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36.王立学園で仲良かった友人が来てくれました
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「ローゼ、久しぶり……」
「マリーン、会えて嬉しいわ」
なんと、王立学園で友人だったイセンテ伯爵令嬢が様子を見に来てくれた。伯爵令嬢といえどもそう簡単には王宮に足を踏み入れることはかなわないのだけど、お兄さんが近衛騎士なのだそうだ。それってコネですよね。いいですね、コネのある人は。思わず遠い目をしてしまった。
「私、本当に貴女を心配していたのだけれども、無事でよかったわ」
そうしみじみと言われてしまい、友情というものは大事だなと思ったのだけど。
「で? どうしてローゼがヴィクトーリア様の侍女をしているの?」
とてもキレイな笑顔なんですが、目が笑っていなくてとても怖いです。見目麗しい顔をそんなに近づけないでほしい。この世界って本当に美形が多いよね。
「ええ……どうしてと言われても……ヴィクトーリア様に気に入っていただけたから?」
「ローゼ? その気に入っていただけた理由を聞いているのよ。貴女と王太子妃殿下はほとんど接点なんてなかったはずよね?」
「それを聞いてどうするつもり?」
「ヴィクトーリア様?」
私は一応ヴィクトーリア様の許可をとって応接間に来ていた。プランタ公爵とヴィクトーリア様からチートな腕輪をもらっているので(何がなんでも外れないし、もし私に物理的に危害を加えようとすると風魔法が発動することになっている。突風的な何からしい。怖い)やっと同じ階であれば離れてもいいことになったのだった。でもキレイに着飾ったヴィクトーリア様がいらっしゃった。どういうことなのだろう?
「たぶん、これまでのことをローゼが質問責めにされるのではないかと思ったから私も来てみたの。ローゼではどこまで話していいかわからないでしょうからね」
マリーンはさっと立ち上がると礼をした。
「王太子妃殿下自らいらっしゃるとは思いませんでした。無作法を失礼します」
「気にしなくていいわ。座ってちょうだい」
そう言ってヴィクトーリア様は私の隣に腰掛けた。
「確かにね……私とローゼの接点は一見ないようだったけど、王太子様に男爵令嬢が逆らえるはずはないでしょう? だからずっと心配して見守っていたのよ」
痛みをこらえるような顔でヴィクトーリア様は嘘八百を述べた。
「……ではどうして取り巻きたちからの嫌がらせは止めさせなかったのですか?」
「それで王太子様から離れられるならそれでいいと思っていたのよ。でもことはそう簡単にはいかなかったわ」
「そうなのですか……」
ヴィクトーリア様とマリーンの目がとってもこわいよう。
「では、王太子妃殿下は王太子殿下がローゼを諦めるまでは側に置くと、そういうことでよろしいですか?」
「ええ、近くにいないといざという時に守れないから……」
マリーンはようやくヴィクトーリア様の意図を理解してくれたようだ。よかったよかった。
でもマリーンの次の言葉に私は目を見開いた。
「では……私が王太子殿下を誘惑してもかまいませんか?」
「えええ!?」
なんで? どうしてそうなるの? 誘惑? ユーワク? 幽〇白書? 私あのマンガ全然読んでなかったんだよね、じゃなくて!
ヴィクトーリア様があら? という表情をした。
「イセンテ伯爵令嬢は、王太子様が好きだったの?」
「ええ、あの顔が大好きですわ」
「……そう」
どうやらマーリンはひそかに王太子を狙っていたらしい。初耳です。ってひそかにだもんね。私が知ってるわけないよねー。
「誘惑って、どうするつもり?」
「一番いいのは舞踏会を開いていただくことなんですけど、それどころではなさそうですので……王家の遠縁ということを生かしてどうにか接点を持っていきたいと……」
東大デモクラシーじゃない、灯台下暗しである。まさか私の友人が王家の遠縁の娘だったなんて。でもそれを王太子妃であるヴィクトーリア様の前で平然と言ってしまうってどうなんだろう。
「そうね。もちろん私はかまわないわ」
「ありがたき幸せ。王太子妃殿下の寛大なお心に感謝します」
なんだかできすぎてる気がするけど、友人がそれでいいならいいのではないかとも思った。詳しくはきっとヴィクトーリア様が話してくれるだろう。って私丸投げしすぎじゃないですか?
「マリーン、会えて嬉しいわ」
なんと、王立学園で友人だったイセンテ伯爵令嬢が様子を見に来てくれた。伯爵令嬢といえどもそう簡単には王宮に足を踏み入れることはかなわないのだけど、お兄さんが近衛騎士なのだそうだ。それってコネですよね。いいですね、コネのある人は。思わず遠い目をしてしまった。
「私、本当に貴女を心配していたのだけれども、無事でよかったわ」
そうしみじみと言われてしまい、友情というものは大事だなと思ったのだけど。
「で? どうしてローゼがヴィクトーリア様の侍女をしているの?」
とてもキレイな笑顔なんですが、目が笑っていなくてとても怖いです。見目麗しい顔をそんなに近づけないでほしい。この世界って本当に美形が多いよね。
「ええ……どうしてと言われても……ヴィクトーリア様に気に入っていただけたから?」
「ローゼ? その気に入っていただけた理由を聞いているのよ。貴女と王太子妃殿下はほとんど接点なんてなかったはずよね?」
「それを聞いてどうするつもり?」
「ヴィクトーリア様?」
私は一応ヴィクトーリア様の許可をとって応接間に来ていた。プランタ公爵とヴィクトーリア様からチートな腕輪をもらっているので(何がなんでも外れないし、もし私に物理的に危害を加えようとすると風魔法が発動することになっている。突風的な何からしい。怖い)やっと同じ階であれば離れてもいいことになったのだった。でもキレイに着飾ったヴィクトーリア様がいらっしゃった。どういうことなのだろう?
「たぶん、これまでのことをローゼが質問責めにされるのではないかと思ったから私も来てみたの。ローゼではどこまで話していいかわからないでしょうからね」
マリーンはさっと立ち上がると礼をした。
「王太子妃殿下自らいらっしゃるとは思いませんでした。無作法を失礼します」
「気にしなくていいわ。座ってちょうだい」
そう言ってヴィクトーリア様は私の隣に腰掛けた。
「確かにね……私とローゼの接点は一見ないようだったけど、王太子様に男爵令嬢が逆らえるはずはないでしょう? だからずっと心配して見守っていたのよ」
痛みをこらえるような顔でヴィクトーリア様は嘘八百を述べた。
「……ではどうして取り巻きたちからの嫌がらせは止めさせなかったのですか?」
「それで王太子様から離れられるならそれでいいと思っていたのよ。でもことはそう簡単にはいかなかったわ」
「そうなのですか……」
ヴィクトーリア様とマリーンの目がとってもこわいよう。
「では、王太子妃殿下は王太子殿下がローゼを諦めるまでは側に置くと、そういうことでよろしいですか?」
「ええ、近くにいないといざという時に守れないから……」
マリーンはようやくヴィクトーリア様の意図を理解してくれたようだ。よかったよかった。
でもマリーンの次の言葉に私は目を見開いた。
「では……私が王太子殿下を誘惑してもかまいませんか?」
「えええ!?」
なんで? どうしてそうなるの? 誘惑? ユーワク? 幽〇白書? 私あのマンガ全然読んでなかったんだよね、じゃなくて!
ヴィクトーリア様があら? という表情をした。
「イセンテ伯爵令嬢は、王太子様が好きだったの?」
「ええ、あの顔が大好きですわ」
「……そう」
どうやらマーリンはひそかに王太子を狙っていたらしい。初耳です。ってひそかにだもんね。私が知ってるわけないよねー。
「誘惑って、どうするつもり?」
「一番いいのは舞踏会を開いていただくことなんですけど、それどころではなさそうですので……王家の遠縁ということを生かしてどうにか接点を持っていきたいと……」
東大デモクラシーじゃない、灯台下暗しである。まさか私の友人が王家の遠縁の娘だったなんて。でもそれを王太子妃であるヴィクトーリア様の前で平然と言ってしまうってどうなんだろう。
「そうね。もちろん私はかまわないわ」
「ありがたき幸せ。王太子妃殿下の寛大なお心に感謝します」
なんだかできすぎてる気がするけど、友人がそれでいいならいいのではないかとも思った。詳しくはきっとヴィクトーリア様が話してくれるだろう。って私丸投げしすぎじゃないですか?
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