6 / 306
5.末皇子、条件を出される
しおりを挟む
雷月(レイユエ)視点です。
ーーーーー
「兄上、貴方がたは真崎に何をしたのです? 真崎はとても傷ついており、もう貴方がたには抱かれたくないと泣いていましたよ」
雷月の兄たちは驚愕で目を見開いた。
「そ、そんな……私たちはあんなに抱き合ったのに……」
「そんな、真崎が……」
「……やはり強引過ぎたのだろうか」
そんな兄皇子たちを雷月はひどく冷たい目で睥睨した。そうして皇帝の前に傅く。
「皇上(皇帝陛下)、どうか私めを真崎の四人目の夫として認定してはいただけませぬか? このままでは真崎ははかなくなってしまいます」
皇帝は少し考えるような顔をした。
「……雷月、そなたは皇位継承権を放棄した身であろう。皇子たちと共に妻を共有するのは……」
「お言葉ですが、真崎は”天使”になりました。この先子を成すことはありえませぬ」
「……そういえば、そうであったな。ならばよかろう」
「父皇(父上)!」
兄たちが抗議の声を上げた。皇帝はそれにひらひらと手を振ってみせた。
「”天使”はとても弱いものだと聞いている。お前たちはその”天使”を手に入れてから今まで何をしていた? ”天使”は愛する者の腕に抱かれ続けると乳を出すようになると聞いていたが、まだそなたたちの”天使”は乳を出したことがないと聞いているぞ」
「そ、それは……」
「に、妊娠していたからでは!?」
「……やはり、そうだったのか。あれでは……」
「黙れ!」
皇帝が一喝する。
「”天使”の愛を受けられぬそなたらに”天使”を抱く資格はない! しかもそなたら、愛する妻に何も教えてなかったというではないかっ! 雷月」
「はっ」
「三日以内に”天使”の信頼を得て心と身体を手に入れよ! そうしなければ”天使”は死ぬ。わかっておるな?」
「はい!」
兄皇子たちがすごい目で雷月を睨みつけたが、彼にとってそんなものは欠片ほども恐ろしくは感じられなかった。彼にとっても恐怖は、真崎を失ってしまうことだった。
「その間そなたらは教育を受けよ。妻の愛し方をしっかり学ぶがいい! 手取り足取りな」
「そ、そんな……」
「父皇……」
「……はい、きちんと学ばせていただきます……」
それらの教育がとても厳しいことを兄皇子たちは知っているようだった。
雷月はその内容を詳しくは知らないが、妻の立場を体感させられるというような過酷な教育であったような気がした。
巨人族は一妻多夫制である。妻を大事にできない者がその教育を受けるのだと聞いたことはあった。
そんな目に遭うのならば何故真崎を大事にできなかったのかと雷月は思う。真崎は四番目の皇子である、林文浩(リンウェンハオ)のベッドに落ちてきたのだと聞いた。
文浩にもまた妻への憧れというものがあった。それは、一目見ただけでそれとわかると言われる”運命の人”を妻にしたいとずっと思っていたのだった。”運命の人”が現れない者の方が多い中、文浩はずっとそれを追い求めていた。”運命の人”と結婚したという同族に、それはどのような者なのかと尋ねることもあった。
彼らは一様にこう言った。会えばわかる、と。
ただ同じ巨人族でない場合は、相手の方に”運命の人”だという自覚がないとも言われた。その場合は丁寧に口説き、その者が自分に好意を抱くようになってから身体を重ねなければならないと言われていたのだ。
だが結果はどうだ。
”運命の人”に出会えたというその幸運に舞い上がった文浩は、あろうことか弟たちを呼び寄せ、何も知らない真崎を輪姦した。”運命の人”であればいずれわかってくれるだろうという希望的観測でもって、彼らは真崎を蹂躙した。
雷月からしたら三人の皇子はもはや尊敬すべき兄ではなく、敵(かたき)と言ってもいいほど憎い相手だった。
(皇上が認定してくれたからよかったものの……そうでなければ兄たちを弑するところでした)
己の腕の中で涙を流しながらも眠ってくれた真崎を思い出し、雷月は口元を綻ばせた。
今日から三日と時間は全くなかったが、雷月もまたずっと真崎を己の”運命”だと欲していたのだ。二人きりで優しく真綿に包むように愛そうと雷月は決意する。
雷月よりも身体は逞しかったがその心はひどく繊細で、無造作に触れたら今にも割れてしまいそうだった。
どう伝えたら真崎は身体を開いてくれるだろうか。
それを考えるだけで雷月の心は昏く弾んだ。
ーーーーー
三人の皇子たちの運命や如何に!?(書かないよ?)
ーーーーー
「兄上、貴方がたは真崎に何をしたのです? 真崎はとても傷ついており、もう貴方がたには抱かれたくないと泣いていましたよ」
雷月の兄たちは驚愕で目を見開いた。
「そ、そんな……私たちはあんなに抱き合ったのに……」
「そんな、真崎が……」
「……やはり強引過ぎたのだろうか」
そんな兄皇子たちを雷月はひどく冷たい目で睥睨した。そうして皇帝の前に傅く。
「皇上(皇帝陛下)、どうか私めを真崎の四人目の夫として認定してはいただけませぬか? このままでは真崎ははかなくなってしまいます」
皇帝は少し考えるような顔をした。
「……雷月、そなたは皇位継承権を放棄した身であろう。皇子たちと共に妻を共有するのは……」
「お言葉ですが、真崎は”天使”になりました。この先子を成すことはありえませぬ」
「……そういえば、そうであったな。ならばよかろう」
「父皇(父上)!」
兄たちが抗議の声を上げた。皇帝はそれにひらひらと手を振ってみせた。
「”天使”はとても弱いものだと聞いている。お前たちはその”天使”を手に入れてから今まで何をしていた? ”天使”は愛する者の腕に抱かれ続けると乳を出すようになると聞いていたが、まだそなたたちの”天使”は乳を出したことがないと聞いているぞ」
「そ、それは……」
「に、妊娠していたからでは!?」
「……やはり、そうだったのか。あれでは……」
「黙れ!」
皇帝が一喝する。
「”天使”の愛を受けられぬそなたらに”天使”を抱く資格はない! しかもそなたら、愛する妻に何も教えてなかったというではないかっ! 雷月」
「はっ」
「三日以内に”天使”の信頼を得て心と身体を手に入れよ! そうしなければ”天使”は死ぬ。わかっておるな?」
「はい!」
兄皇子たちがすごい目で雷月を睨みつけたが、彼にとってそんなものは欠片ほども恐ろしくは感じられなかった。彼にとっても恐怖は、真崎を失ってしまうことだった。
「その間そなたらは教育を受けよ。妻の愛し方をしっかり学ぶがいい! 手取り足取りな」
「そ、そんな……」
「父皇……」
「……はい、きちんと学ばせていただきます……」
それらの教育がとても厳しいことを兄皇子たちは知っているようだった。
雷月はその内容を詳しくは知らないが、妻の立場を体感させられるというような過酷な教育であったような気がした。
巨人族は一妻多夫制である。妻を大事にできない者がその教育を受けるのだと聞いたことはあった。
そんな目に遭うのならば何故真崎を大事にできなかったのかと雷月は思う。真崎は四番目の皇子である、林文浩(リンウェンハオ)のベッドに落ちてきたのだと聞いた。
文浩にもまた妻への憧れというものがあった。それは、一目見ただけでそれとわかると言われる”運命の人”を妻にしたいとずっと思っていたのだった。”運命の人”が現れない者の方が多い中、文浩はずっとそれを追い求めていた。”運命の人”と結婚したという同族に、それはどのような者なのかと尋ねることもあった。
彼らは一様にこう言った。会えばわかる、と。
ただ同じ巨人族でない場合は、相手の方に”運命の人”だという自覚がないとも言われた。その場合は丁寧に口説き、その者が自分に好意を抱くようになってから身体を重ねなければならないと言われていたのだ。
だが結果はどうだ。
”運命の人”に出会えたというその幸運に舞い上がった文浩は、あろうことか弟たちを呼び寄せ、何も知らない真崎を輪姦した。”運命の人”であればいずれわかってくれるだろうという希望的観測でもって、彼らは真崎を蹂躙した。
雷月からしたら三人の皇子はもはや尊敬すべき兄ではなく、敵(かたき)と言ってもいいほど憎い相手だった。
(皇上が認定してくれたからよかったものの……そうでなければ兄たちを弑するところでした)
己の腕の中で涙を流しながらも眠ってくれた真崎を思い出し、雷月は口元を綻ばせた。
今日から三日と時間は全くなかったが、雷月もまたずっと真崎を己の”運命”だと欲していたのだ。二人きりで優しく真綿に包むように愛そうと雷月は決意する。
雷月よりも身体は逞しかったがその心はひどく繊細で、無造作に触れたら今にも割れてしまいそうだった。
どう伝えたら真崎は身体を開いてくれるだろうか。
それを考えるだけで雷月の心は昏く弾んだ。
ーーーーー
三人の皇子たちの運命や如何に!?(書かないよ?)
35
お気に入りに追加
2,619
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。


怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる