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51.みんな黒髪黒目です
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建文はなんていうか、いじめっ子ポジションだと俺は思う。
見た目がジャイ〇ンとかそういうことではない。見た目だけで言ったら建文は線が細く、美青年というかんじだ。でも実は雷月より逞しくて力もあるそうだ。細マッチョらしい。
顔立ちは兄弟なのでみな似ていてイケメンである。顔だけ見たらメンクイな俺ははうはうしてしまう。メンクイってたいへんだ。
じゃなくて。
体格で一番均整がとれているのは文浩だ。細すぎず太すぎず、まっすぐ立つと如何にも中華風の皇子様なかんじ。一番最初もあんなんじゃなくて、手を取られてじっと見つめられたりしたら一瞬で恋に落ちたんだろうってぐらい好みだったりする。ああもう自分が嫌だ。
背はみんな高いけど文浩が一番高い。次が建文で、その次が西文。雷月が一番背は低いけど、それでも俺より20cmぐらい高い。
がっしりしているのは西文だ。マッチョという程ではないけど身体がすごくしっかりしている。プロポーション抜群な文浩に、線が細い美形の建文、そして身体つきががっしりしている西文。違うタイプのイケメンだし、俺は確かにメンクイだけど、イケメンだからって何をしてもいいってわけじゃない。
イケメンだったら強姦されても嬉しいんじゃないかって? んなわけあるか! ありえない!
俺はゲイだけど、やっぱり三人のことが許せないって思う。もし女性があんな目に遭ったらって思ったら泣けてきた。この世界には男しかいないけど、俺が落ちてきたってことは俺の元の世界の女性だって落ちてくることがあるかもしれないじゃないか。
そんなことになったら俺が全力で守らなければと思ってしまうぐらい、三人が俺にしたことは許せないことだった。
「食休みを床でするのか」
「いいじゃないですか。真崎さまがかわいいからここで抱きしめていたいんです」
床で雷月に抱きついてごろごろしてた。雷月、俺のこと甘やかしすぎ。
「私も抱きしめたいな」
建文に言われてビクッとした。
「建文哥はだめですよ。私は真崎さまを癒しているのです。いっぱい傷ついてしまっているようですから……」
最後の方は声が低くなってちょっと怖かった。でも雷月以外やだ。
「……確かにな。欲望のままに犯した自覚はある」
床の側で建文が呟いた。
「”運命”だからと舞い上がっていた。”運命”なのだから余計に大事にしなければいけなかったのに」
そんなの今更だ。俺は雷月をぎゅうぎゅう抱きしめた。雷月も優しく俺を抱きしめ返してくれた。
「……兄上たちは性急すぎます。もう少し真崎の気持ちを考えてあげてください」
「ああ、そうだな。焦りすぎているな……」
なんで焦るんだって腹が立った。ずっと俺のことヤッてたくせに。俺が嫌だって泣いたって止めてくれなかったくせに。
「嫌い……文浩も、建文も、西文も嫌い……」
「そうだな。いくら”運命”だからって好きになってもらえるはずがなかった」
建文が自嘲する。
「だが、ご褒美はもらえないか? 文浩と西文はもらったと聞いている」
うっと詰まる。
「真崎、貴方に触れさせてはいただけませんか?」
うう……まさかのここでいつもの丁寧語おおおおお! なんか今日は普段とは違う話し方してたけどおおおおお! 絶対建文て自分の魅力わかってるよな……ムカつく。
俺は雷月の胸に埋めて隠していた顔を上げた。床の側にいる建文を眺める。いつになく真剣な顔をしていた。
「……貴方は、俺にいっぱい意地悪した」
俺自身の根元を握ってイカないようにされたのを覚えている。しかもおもらしも何度もさせられたし。
やっぱ嫌かも。
「……たまらなくかわいかったのです」
「俺は何度もやだって言った」
「もう意地悪はしません。おもらしも見たいですが、我慢します」
見たかったのか、この変態め。
でも、例の皇子を俺から引き剥がして捕らえてくれたのは建文だと聞いた。
「……どうやってあの皇子を捕まえたんだ? 貴方はそんなに逞しく見えないんだけど」
「あの皇子? ああ、定平のことですか。文浩哥に貴方を任せることができましたので魔法で吹き飛ばしたのです。その後は取り押さえただけです」
「魔法……なんだ」
「その方が真崎を傷つけないですみますから」
「ふうん……便利なんだね」
「ええ、便利です。おかげで真崎を助けることができました」
魔法をうまく使うことができるっていうのもカッコよく見えるんだよな。雷月が俺を抱き上げる時とか魔法使ってるから余計にそう思うのかもしれないけど、こっちがわからないようにさりげなく使ってるところが萌える。え? 逞しい方がいいんじゃないかって? 別に俺は自分の身体に筋肉がつきやすいから鍛えてただけでマッチョが好きなわけじゃない。
スマートに抱き上げられて、とかもう胸がきゅんきゅんしてしまう。
ってそうじゃないから!
「……俺にそんなに触れたい?」
「はい、触りたいです。今度こそ甘く愛したい」
表情だけを見ると、建文は真摯に見えた。
「……意地悪しないなら、いいよ」
どうせ俺が彼らにかないっこないんだから。
見た目がジャイ〇ンとかそういうことではない。見た目だけで言ったら建文は線が細く、美青年というかんじだ。でも実は雷月より逞しくて力もあるそうだ。細マッチョらしい。
顔立ちは兄弟なのでみな似ていてイケメンである。顔だけ見たらメンクイな俺ははうはうしてしまう。メンクイってたいへんだ。
じゃなくて。
体格で一番均整がとれているのは文浩だ。細すぎず太すぎず、まっすぐ立つと如何にも中華風の皇子様なかんじ。一番最初もあんなんじゃなくて、手を取られてじっと見つめられたりしたら一瞬で恋に落ちたんだろうってぐらい好みだったりする。ああもう自分が嫌だ。
背はみんな高いけど文浩が一番高い。次が建文で、その次が西文。雷月が一番背は低いけど、それでも俺より20cmぐらい高い。
がっしりしているのは西文だ。マッチョという程ではないけど身体がすごくしっかりしている。プロポーション抜群な文浩に、線が細い美形の建文、そして身体つきががっしりしている西文。違うタイプのイケメンだし、俺は確かにメンクイだけど、イケメンだからって何をしてもいいってわけじゃない。
イケメンだったら強姦されても嬉しいんじゃないかって? んなわけあるか! ありえない!
俺はゲイだけど、やっぱり三人のことが許せないって思う。もし女性があんな目に遭ったらって思ったら泣けてきた。この世界には男しかいないけど、俺が落ちてきたってことは俺の元の世界の女性だって落ちてくることがあるかもしれないじゃないか。
そんなことになったら俺が全力で守らなければと思ってしまうぐらい、三人が俺にしたことは許せないことだった。
「食休みを床でするのか」
「いいじゃないですか。真崎さまがかわいいからここで抱きしめていたいんです」
床で雷月に抱きついてごろごろしてた。雷月、俺のこと甘やかしすぎ。
「私も抱きしめたいな」
建文に言われてビクッとした。
「建文哥はだめですよ。私は真崎さまを癒しているのです。いっぱい傷ついてしまっているようですから……」
最後の方は声が低くなってちょっと怖かった。でも雷月以外やだ。
「……確かにな。欲望のままに犯した自覚はある」
床の側で建文が呟いた。
「”運命”だからと舞い上がっていた。”運命”なのだから余計に大事にしなければいけなかったのに」
そんなの今更だ。俺は雷月をぎゅうぎゅう抱きしめた。雷月も優しく俺を抱きしめ返してくれた。
「……兄上たちは性急すぎます。もう少し真崎の気持ちを考えてあげてください」
「ああ、そうだな。焦りすぎているな……」
なんで焦るんだって腹が立った。ずっと俺のことヤッてたくせに。俺が嫌だって泣いたって止めてくれなかったくせに。
「嫌い……文浩も、建文も、西文も嫌い……」
「そうだな。いくら”運命”だからって好きになってもらえるはずがなかった」
建文が自嘲する。
「だが、ご褒美はもらえないか? 文浩と西文はもらったと聞いている」
うっと詰まる。
「真崎、貴方に触れさせてはいただけませんか?」
うう……まさかのここでいつもの丁寧語おおおおお! なんか今日は普段とは違う話し方してたけどおおおおお! 絶対建文て自分の魅力わかってるよな……ムカつく。
俺は雷月の胸に埋めて隠していた顔を上げた。床の側にいる建文を眺める。いつになく真剣な顔をしていた。
「……貴方は、俺にいっぱい意地悪した」
俺自身の根元を握ってイカないようにされたのを覚えている。しかもおもらしも何度もさせられたし。
やっぱ嫌かも。
「……たまらなくかわいかったのです」
「俺は何度もやだって言った」
「もう意地悪はしません。おもらしも見たいですが、我慢します」
見たかったのか、この変態め。
でも、例の皇子を俺から引き剥がして捕らえてくれたのは建文だと聞いた。
「……どうやってあの皇子を捕まえたんだ? 貴方はそんなに逞しく見えないんだけど」
「あの皇子? ああ、定平のことですか。文浩哥に貴方を任せることができましたので魔法で吹き飛ばしたのです。その後は取り押さえただけです」
「魔法……なんだ」
「その方が真崎を傷つけないですみますから」
「ふうん……便利なんだね」
「ええ、便利です。おかげで真崎を助けることができました」
魔法をうまく使うことができるっていうのもカッコよく見えるんだよな。雷月が俺を抱き上げる時とか魔法使ってるから余計にそう思うのかもしれないけど、こっちがわからないようにさりげなく使ってるところが萌える。え? 逞しい方がいいんじゃないかって? 別に俺は自分の身体に筋肉がつきやすいから鍛えてただけでマッチョが好きなわけじゃない。
スマートに抱き上げられて、とかもう胸がきゅんきゅんしてしまう。
ってそうじゃないから!
「……俺にそんなに触れたい?」
「はい、触りたいです。今度こそ甘く愛したい」
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「……意地悪しないなら、いいよ」
どうせ俺が彼らにかないっこないんだから。
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