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191.今後のことを相談してみる
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一月が経ったことで、今後どうするのかという話になった。
そういえば領地に移るなんて話もしていた気がする。俺なんかもう、抱かれすぎて頭ぱやんぱやんしてるから正直よくわからないんだけどな。
「せめて芳梨の首が座ってからにするべきかと。転移は身体に負担をかけますので」
建文が冷静にそう言った。
「そうするとあと一月ほどか」
「最短でそれぐらいですね」
文浩は難しい顔をした。
「……弱ったな」
「なにか問題でも?」
雷月が尋ねた。
「芳梨の護衛として成将軍がいるだろう。あれはまだ仮の状態なのだ。あまりこちらにいる時間が長いとそれが正式になってしまう可能性がある。そうなると領地についてくることになるのだ」
「それは困りますね」
雷月が眉を寄せた。
俺は雷月の腕に横抱きにされたまま首を傾げた。あの将軍、確かに好きじゃないけどすっごく強いんだよね? 芳梨の正式な護衛になったらなんか問題あるのかな?
「……あの将軍が護衛になると、なんか問題でもあるの?」
みな一斉に嘆息した。え? なんで?
「……芳が成将軍に全くその気がないことはわかっているが……」
「え? やだよ?」
文浩の呟きに俺は即答した。はっきり言って雷月以外本当はやだからな? ま、まぁ文浩たちには、少しは絆されてきてるけどさっ。
「私たちに対しては、私たちが芳にひどいことをしたからわかるのですが、離婚したとはいえ成将軍は誰もが羨む美丈夫ですよ?」
建文が不思議そうに聞く。そこらへんはもう完全に文化の違いだ。
「俺がいた世界は一夫一婦制だったの。その昔だって一夫多妻制はあったけど、嫁が夫沢山とかいう文化で育ってないんだよ。だから、お前らは雷月のオマケなの!」
雷月にきゅっと抱き着いて主張してみた。
「……オマケでも触れさせてもらえるだけありがたいな」
西文はそう言って笑んだ。
「ということはこの先、夫を増やしたいとは思わないということだな」
「雷月がいて、お前らがいるだけで夫が四人とかすでにありえないから! これ以上とか絶対いらないしっ!」
すでにキャパオーバーだ。あんまりあほなことを言わないでほしい。俺が憤っているのに、文浩たちはあからさまにほっとしたような顔をした。
「だいたい……夫は三、四人が平均なんだろ? なんで俺が増やすとか思ったワケ?」
「芳は”天使”だからな」
文浩が呟くように言う。建文が補足した。
「”天使”さまの性欲は抱かれれば抱かれるだけ増えますので。夫一人では足りませんし、やはり年々夫が増えていくなんてことも聞いたことがあります」
「年々!?」
それはいったいどういうことなんだよ。
「元々”天使”は魔物の頂点である鬼を駆逐する為に生まれた存在とも言われています。鬼の性欲についていく為に性欲が増大するようになったのでしょう。ですから、いくら巨人族といえど鬼ではない私たちには限界があるのですよ」
「鬼って、怖い存在なんだろ?」
「そうですね。とても太刀打ちできない恐ろしい存在です。一部領地の近くにも森があります。結界は敷いていますので鬼が出てくることはありませんが、ひとたび鬼が出てくるとその被害ははかり知れません」
「……”天使”は鬼を駆逐するって……」
「鬼は”天使”を溺愛します。ですが”天使”は子を成せません」
「ああ、そういう……」
鬼たちが”天使”を愛せば子が成せなくてやがていなくなるって話なのか。気の長い話だと思った。
「ですから、芳さまが夫を増やすということにならないか、私も兄上たちも不安でならないのですよ」
雷月はそう言って、俺の頬に口づけた。そういえばそんな話だった。また脱線してしまった。
「俺、雷月以外、やだ……」
「存じています。私も芳さま以外嫌です」
「うん……」
雷月がわかってくれているならいいんだ。
「で、将軍がなんだって?」
「私共が絶対に離れないようにすれば問題はないかと思います。それでも不安は不安なのですよ」
「俺があの将軍に抱かれたくならないかって?」
「芳さまが私たち以外に抱かれようとするとは思いません。ですが相手は将軍です。警戒するに越したことはないのですよ」
「じゃあ、もう領地に移動しちゃう? でも護衛とかどうなるんだ?」
「領地へ向かえば我らの乳兄弟がいる。彼らも我らの力になってくれるはずだ」
「はずだ、じゃなくて情報が確定してから決めて? 芳梨は大事な俺たちの子なんだからさ」
「そうだな」
文浩が笑んだ。その笑みにどきどきしたけど、俺はそっぽを向いた。
でも、もし将軍が本気で芳梨の護衛をしようとしたなら……俺たちが将軍にかなうことはないんだろうな。
あの将軍、いったい何を考えてるんだろう。文浩に絡むことが多いから、もしかして文浩の尻を狙ってるんだろうか。
あ、なんかすっごく気になってきた。
でも聞いたら怒られるかな?
俺は思わずそわそわし始めてしまった。だってあんなに文浩に絡むってことはーとか考えてしまったのだ。
将軍に組み敷かれる文浩……うん、ありだな。そういうサンドイッチってなんか楽しそう。将軍にヤられてる文浩にだったら乗ってもいいかも! それで将軍と一緒に文浩を可愛がったらめちゃくちゃ楽しそう。
俺はとんでもないことを妄想し始めて、なんだか楽しくなってしまったのだった。
ーーーーー
文浩に言ったらお仕置きされちゃう妄想(笑)
そういえば領地に移るなんて話もしていた気がする。俺なんかもう、抱かれすぎて頭ぱやんぱやんしてるから正直よくわからないんだけどな。
「せめて芳梨の首が座ってからにするべきかと。転移は身体に負担をかけますので」
建文が冷静にそう言った。
「そうするとあと一月ほどか」
「最短でそれぐらいですね」
文浩は難しい顔をした。
「……弱ったな」
「なにか問題でも?」
雷月が尋ねた。
「芳梨の護衛として成将軍がいるだろう。あれはまだ仮の状態なのだ。あまりこちらにいる時間が長いとそれが正式になってしまう可能性がある。そうなると領地についてくることになるのだ」
「それは困りますね」
雷月が眉を寄せた。
俺は雷月の腕に横抱きにされたまま首を傾げた。あの将軍、確かに好きじゃないけどすっごく強いんだよね? 芳梨の正式な護衛になったらなんか問題あるのかな?
「……あの将軍が護衛になると、なんか問題でもあるの?」
みな一斉に嘆息した。え? なんで?
「……芳が成将軍に全くその気がないことはわかっているが……」
「え? やだよ?」
文浩の呟きに俺は即答した。はっきり言って雷月以外本当はやだからな? ま、まぁ文浩たちには、少しは絆されてきてるけどさっ。
「私たちに対しては、私たちが芳にひどいことをしたからわかるのですが、離婚したとはいえ成将軍は誰もが羨む美丈夫ですよ?」
建文が不思議そうに聞く。そこらへんはもう完全に文化の違いだ。
「俺がいた世界は一夫一婦制だったの。その昔だって一夫多妻制はあったけど、嫁が夫沢山とかいう文化で育ってないんだよ。だから、お前らは雷月のオマケなの!」
雷月にきゅっと抱き着いて主張してみた。
「……オマケでも触れさせてもらえるだけありがたいな」
西文はそう言って笑んだ。
「ということはこの先、夫を増やしたいとは思わないということだな」
「雷月がいて、お前らがいるだけで夫が四人とかすでにありえないから! これ以上とか絶対いらないしっ!」
すでにキャパオーバーだ。あんまりあほなことを言わないでほしい。俺が憤っているのに、文浩たちはあからさまにほっとしたような顔をした。
「だいたい……夫は三、四人が平均なんだろ? なんで俺が増やすとか思ったワケ?」
「芳は”天使”だからな」
文浩が呟くように言う。建文が補足した。
「”天使”さまの性欲は抱かれれば抱かれるだけ増えますので。夫一人では足りませんし、やはり年々夫が増えていくなんてことも聞いたことがあります」
「年々!?」
それはいったいどういうことなんだよ。
「元々”天使”は魔物の頂点である鬼を駆逐する為に生まれた存在とも言われています。鬼の性欲についていく為に性欲が増大するようになったのでしょう。ですから、いくら巨人族といえど鬼ではない私たちには限界があるのですよ」
「鬼って、怖い存在なんだろ?」
「そうですね。とても太刀打ちできない恐ろしい存在です。一部領地の近くにも森があります。結界は敷いていますので鬼が出てくることはありませんが、ひとたび鬼が出てくるとその被害ははかり知れません」
「……”天使”は鬼を駆逐するって……」
「鬼は”天使”を溺愛します。ですが”天使”は子を成せません」
「ああ、そういう……」
鬼たちが”天使”を愛せば子が成せなくてやがていなくなるって話なのか。気の長い話だと思った。
「ですから、芳さまが夫を増やすということにならないか、私も兄上たちも不安でならないのですよ」
雷月はそう言って、俺の頬に口づけた。そういえばそんな話だった。また脱線してしまった。
「俺、雷月以外、やだ……」
「存じています。私も芳さま以外嫌です」
「うん……」
雷月がわかってくれているならいいんだ。
「で、将軍がなんだって?」
「私共が絶対に離れないようにすれば問題はないかと思います。それでも不安は不安なのですよ」
「俺があの将軍に抱かれたくならないかって?」
「芳さまが私たち以外に抱かれようとするとは思いません。ですが相手は将軍です。警戒するに越したことはないのですよ」
「じゃあ、もう領地に移動しちゃう? でも護衛とかどうなるんだ?」
「領地へ向かえば我らの乳兄弟がいる。彼らも我らの力になってくれるはずだ」
「はずだ、じゃなくて情報が確定してから決めて? 芳梨は大事な俺たちの子なんだからさ」
「そうだな」
文浩が笑んだ。その笑みにどきどきしたけど、俺はそっぽを向いた。
でも、もし将軍が本気で芳梨の護衛をしようとしたなら……俺たちが将軍にかなうことはないんだろうな。
あの将軍、いったい何を考えてるんだろう。文浩に絡むことが多いから、もしかして文浩の尻を狙ってるんだろうか。
あ、なんかすっごく気になってきた。
でも聞いたら怒られるかな?
俺は思わずそわそわし始めてしまった。だってあんなに文浩に絡むってことはーとか考えてしまったのだ。
将軍に組み敷かれる文浩……うん、ありだな。そういうサンドイッチってなんか楽しそう。将軍にヤられてる文浩にだったら乗ってもいいかも! それで将軍と一緒に文浩を可愛がったらめちゃくちゃ楽しそう。
俺はとんでもないことを妄想し始めて、なんだか楽しくなってしまったのだった。
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