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抱かれたい青年は抱いてもらう方法を考えた
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「もういっそのこと天使になろうかな」
お酒を飲みながら、青年はポツリと呟いた。
酒場である。
「何をバカなことを言ってるんだ?」
上級学校の頃から付き合いのある友人(元恋人)に窘められた。青年と違い、がたいのいいイケメンだ。そして容姿は間違いなく青年の好みである。
「バカじゃないよ。だって、誰と付き合ってもいっぱい抱いてくれないし」
友人は酒を噴きそうになった。
「いっぱいって……」
「そうじゃん。君も最初は抱いてくれたけど、その後は愛撫はしてくれたけどなかなか最後までしてくれなかったし……」
「そんなことを考えてたのか」
「そーだよ。僕はいっぱい抱いてほしかったんだ!」
お酒の力を借りて、青年は叫ぶように言った。
「声落とせって……。でも、泣いてただろ」
友人は宥めるように青年の腰を抱く。友人は青年から別れを言い渡されてからも、ずっと青年が好きだった。だから青年が「恋人がほしいな~」と言う度に、自分の友人を紹介してきた。けれどその付き合いはいつも長続きせず、青年は不満そうな顔をするばかりだった。
青年は真っ赤になった。
「だって……」
「だって、なんだよ? 天使になったら抱かれ続けないと生きていけなくなるんだぞ? しかも複数の奴に囲われることになる。そんなことできるのか?」
「だって……そうでもしないと抱いてもらえないじゃないかぁっ!」
そう叫ぶように言って、青年は泣き出した。友人はちょっと困ってしまった。
友人は久しぶりに青年を抱えて家に連れ帰った。
青年が”天使”になるなどとんでもないことだった。それと同時に、青年がまだ童貞だということを知り少し嬉しくも思った。
この世界では30歳までに童貞を失わないと”天使”という存在に身体が作り替わってしまう。
”天使”になると、最低でも三日に一度は身体の奥に精を放ってもらわなければ死んでしまう。ようは、誰かに抱いてもらわないといけないのだ。しかも身体は弱くなり、ちょっとの怪我などでも放置しておくとすぐに死んでしまう。
けれどその尻穴だけは強くて、どんなに拡げられてもいじられても感じてしまうようになる。他にも魔法が使えなくなったり、子を成すことができなくなったりする。
つまり”天使”とは、金持ちが道楽で囲う性奴隷のような存在なのだった。
「そんなに抱かれたいなら俺が抱いてやるから……」
友人は青年が好きだったから、またできれば付き合いたいと思っていた。今度こそ元鞘に収まって、結婚したいとさえ思っていた。
「君にはもう抱かれない!」
けれど青年は拒んだ。
「なんでだよ?」
「だ、だって……いつも愛撫ばっかりして、最後まであんまり抱いてくれなかったじゃないか!」
「それは……」
覚えはある。青年を抱くと、いつもはらはらと涙をこぼしてとてもつらそうだったのだ。
好きで好きでたまらなかったから、つらい思いをさせるのは本意ではなかった。だから愛撫をたっぷり施すことで、愛を伝えていたつもりだった。
「あんなに泣かれたら抱けないだろ? だから……」
そう言うと、青年は真っ赤になった。
「そ、それは……だって……」
「だって?」
友人は青年を捕らえて、自分の膝に乗せた。そのまま額に、頬にと口づけを落としていく。青年の顔がこれ以上ないってくらい赤くなる。
「……感じすぎちゃって……どう、しても……」
「え?」
「だからっ、気持ちよすぎて……」
「それで泣いてたのか?」
「そ、そうだよっ! あんなに感じちゃって、どうしたらいいかわかんなくて……」
「そうだったのか!」
それが本当ならもうこの気持ちを止める必要もない。友人は青年を抱き上げ、ベッドに運んだ。青年はもう二十代後半だというのに未だに華奢だ。それもあってなかなか強引にできなかったのである。
「改めて言わせてくれ。頼む、もう一度俺と付き合ってくれ。いっぱい抱かせてほしい」
「う……」
青年の顔の熱は全然去りそうもなかった。
「ぼ、僕が満足するぐらい抱いてくれなきゃ、だめなんだから……」
「ああ、任せろ」
上級学校で知り合った時から友人は青年が好きだったのだ。あの頃は付き合ってもすれ違ってしまったが、今度こそ離すものかと友人は思う。
「先に謝っておく」
「え? 何?」
「覚悟しろ」
そうして友人は、青年が泣いても喚いても十年分の想いの丈をその身体に叩きつけたのだった。
「あ……あ……あ……」
友人の本気はすごかった。
付き合っていた時に抱かれたのはなんだったのかと聞きたくなるぐらい昨夜は激しくて、甘かった。
「大丈夫か?」
動けなくなった身体を友人に抱き寄せられる。洗浄魔法でキレイにしてもらったから、身体はさっぱりしている。
青年は友人に身体を摺り寄せた。
「ん……ちょっとつらいかも」
「悪い。我慢がきかなかった。それで、俺とまた付き合ってくれるか?」
「……ゆ、昨夜みたいにいっぱい抱いてくれる?」
友人は目を見開いた。
「昨夜みたいにしてもいいのか? これからも」
「い、いっぱい抱かれたいって言っただろっ!」
「ああ、嫌ってぐらい抱いてやるよっ!」
「ああっ……!」
感じやすくて快楽に弱い青年は、絶倫でいくらでも甘く抱いてくれる恋人を今度こそ手に入れたのだった。
おしまい。
天使になって友人とその友人たちに囲われるバージョンもちょっと考えたんですが、二人だけの世界ってのもいいですよね。
お付き合いありがとうございましたー
お酒を飲みながら、青年はポツリと呟いた。
酒場である。
「何をバカなことを言ってるんだ?」
上級学校の頃から付き合いのある友人(元恋人)に窘められた。青年と違い、がたいのいいイケメンだ。そして容姿は間違いなく青年の好みである。
「バカじゃないよ。だって、誰と付き合ってもいっぱい抱いてくれないし」
友人は酒を噴きそうになった。
「いっぱいって……」
「そうじゃん。君も最初は抱いてくれたけど、その後は愛撫はしてくれたけどなかなか最後までしてくれなかったし……」
「そんなことを考えてたのか」
「そーだよ。僕はいっぱい抱いてほしかったんだ!」
お酒の力を借りて、青年は叫ぶように言った。
「声落とせって……。でも、泣いてただろ」
友人は宥めるように青年の腰を抱く。友人は青年から別れを言い渡されてからも、ずっと青年が好きだった。だから青年が「恋人がほしいな~」と言う度に、自分の友人を紹介してきた。けれどその付き合いはいつも長続きせず、青年は不満そうな顔をするばかりだった。
青年は真っ赤になった。
「だって……」
「だって、なんだよ? 天使になったら抱かれ続けないと生きていけなくなるんだぞ? しかも複数の奴に囲われることになる。そんなことできるのか?」
「だって……そうでもしないと抱いてもらえないじゃないかぁっ!」
そう叫ぶように言って、青年は泣き出した。友人はちょっと困ってしまった。
友人は久しぶりに青年を抱えて家に連れ帰った。
青年が”天使”になるなどとんでもないことだった。それと同時に、青年がまだ童貞だということを知り少し嬉しくも思った。
この世界では30歳までに童貞を失わないと”天使”という存在に身体が作り替わってしまう。
”天使”になると、最低でも三日に一度は身体の奥に精を放ってもらわなければ死んでしまう。ようは、誰かに抱いてもらわないといけないのだ。しかも身体は弱くなり、ちょっとの怪我などでも放置しておくとすぐに死んでしまう。
けれどその尻穴だけは強くて、どんなに拡げられてもいじられても感じてしまうようになる。他にも魔法が使えなくなったり、子を成すことができなくなったりする。
つまり”天使”とは、金持ちが道楽で囲う性奴隷のような存在なのだった。
「そんなに抱かれたいなら俺が抱いてやるから……」
友人は青年が好きだったから、またできれば付き合いたいと思っていた。今度こそ元鞘に収まって、結婚したいとさえ思っていた。
「君にはもう抱かれない!」
けれど青年は拒んだ。
「なんでだよ?」
「だ、だって……いつも愛撫ばっかりして、最後まであんまり抱いてくれなかったじゃないか!」
「それは……」
覚えはある。青年を抱くと、いつもはらはらと涙をこぼしてとてもつらそうだったのだ。
好きで好きでたまらなかったから、つらい思いをさせるのは本意ではなかった。だから愛撫をたっぷり施すことで、愛を伝えていたつもりだった。
「あんなに泣かれたら抱けないだろ? だから……」
そう言うと、青年は真っ赤になった。
「そ、それは……だって……」
「だって?」
友人は青年を捕らえて、自分の膝に乗せた。そのまま額に、頬にと口づけを落としていく。青年の顔がこれ以上ないってくらい赤くなる。
「……感じすぎちゃって……どう、しても……」
「え?」
「だからっ、気持ちよすぎて……」
「それで泣いてたのか?」
「そ、そうだよっ! あんなに感じちゃって、どうしたらいいかわかんなくて……」
「そうだったのか!」
それが本当ならもうこの気持ちを止める必要もない。友人は青年を抱き上げ、ベッドに運んだ。青年はもう二十代後半だというのに未だに華奢だ。それもあってなかなか強引にできなかったのである。
「改めて言わせてくれ。頼む、もう一度俺と付き合ってくれ。いっぱい抱かせてほしい」
「う……」
青年の顔の熱は全然去りそうもなかった。
「ぼ、僕が満足するぐらい抱いてくれなきゃ、だめなんだから……」
「ああ、任せろ」
上級学校で知り合った時から友人は青年が好きだったのだ。あの頃は付き合ってもすれ違ってしまったが、今度こそ離すものかと友人は思う。
「先に謝っておく」
「え? 何?」
「覚悟しろ」
そうして友人は、青年が泣いても喚いても十年分の想いの丈をその身体に叩きつけたのだった。
「あ……あ……あ……」
友人の本気はすごかった。
付き合っていた時に抱かれたのはなんだったのかと聞きたくなるぐらい昨夜は激しくて、甘かった。
「大丈夫か?」
動けなくなった身体を友人に抱き寄せられる。洗浄魔法でキレイにしてもらったから、身体はさっぱりしている。
青年は友人に身体を摺り寄せた。
「ん……ちょっとつらいかも」
「悪い。我慢がきかなかった。それで、俺とまた付き合ってくれるか?」
「……ゆ、昨夜みたいにいっぱい抱いてくれる?」
友人は目を見開いた。
「昨夜みたいにしてもいいのか? これからも」
「い、いっぱい抱かれたいって言っただろっ!」
「ああ、嫌ってぐらい抱いてやるよっ!」
「ああっ……!」
感じやすくて快楽に弱い青年は、絶倫でいくらでも甘く抱いてくれる恋人を今度こそ手に入れたのだった。
おしまい。
天使になって友人とその友人たちに囲われるバージョンもちょっと考えたんですが、二人だけの世界ってのもいいですよね。
お付き合いありがとうございましたー
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甘々の作品ありがとうございます❣️
天使になって複数に囲われるパターンも読んでみたいです〜💕
気が向いたらぜひ!お願いします🙏
そうですね。
もう1パターン考えてみましょうか~。