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77.皇子たち、本音を聞く

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雷月以下、皇子たち視点。三人称です。
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 久しぶりのお酒だったからなのか、真崎はその夜ひどく乱れた。
 夕食後はすぐに潤んだ目で雷月を見つめ、

「雷月、好き……」

 と訴えた。ただでさえ日々かわいくなっていく真崎に雷月は翻弄されているのだ。そんなことを言われて理性がぶち切れそうになってしまったのは仕方ないだろう。ほんのり赤く染まった頬を撫で、雷月は真崎に口づけた。
 真崎は本当に慣れていなくて、口づけもぎこちない。その慣れない仕草を雷月は愛していた。もちろんそのうち慣れて、もっと口づけがうまくなったらなったで可愛がってしまうことは間違いないだろう。ようは真崎であればなんでもいいのである。
 雷月は自分が思っているよりも真崎に溺れていた。

「んっ、んっ……」

 口づけをうっとりと受けている真崎が、雷月は愛しくてならなかった。”運命”というのを抜きにしても真崎は素直でとてもかわいい。”天使”だから30歳を迎えているはずなのだが、全然擦れていなくて雷月に依存している姿は閉じ込めてしまいたくなるほどだ。

「んぁっ……はぁ、んっ……」

 口づけをそっと解いて唇をぺろぺろ舐めれば、真崎がもっと赤くなった。

「まだ食休みの時間ですが……ベッドへ移動しましょうか」
「……うん」

 お酒が入っているせいか、真崎は素直に応じた。いつも雷月に対して素直であることに変わりはないのだが、今夜は色気が出て、恥じらいが薄れている。そんな真崎も愛しくて、雷月は真崎を抱き上げた。

「雷月、好き……」
「私も、真崎さまのことを愛していますよ」
「うれし……」

 雷月の理性は今にもぶち切れそうだった。そんな時に文浩たちが戻ってきたので、雷月はどうにかそのまま真崎を襲わないですんだ。だがそれが真崎には気に食わなかったらしい。

「んー……なんでアイツらがいるのぉ?」
「真崎さま?」
「真崎?」

 真崎の目は座ってた。その目で文浩たちを睨んだ。そしてぎゅうぎゅうと雷月を抱きしめた。

「俺、雷月がいればそれでいいのに……なんでアイツらもいないとダメなの……?」

 真崎の目からぽろぽろと涙がこぼれた。これは明らかに酔っていると雷月は気づいた。

「真崎さま、もしかして酔っておいででは?」
「酔ってない~」

 酔っ払いほど自分が酔っていないと主張するものである。真崎はいやいやをするように首を振った。

「雷月、真崎に酒を飲ませたのか?」

 文浩が事実を聞く為といった声音で雷月に尋ねた。

「はい。この国にもお酒はあるのかと聞かれましたので、果実酒を用意させました」
「そうか。真崎はあまり酒に強くはないのだな」

 文浩が納得したように頷いた。真崎はそのことも気に食わない様子だった。

「酒に強くないからなんだって? 俺、まだまだお前らのこと許してないんだからな!」
「ああ、許してもらえるとは思っていない。だが、どう償えばいいのかも私たちにはわからないのだ。悪いが、教えてもらえないだろうか」

 真崎は目を吊り上げた。
 文浩の返答が気に食わなかったようだった。

「……なんでお前らは俺に触れるんだよ? なんで俺は雷月だけじゃなくてお前らにもまたいずれヤられなくちゃいけないんだよっ!?」
「真崎さま、それは……」

 真崎の目からまたぼろぼろと涙がこぼれた。

「わかってるよ! 俺が”天使”だからだろっ? ”天使”だから、いずれ雷月だけじゃ足りなくなるから、お前らのことも受け入れなきゃいけないんだろ? でもっ、でもっ、そんなのやだぁあああっっ!!」
「真崎……」

 それは真崎の本音だった。みなはっとして、真崎を見つめた。

「真崎さま、申し訳ありません。私一人では真崎さまを満足させられないということはとても悔しいです……ですが……」
「わかってる……もん。だから……もう、いいから……」
「真崎さま?」
「俺、どうせ淫乱、だから……いっぱい、気持ちよくして……?」

 雷月は痛ましそうな表情で、床に真崎を優しく下ろした。愛する真崎が淫乱なのはとても好ましいと雷月は思う。何故真崎が自嘲するかのようにそう言ったのか、雷月にはわからなかった。
 雷月は決して兄たちが好きなわけではない。だが”運命”に拒絶される苦しみを想像するだけで胸がひどく痛んだ。そして兄たちにひどい目に合わされた真崎を、もっと優しく慰めたいとも思った。
 だが雷月だけではだめなのだ。”天使”の身体は貪欲で、抱かれれば抱かれるほど性欲が強くなる。だから、文浩たちはどうにかして挽回しなければならない。

「兄上たちも、よろしいのですか?」
「俺のこと……気持ちよくしなかったら、許さない……」

 涙目でそんなことを言われてもかわいいだけだ。文浩たちもまた勃たないはずのイチモツが勃起しそうなほど興奮した。

「真崎、愛している……」
「真崎、愛しています」
「真崎、愛している……かわいい乳首を育てさせてくれ」

 床に近づいてきた三人に、真崎はそっと頷いた。その目からまた涙がぽろりとこぼれたが、もうみな、待てるはずがなかった。
 雷月は優しく、何度も真崎に口づけた。

「んっ……んんっ……!」

 それはついばむような口づけだったが、真崎を見ている文浩たちにとっては羨ましいことだった。ろくに口づけもしなかったのに、雷月に口づけられてぽーっとしている真崎がひどくかわいく映った。

「真崎を傷つけない為にも……不能になる魔法はしばらくかけ続けてもらった方がよさそうだな」

 期限とされる一月を過ぎたとしても、真崎が愛撫以外を望まなかったら決して抱こうとしてはならない。その場合はまた魔法をかけてもらうしかないだろう。
 三人は愛撫でとてもかわいく乱れる真崎に夢中になってしまった。もっと真崎を可愛がりたい。この間までのことなんか忘れていっぱい気持ちよくなってほしいと文浩たちは思い、雷月がいいと言うまで彼らは近くで待っていた。
 そうして、口づけを解かれ、耳たぶを雷月に甘噛みされた真崎を眺めながら、文浩たちは今夜もたっぷり真崎を啼かせたのだった。
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