思わない物言いに香子はカチンときたのだ。
(大人げないとは思うけどね……そういう文化だってこともわかっているけどね)
それならばなおのこと四神に対しての知識は持ち合わせていないといけないのではないかと香子は思う。
『どうしてもエリーザを連れて行かなければいけないわけではないから、少し様子を見ておくわ。何日かはこちらに滞在するのでしょうしね』
『花嫁様……』
黒月に睨まれた。香子はたじたじになる。
『なぁに?』
『そのようなことを言っているからあのような輩が増長するのです! 我は花嫁様があれと会うのは反対です。紅児を連れていくこともまかりなりません!』
香子は目を丸くした。黒月はシーザンの姫を「あれ」呼ばわりである。
黒月は黒月なりに香子と紅児のことを心配しているようだった。香子は笑んだ。
『ねえ黒月、私なら大丈夫よ。エリーザにも強要しないわ。ただ、四神の眷属と一緒になるのなら、そういう横やりが入るかもしれないってことは知っておいてもいいと思うの。ここにいる四神の眷属にはみな”つがい”がいるでしょう? こういうことがあった時どうするのか、対応を考えた方がいいでしょう』
夕玲と黒月は考えるような顔をした。
『そう、ですね……青藍様は……』
夕玲は夕玲で思うところがあったようだ。どうやら青藍との関係はのんびりとだが進んではいるようだった。
『……花嫁様、我には”つがい”はおりませんが……』
黒月がポツリと言ったことに、香子は噴き出してしまった。
黒月はすらりとした美女だが、まだ成人していない。”つがい”が例え近くにいたとしてもまだ認識はしないのである。
笑ったことで香子は更に黒月に怒られたが、それと同時に趙文英はどうするのかなと香子はちら、と思った。
なにせ相手は黒月である。成人するまでの十年を待ち続けるのだろうか。それとも諦めて他の女性と一緒になるのか。そればかりは香子にもわからない。
(できれば趙と黒月に一緒になってほしいけど、そううまくはいかないのかな)
『花嫁様、聞いていらっしゃるのか!?』
『あ、ごめん』
『花嫁様!』
余計なことを考えていたせいか、黒月からの説教の時間が延びてしまった。
おかしいなぁと香子は思う。私一応四神の花嫁なんだけど?
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「貴方色に染まる」68話辺りです。興味ありましたらそちらもご覧くださいませ~
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