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57.お風呂に連れてって
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お風呂はこの建物の一階にあるのだという。
そうだよな。二階に風呂って排水の問題とかもありそう。
つか、なんで魔法が発展してる国なのにトイレが壺なの? 壺の中身どうしてるわけ? とかついつい考えてしまう。
よく聞いたらトイレは部屋の外にあるらしい。部屋の中にはないんだって。でも俺の姿を誰にも見せたくないから簡易で壺を置いたのだそうだ。うーん……まぁ、老廃物は毎朝毎晩浄化魔法でキレイにされてるから、いいのか?
ま、いっか。
一階のお風呂はそれなりに広さがあるらしい。4,5人余裕で入れるそうだ。楽しみでにこにこしてしまった。
この世界で初! お風呂!
とか言うとどんだけ不潔にしてたんだよとか考えてしまう。まぁ元の世界でも国とか地域とかで一生身体を拭くだけって人もいるらしいから、これは日本人の感覚かもしれない。
部屋の外へ出るからなのか、薄絹のベールのようなものを頭からかけられ、白い靴下を履かされた。この白い靴下、誰かのお嫁さんという証拠らしくて胸がきゅんきゅんしてしまう。お嫁さんは夫たち以外に生足を見せたらいけないんだって。
文浩たちが戻ってきてから風呂へ向かうことになった。
部屋では西文と建文が控え、文浩は俺の警備の為に付いてくるそうだ。
別に雷月と二人きりでいいのにとかちょっと思ってしまう。
「私は真崎さまを抱いていますから何かあった時に対処できませんので。文浩哥はとてもお強いので一緒にいれば安心ですよ」
実際それなりに逞しいしな。西文ほどむんってかんじではないけど頼もしく感じられる筋肉だ。
「ふうん? 文浩ってどれぐらい強いの?」
イマイチ基準がわからない。
「そうですね、剣の腕であれば我ら兄弟の中では一、二を争うのではないでしょうか」
「そんなに?」
皇子たちがどれだけ強いのかはよくわからないけど。
「魔法も使うんだろ?」
「私は魔法についてはそれほどうまく扱えない。基本的な魔法は使えるが舌に魔力を乗せるなどという芸当はできん」
文浩が答えた。舌に魔力を乗せる、と聞いて頬が熱くなった。
「そ、そう、なんだ……」
「魔力譲渡はそれなりに魔力量が多くないと難しいですから」
「治癒魔法を舌に乗せて使うなんてこともできんな」
「直接魔法を使うことで治りも早くなるのですよ」
「ふん、どうだか……」
雷月はにこにこしているが文浩は機嫌が悪そうに見えた。それがちょっと怖い。
俺は元の世界では190cmもあったしけっこう鍛えていたから怖がられていた側だった。それなのにここに来たら俺が小さく、守られる側に見られている。今思えば、よくあのおかしな皇子に立ち向かえたものだ。
雷月はまた階段を一足飛びにふわりと下りた。だからこの下り方も怖いってば。文浩も当たり前のように付いてくるし。
「こちらです」
普通誰か控えているのかと思ったら誰もいなかった。文浩が気づいたように扉を開けた。
雷月が俺を抱いたまま脱衣所に入った。
「今結界魔法を発動しましたので、これで誰もここには入れません」
雷月はそう断ってから俺の服などを脱がしてしまった。さすがに俺を抱いたまま服は脱げないだろう。一旦俺を文浩に渡すとさっと服を脱ぎ、すぐに俺を受け取って浴室に足を踏み入れた。その素早さに俺は呆気に取られた。侍従という人々の仕事がそれだけ洗練されているのか、それともこれは雷月の能力なのか判断がつかなかった。
「わぁ……」
お風呂は確かに広かった。バスタブではなく、岩で囲われた風呂である。これなら巨人族が5人ぐらい同時に入っても狭くは感じられなさそうだった。
「まずは身体を洗いましょう」
雷月がすのこのようなところに座り、木桶で湯を掬ってかけてくれた。じんわり温かくて泣きそうになった。
ただ、洗浄魔法があるのに身体を洗う? と首を傾げてしまった。
石鹸を泡立て、雷月の手で洗われることになって、そういうことかって頬が熱くなった。
「んっ……」
「真崎さま、どうなさいましたか?」
胸を洗っている体で乳首摘まんじゃだめっ。
「ちくび……」
「ここもいっぱい舐めさせていただきますからキレイにしませんと、ね?」
「ばかぁ……」
洗浄魔法で一発じゃないか。洗うなんて言いながらいろんなところに触れられて、湯で石鹸を洗い流された頃には少しぐったりしてしまった。
「真崎さま、お湯をどうぞ」
「ん」
さゆをもらってごくごく飲む。こういう気遣いに胸がきゅんきゅんしてしまう。でも石鹸つけてぬるぬるの状態でちんちん擦られたりしたのは嫌だったんだからねっ。(実はちょっと沁みた。治癒してもらった)
文浩も裸で浴室の隅に控えていた。タオルとか腰に巻いてないからでっかいイチモツが見えてちょっといたたまれない。
なんつーか俺の性癖? っていうの?
俺すっごくイチモツに執着があるから目に入ったらもう凝視せずにはいられない。あれ? でも文浩たちって一か月は貞操帯をつけてるんじゃなかったっけ?
「雷月……あの、さ」
「なんでしょう?」
「文浩たちって貞操帯付けてるんじゃ……」
「ああ……さすがに裸になる場面もございますので貞操帯は外しています。ですが、魔法で一時的に不能にしてありますので勃起はしませんよ」
雷月が恐ろしいことを笑顔で教えてくれた。
そ、それは男としてどうなんだ? 貞操帯を付けるよりもひどいのでは……とかちょっとだけ俺は文浩たちに同情してしまった。
そうだよな。二階に風呂って排水の問題とかもありそう。
つか、なんで魔法が発展してる国なのにトイレが壺なの? 壺の中身どうしてるわけ? とかついつい考えてしまう。
よく聞いたらトイレは部屋の外にあるらしい。部屋の中にはないんだって。でも俺の姿を誰にも見せたくないから簡易で壺を置いたのだそうだ。うーん……まぁ、老廃物は毎朝毎晩浄化魔法でキレイにされてるから、いいのか?
ま、いっか。
一階のお風呂はそれなりに広さがあるらしい。4,5人余裕で入れるそうだ。楽しみでにこにこしてしまった。
この世界で初! お風呂!
とか言うとどんだけ不潔にしてたんだよとか考えてしまう。まぁ元の世界でも国とか地域とかで一生身体を拭くだけって人もいるらしいから、これは日本人の感覚かもしれない。
部屋の外へ出るからなのか、薄絹のベールのようなものを頭からかけられ、白い靴下を履かされた。この白い靴下、誰かのお嫁さんという証拠らしくて胸がきゅんきゅんしてしまう。お嫁さんは夫たち以外に生足を見せたらいけないんだって。
文浩たちが戻ってきてから風呂へ向かうことになった。
部屋では西文と建文が控え、文浩は俺の警備の為に付いてくるそうだ。
別に雷月と二人きりでいいのにとかちょっと思ってしまう。
「私は真崎さまを抱いていますから何かあった時に対処できませんので。文浩哥はとてもお強いので一緒にいれば安心ですよ」
実際それなりに逞しいしな。西文ほどむんってかんじではないけど頼もしく感じられる筋肉だ。
「ふうん? 文浩ってどれぐらい強いの?」
イマイチ基準がわからない。
「そうですね、剣の腕であれば我ら兄弟の中では一、二を争うのではないでしょうか」
「そんなに?」
皇子たちがどれだけ強いのかはよくわからないけど。
「魔法も使うんだろ?」
「私は魔法についてはそれほどうまく扱えない。基本的な魔法は使えるが舌に魔力を乗せるなどという芸当はできん」
文浩が答えた。舌に魔力を乗せる、と聞いて頬が熱くなった。
「そ、そう、なんだ……」
「魔力譲渡はそれなりに魔力量が多くないと難しいですから」
「治癒魔法を舌に乗せて使うなんてこともできんな」
「直接魔法を使うことで治りも早くなるのですよ」
「ふん、どうだか……」
雷月はにこにこしているが文浩は機嫌が悪そうに見えた。それがちょっと怖い。
俺は元の世界では190cmもあったしけっこう鍛えていたから怖がられていた側だった。それなのにここに来たら俺が小さく、守られる側に見られている。今思えば、よくあのおかしな皇子に立ち向かえたものだ。
雷月はまた階段を一足飛びにふわりと下りた。だからこの下り方も怖いってば。文浩も当たり前のように付いてくるし。
「こちらです」
普通誰か控えているのかと思ったら誰もいなかった。文浩が気づいたように扉を開けた。
雷月が俺を抱いたまま脱衣所に入った。
「今結界魔法を発動しましたので、これで誰もここには入れません」
雷月はそう断ってから俺の服などを脱がしてしまった。さすがに俺を抱いたまま服は脱げないだろう。一旦俺を文浩に渡すとさっと服を脱ぎ、すぐに俺を受け取って浴室に足を踏み入れた。その素早さに俺は呆気に取られた。侍従という人々の仕事がそれだけ洗練されているのか、それともこれは雷月の能力なのか判断がつかなかった。
「わぁ……」
お風呂は確かに広かった。バスタブではなく、岩で囲われた風呂である。これなら巨人族が5人ぐらい同時に入っても狭くは感じられなさそうだった。
「まずは身体を洗いましょう」
雷月がすのこのようなところに座り、木桶で湯を掬ってかけてくれた。じんわり温かくて泣きそうになった。
ただ、洗浄魔法があるのに身体を洗う? と首を傾げてしまった。
石鹸を泡立て、雷月の手で洗われることになって、そういうことかって頬が熱くなった。
「んっ……」
「真崎さま、どうなさいましたか?」
胸を洗っている体で乳首摘まんじゃだめっ。
「ちくび……」
「ここもいっぱい舐めさせていただきますからキレイにしませんと、ね?」
「ばかぁ……」
洗浄魔法で一発じゃないか。洗うなんて言いながらいろんなところに触れられて、湯で石鹸を洗い流された頃には少しぐったりしてしまった。
「真崎さま、お湯をどうぞ」
「ん」
さゆをもらってごくごく飲む。こういう気遣いに胸がきゅんきゅんしてしまう。でも石鹸つけてぬるぬるの状態でちんちん擦られたりしたのは嫌だったんだからねっ。(実はちょっと沁みた。治癒してもらった)
文浩も裸で浴室の隅に控えていた。タオルとか腰に巻いてないからでっかいイチモツが見えてちょっといたたまれない。
なんつーか俺の性癖? っていうの?
俺すっごくイチモツに執着があるから目に入ったらもう凝視せずにはいられない。あれ? でも文浩たちって一か月は貞操帯をつけてるんじゃなかったっけ?
「雷月……あの、さ」
「なんでしょう?」
「文浩たちって貞操帯付けてるんじゃ……」
「ああ……さすがに裸になる場面もございますので貞操帯は外しています。ですが、魔法で一時的に不能にしてありますので勃起はしませんよ」
雷月が恐ろしいことを笑顔で教えてくれた。
そ、それは男としてどうなんだ? 貞操帯を付けるよりもひどいのでは……とかちょっとだけ俺は文浩たちに同情してしまった。
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