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プロローグ
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「ヒロインと王子が悪役令嬢を断罪する物語ってありふれてない?」
「そうだね。もうずいぶんと溢れてる気がするね」
「逆に、悪役令嬢がヒロインと王子を断罪する物語ってどうだろう?」
「いいんじゃない? それ面白そう!」
……というノリから書かれた小説「悪役令嬢でございますでございますのことよ!」のヒロインです。こんにちは。
今私は何故か悪役令嬢のポジションであるヴィクトーリア様に腕を絡められて、王立学園の卒業記念パーティーの会場に連行されています。
「……何故ローゼがお前と一緒にいる?」
この国の王太子が不機嫌そうに低い声を出した。
「あら、婚約者に対して”お前”だなんて失礼ではありませんか? ローゼリンデ様とは以前から仲良くさせていただいていますのよ?」
「そんなはずはっ……!」
「ローゼリンデ様はたまたまこの会場に迷い込まれてしまったみたいなの。でも、許可がない者がここに足を踏み入れるのは重罪でございましょう? ですから特別に許可をいただいて参りましたのよ?」
ヴィクトーリア様は王太子にそう言って、プランタ公爵家の許可証を見せた。(プランタ公爵家はヴィクトーリアの家)
「もしこれがなかったらと思うとゾッとしますわ。ローゼ、方向音痴もこれからは大概にしてくださいましね?」
なんかすごく親し気に名を呼ばれてしまった。
「……は、はい……ヴィクトーリア様、ありがとうございます……」
逃げたい。今すぐ裸足で逃げ出したいのに絡められた腕の力が強すぎて全く抜け出せない。
「ローゼから離れろ!」
「何故ですの?」
「お、お前はっ、ローゼにした数々の嫌がらせをなかったことにする気かっ!? こんな女と婚約などしていられない! ヴィクトーリア・フォン・プランタ! お前との婚約を破棄する!」
……あ~あ、言っちゃった……。
ここでざまあされるのは王太子と私。
私は小説通りに牢屋に入れられることはないのだけれど、何をさせられるのかは想像もつかない。
これからの自分の運命を思って、私は遠い目をした。
「そうだね。もうずいぶんと溢れてる気がするね」
「逆に、悪役令嬢がヒロインと王子を断罪する物語ってどうだろう?」
「いいんじゃない? それ面白そう!」
……というノリから書かれた小説「悪役令嬢でございますでございますのことよ!」のヒロインです。こんにちは。
今私は何故か悪役令嬢のポジションであるヴィクトーリア様に腕を絡められて、王立学園の卒業記念パーティーの会場に連行されています。
「……何故ローゼがお前と一緒にいる?」
この国の王太子が不機嫌そうに低い声を出した。
「あら、婚約者に対して”お前”だなんて失礼ではありませんか? ローゼリンデ様とは以前から仲良くさせていただいていますのよ?」
「そんなはずはっ……!」
「ローゼリンデ様はたまたまこの会場に迷い込まれてしまったみたいなの。でも、許可がない者がここに足を踏み入れるのは重罪でございましょう? ですから特別に許可をいただいて参りましたのよ?」
ヴィクトーリア様は王太子にそう言って、プランタ公爵家の許可証を見せた。(プランタ公爵家はヴィクトーリアの家)
「もしこれがなかったらと思うとゾッとしますわ。ローゼ、方向音痴もこれからは大概にしてくださいましね?」
なんかすごく親し気に名を呼ばれてしまった。
「……は、はい……ヴィクトーリア様、ありがとうございます……」
逃げたい。今すぐ裸足で逃げ出したいのに絡められた腕の力が強すぎて全く抜け出せない。
「ローゼから離れろ!」
「何故ですの?」
「お、お前はっ、ローゼにした数々の嫌がらせをなかったことにする気かっ!? こんな女と婚約などしていられない! ヴィクトーリア・フォン・プランタ! お前との婚約を破棄する!」
……あ~あ、言っちゃった……。
ここでざまあされるのは王太子と私。
私は小説通りに牢屋に入れられることはないのだけれど、何をさせられるのかは想像もつかない。
これからの自分の運命を思って、私は遠い目をした。
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