【完結】巨人族の皇子たち四人と、異世界ラブラブ性活にいたるまで

浅葱

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206.館とか仕える人たちとか

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 文浩が言った通り、領主館は高台にあった。
 文浩に抱かれて馬車を下りると、ずらりと人が並んで平伏していた。びっくりした。

「そなたら……」
「此度は皇子殿下たちの住処としてこちらの領地を選んでくださったこと、まことにありがとうございます。我ら臣民は誠心誠意殿下們にお仕えすることを誓います」
「免礼(なおれ)。私が抱いているのは我が命よりも大事な”運命の伴侶”である。決して我らの許可なく近寄らぬよう徹底せよ」
「承知いたしました!」

 一斉に返事をしたものだからうるさくてまた驚いた。
 世話係たちが芳梨の入った籠を運んできた。その後ろに将軍がついている。芳梨はすやすやと寝ているようだった。

「赤子は寝ている。静かに案内せよ」

 文浩が静かに言うと、みな音を立てずに動いた。よく訓練されているのだなと感心した。それにしてもみなでかいし、美形が多い。なんで俺なんかが文浩たちの嫁になったのかみなわからないだろうと思う。
 館には観音扉があり、そこがゆっくりと開かれた。広い場所で、そこは建物のエントランス部分になるそうだ。そこを通って別の部屋に移動するらしい。渡り廊下を通り、東側の一角が芳梨たちの部屋となった。基本子ども部屋は東側となるそうだ。俺たちの部屋は一番南の奥の部屋で、南西に寝室があり、南東は文浩たちの執務室だと教えられた。王城の部屋も広いと思ったが、ここの部屋は更に広いし、ベッドも一回り以上大きくなっててくらくらしてしまった。
 寝室の北西に使用人部屋があり、そこに文浩たちは床を用意させたという。三人は入らないが、二人ならば入るからと使用人部屋の前にもう一台床を置いてそこで三人は寝るのだと聞いた。北西って館の主人が寝る場所ではないだろうと思った。

「そ、そんなことしなくていいから……」
「芳?」

 文浩たちは不思議そうな顔をした。頬が熱い。

「だめ、だから……一応お前らも夫なんだし……せめてこっちに床を移動しろよ」

 そう言ってでかい床の横を指さした。

「……いいのか?」

 コクリと頷く。使用人部屋に文浩たちを押し込めるなんてしちゃいけない。同じ床で寝るのはまだできそうもないけど、側にいるぐらいは許してやろうと思った。

「ありがとう、芳」

 文浩がとても嬉しそうに笑んだ。だからその顔は反則だってば! しかもまだ文浩に抱き上げられたままだから至近距離ぃっ。
 俺は目を反らした。こんな距離で美形を見てはいけないのだ。
 だから文浩が少し傷ついたような目をしていたことには、俺は気づかなかった。

「授乳の前に館で働く者たちを紹介しよう。雷月、そなたにもだ」
「はい」

 てっきりこの部屋に呼ぶのかと思ったけど、文浩は隣の執務室の方へ移動した。食堂は東側にあるらしい。執務室を抜けて向かえるから、俺さえよければそちらで食事を取ろうと言われた。
 執務室を出、渡り廊下を五メートルも進めばもうそこは食堂だった。この国の建物って基本は平屋建てで、建物と建物を渡り廊下で繋ぐ形になっている。土地があるからそういうことができるのかなと思った。
 食堂では使用人? たちが待っていた。
 さっき見た人もいた。その人が代官だったらしい。こちらも美形で、印象としては建文っぽかった。って、代官って聞いたのに見た目若いな。

「文浩皇子、建文皇子、西文皇子、雷月皇子、この度は御子が誕生されましたことまことにおめでとうございます。また、奥さまに魔法の使い方を教えていただいたことにより歳入が増えております。御礼申し上げます」

 代官は平伏してそう言った。そんな大したことを言ったつもりはなかったんだけど……。
 家令と侍従、武官なども紹介された。代官はこの館より下にある建物で主に執務を行うそうだ。文浩たちの仕事場は代官がいる建物でもここでもかまわないらしい。
 そしてお披露目はできるだけ早く、そして長い期間行ってほしいと言われた。
 えええ、と思った。

「長期間とはどれほどか」

 文浩が困惑したように聞いた。

「毎日でなくてもかまいませんので、できれば一年ほどは見せていただけると助かります」
「い、一年!?」

 さすがに口を挟んでしまった。一年間も雷月たちに抱かれるのを誰かに見せろってこと? まぁ授乳時は毎回世話係に見られてるし、授乳期間は三年ぐらいあるって聞いてるからそこは覚悟してるけど……。

「そこまで長期間の披露を求める理由はなにか?」

 建文が前に出た。

「失礼ですが、奥さまは”天使”さまと伺っています」
「そうだが、それが何か?」
「”天使”さまは性欲が強い。皇子たちが”天使”さまの性欲を満たせるかどうか、領民は不安に思っております」

 え? 何? 俺のせい?

「これは不思議なことをいうものだ。我が妻は”天使”さまではあるが万事控えめでな。我らの愛撫で悲鳴を上げる程毎日満たしているぞ」

 西文が余計なことを言った。後でイチモツを引っ張ってやると思った。

「殿下們で奥さまを満足させられると?」

 代官が意地悪く笑んだ。

「当然だ」
「それはたいへんな失礼を。ですが三日に一度程度でかまいませんので、一年程はお披露目をしていただきたいというのは変わりません。もし奥さまが殿下們ではとても満足できないと思われましたらお声掛けください。たっぷりと満たして差し上げますので」

 その流し目の色っぽさに俺は真っ赤になった。コイツ危険だ。
 俺は慌てて文浩の胸に顔を埋めた。怖い。文浩たちのを受け入れるのだって毎日たいへんなのに、他の奴のイチモツなんかいるかよっ。

「孫偉(スンウェイ)、冗談はほどほどにせよ」
「冗談ではございませぬ。私は触手族との混血ですので、奥さまの全身を満たすことが可能ですよ」
「下がれ」

 触手族って何ー? 混血って何ー?
 情報量が多すぎて、俺は泣きそうになった。こんなんでやっていけるんだろうか。
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