347 / 597
第3部 周りと仲良くしろと言われました
44.千里の道も一歩からって重要だと思うのです
しおりを挟む
お気に入り3000名様ありがとうございますー♪ これからもまったり亀の歩みですが書いていきます(ぉぃ
ーーーーー
その日も朝から沢山点心をいただいて香子はご機嫌だった。香子の春巻への愛は変わらない。語らせたらいつまでも語るのでうるさいぐらいである。どんだけ春巻が好きなのか。
今日は午前中を青龍、午後は白虎と過ごす予定だ。明日は張錦飛が来るので、書の練習をしなければと香子は思う。白虎はそういった指導は一切してくれないので、書は青龍に習う予定である。
部屋で身支度を整えてもらった後、香子は青龍に運ばれて青龍の室に移動した。相変わらず一歩も歩かせてくれない溺愛仕様である。そのまま寝室に運ばれそうになったので止めた。
『青龍様、本日は書を見ていただけますか?』
『……我は厳しいぞ』
『はい、覚悟の上です。”千里之行,始於足下”ですよね』
『……そなにたいへんなことか』
『はい、私にとっては』
青龍が苦笑した。香子は老師の一説を引用した。日本で言う「千里の道も一歩から」の由来となる文である。
香子は本当に書が苦手なのだった。
(継続は力なり、継続は力なり……)
そう思ってやらないと香子はすぐにくじけてしまいそうになる。なかなかに厄介だった。
(もっとちゃんと習っていたら……でもでも……)
雑念を振り払って真摯に書と向き合う。皇族でもないし、香子自身はただの庶民だが今は四神の花嫁なのだ。自分で手紙を書くことはないだろうがサインぐらいはする。その字が汚かったら四神に恥をかかせてしまうだろう。香子は香子なりにいろいろ考えているのだった。
青龍が厳しいと言った通り、書の指導はかなり厳しかったようである。
『……ありがとうございました』
香子、涙目である。好きではないから覚えも悪い。困ったものだと香子は思った。
書の道具を片付けた後、青龍は香子を寝室に運んだ。床の上に腰掛け、香子を横抱きにしたまま髪を撫でる。
『そなにがんばらずともよいのだぞ?』
『……がんばっているつもりはないのですが……』
書は自分から習いたいと言ったものだし、身分の高い者ならば幼少より習っているものだ。だからこそみな美しい字が書けるわけで、その点香子は出遅れていると言わざるを得ない。こちらの国で当たり前のことができないというのは香子にとってストレスである。ただでさえ贈物の目録などに目を通すのもたいへんなのだ。句読点を発明した人に香子は拍手を送りたい気持ちでいっぱいだった。
『そなたは努力家だな。それをもう少し我らと愛し合うことに向けてもらいたいものだが……』
『……んっ……』
頤をクイと上げられて、香子は青龍に唇を塞がれた。半開きだった唇の間にするりと舌が入り、歯列をなぞる。香子の身体を支える腕は逃がさぬとばかりにきつく香子を抱きしめた。逆らうつもりも逃げるつもりも香子にはない。四神に我慢をさせているという自覚が香子にはあった。
『あっ……』
『……抵抗せぬのか?』
『……昼食までです。声をかけられたらやめてくださいね』
青龍が笑った。
『そなたにはかなわぬな……』
昼間なのに、香子は胸をいっぱい愛でられてしまった。乳首をしつこく吸われてしまったのでなんかジンジンする感覚がなかなか去らなかったのは内緒である。
(もうっ、青龍様のバカっ)
昼食の席で香子は不機嫌さを隠しもしなかった。青龍は久しぶりに香子の甘い声が聞けたのでご機嫌である。
(午後は……白虎様とだよねぇ……いろいろされちゃうのかな……)
四神と一緒に過ごすのは決して嫌ではない。むしろ幸せなことだと香子は思うのだが、すぐに寝室に連れ込まれるのが嫌なのだ。それしか自分には価値がないようでなんか嫌なのである。
香子としても四神と愛を育むのが重要だということはわかっている。でもでもなんか他にもう少し、と思ってしまうのもまた確かなのだ。
(相変わらず……私って面倒くさいなぁ……)
ごはんはおいしい。今日の主食は麺だった。日本のいわゆるラーメンではなく、うどんを細くしたような麺である。担担麺を食べたいと言ったら作ってくれた。汁なしで豚肉のそぼろとザーサイ、それに青梗菜が乗っている。それをよく混ぜて食べるのだ。こちらで出されるのは汁ありだったり汁なしだったりその時々によって変わる。香子がこだわらないので厨師によるのかと思われた。
『おいしい……』
香子が大学の側で食べていた担担麺は汁ありのとても辛いものだった。四神宮で出されるような上品なものではなく、大味であったが香子は大好きだった。
『そなたは辛い物も好きだな』
玄武に言われて頷いた。
『辛い物、大好きですよ。もちろんおいしくなかったら嫌ですけど』
よく勘違いされるのはただ辛ければいいと思われたりするところである。辛味の中に旨味がなければだめだと香子は思う。ただ唐辛子をかければいいというものではない。一口味わってみて、辛みがほしいなと思った時にかければいい。なんでもかんでも辛ければいいというものではない。元々が辛い料理は別だが。
午後は白虎と過ごす。エロエロをどうやって回避しようかなと香子が考えていた時、食堂の外から声がかかった。趙文英が白雲を呼んでいるという。香子は首を傾げた。また何かあったのだろうか。四神が平然としていることから、誰かがいきなり訪ねてきたとかそういうことではないだろう。
香子は食後のお茶を啜る。このなんともいえないほっとするかんじが好きだなぁと香子は思った。
ーーーー
担担麺の話については第一部150話を参照してください。
ーーーーー
その日も朝から沢山点心をいただいて香子はご機嫌だった。香子の春巻への愛は変わらない。語らせたらいつまでも語るのでうるさいぐらいである。どんだけ春巻が好きなのか。
今日は午前中を青龍、午後は白虎と過ごす予定だ。明日は張錦飛が来るので、書の練習をしなければと香子は思う。白虎はそういった指導は一切してくれないので、書は青龍に習う予定である。
部屋で身支度を整えてもらった後、香子は青龍に運ばれて青龍の室に移動した。相変わらず一歩も歩かせてくれない溺愛仕様である。そのまま寝室に運ばれそうになったので止めた。
『青龍様、本日は書を見ていただけますか?』
『……我は厳しいぞ』
『はい、覚悟の上です。”千里之行,始於足下”ですよね』
『……そなにたいへんなことか』
『はい、私にとっては』
青龍が苦笑した。香子は老師の一説を引用した。日本で言う「千里の道も一歩から」の由来となる文である。
香子は本当に書が苦手なのだった。
(継続は力なり、継続は力なり……)
そう思ってやらないと香子はすぐにくじけてしまいそうになる。なかなかに厄介だった。
(もっとちゃんと習っていたら……でもでも……)
雑念を振り払って真摯に書と向き合う。皇族でもないし、香子自身はただの庶民だが今は四神の花嫁なのだ。自分で手紙を書くことはないだろうがサインぐらいはする。その字が汚かったら四神に恥をかかせてしまうだろう。香子は香子なりにいろいろ考えているのだった。
青龍が厳しいと言った通り、書の指導はかなり厳しかったようである。
『……ありがとうございました』
香子、涙目である。好きではないから覚えも悪い。困ったものだと香子は思った。
書の道具を片付けた後、青龍は香子を寝室に運んだ。床の上に腰掛け、香子を横抱きにしたまま髪を撫でる。
『そなにがんばらずともよいのだぞ?』
『……がんばっているつもりはないのですが……』
書は自分から習いたいと言ったものだし、身分の高い者ならば幼少より習っているものだ。だからこそみな美しい字が書けるわけで、その点香子は出遅れていると言わざるを得ない。こちらの国で当たり前のことができないというのは香子にとってストレスである。ただでさえ贈物の目録などに目を通すのもたいへんなのだ。句読点を発明した人に香子は拍手を送りたい気持ちでいっぱいだった。
『そなたは努力家だな。それをもう少し我らと愛し合うことに向けてもらいたいものだが……』
『……んっ……』
頤をクイと上げられて、香子は青龍に唇を塞がれた。半開きだった唇の間にするりと舌が入り、歯列をなぞる。香子の身体を支える腕は逃がさぬとばかりにきつく香子を抱きしめた。逆らうつもりも逃げるつもりも香子にはない。四神に我慢をさせているという自覚が香子にはあった。
『あっ……』
『……抵抗せぬのか?』
『……昼食までです。声をかけられたらやめてくださいね』
青龍が笑った。
『そなたにはかなわぬな……』
昼間なのに、香子は胸をいっぱい愛でられてしまった。乳首をしつこく吸われてしまったのでなんかジンジンする感覚がなかなか去らなかったのは内緒である。
(もうっ、青龍様のバカっ)
昼食の席で香子は不機嫌さを隠しもしなかった。青龍は久しぶりに香子の甘い声が聞けたのでご機嫌である。
(午後は……白虎様とだよねぇ……いろいろされちゃうのかな……)
四神と一緒に過ごすのは決して嫌ではない。むしろ幸せなことだと香子は思うのだが、すぐに寝室に連れ込まれるのが嫌なのだ。それしか自分には価値がないようでなんか嫌なのである。
香子としても四神と愛を育むのが重要だということはわかっている。でもでもなんか他にもう少し、と思ってしまうのもまた確かなのだ。
(相変わらず……私って面倒くさいなぁ……)
ごはんはおいしい。今日の主食は麺だった。日本のいわゆるラーメンではなく、うどんを細くしたような麺である。担担麺を食べたいと言ったら作ってくれた。汁なしで豚肉のそぼろとザーサイ、それに青梗菜が乗っている。それをよく混ぜて食べるのだ。こちらで出されるのは汁ありだったり汁なしだったりその時々によって変わる。香子がこだわらないので厨師によるのかと思われた。
『おいしい……』
香子が大学の側で食べていた担担麺は汁ありのとても辛いものだった。四神宮で出されるような上品なものではなく、大味であったが香子は大好きだった。
『そなたは辛い物も好きだな』
玄武に言われて頷いた。
『辛い物、大好きですよ。もちろんおいしくなかったら嫌ですけど』
よく勘違いされるのはただ辛ければいいと思われたりするところである。辛味の中に旨味がなければだめだと香子は思う。ただ唐辛子をかければいいというものではない。一口味わってみて、辛みがほしいなと思った時にかければいい。なんでもかんでも辛ければいいというものではない。元々が辛い料理は別だが。
午後は白虎と過ごす。エロエロをどうやって回避しようかなと香子が考えていた時、食堂の外から声がかかった。趙文英が白雲を呼んでいるという。香子は首を傾げた。また何かあったのだろうか。四神が平然としていることから、誰かがいきなり訪ねてきたとかそういうことではないだろう。
香子は食後のお茶を啜る。このなんともいえないほっとするかんじが好きだなぁと香子は思った。
ーーーー
担担麺の話については第一部150話を参照してください。
2
お気に入りに追加
4,015
あなたにおすすめの小説
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる