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5.なんだかんだいってらぶらぶ
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嫁取り、かぁ……。
って、ことは猫さんと結婚するのかなぁ?
今日も大きな猫にダイブしてもふもふに埋もれながら、ふと私は正気に返った。
「ねぇ、茶々さん」
なーとい変わらずのだみ声で猫さんが返事をしてくれた。
「茶々さんの嫁になったら、私どうなるの?」
猫は神様だから、どっかに連れて行かれてしまうのだろうか。親に会えないのは困るなと思ったのだ。
それまで機嫌よさそうに細められていた猫の目がガッと開いた。ちょっと怖い。
にゃっ、にゃにゃにゃっ!? とすごく動揺したような声で鳴くのだけど、猫の姿では人語は話せないらしい。これはスマホに猫語の翻訳アプリを入れるようかと悩んでしまった。
でも猫語翻訳アプリで猫が言いたいことを正確に翻訳されてもなんか怖いし、とか考えてしまう。
「茶々さん、落ち着いて?」
そう言って首を傾げたのだけど、猫は更に狼狽したようににゃにゃっ、にゃーっ! といつまでもなんか私に訴えていた。元々が猫さんだから動揺すると人型にはなれないみたいだった。うん、覚えた。
しょうがないので猫が落ち着くまでもふもふを堪能していた。
うー、この毛の手触り、幸せ~。
おなかとか抱き着かせてもらえるのは至福。
掃除はたいへんだけどすりすりして堪能した。
「うむ……」
どうにか落ち着いたらしくやっと人型になった猫は、普通に服を着ている。その服はいったいどこから出したんだろうといつも思う。もしかしたら不動産屋さんが用意してくれているのだろうか。そうなると私が猫の伴侶となるとしても、どうやって生計を立てていけばいいのだろうかとか考えてしまった。
猫が人型になったので、そのまま当たり前のように抱き上げられてソファに運ばれた。そして今私たちはソファに並んで腰かけている。
うちの猫の溺愛がちょっとつらい。人型になったらなったで美形すぎてまともに見られないのだ。
「さやが私の伴侶となってくれたならば、別のところへ住むことになる」
「別のところってどこですか?」
「うむ。国の官舎というところになるな。わしはさやを養わなければならぬ故」
「え? 茶々さんは私のことを養えるんですかっ!?」
驚いて素っ頓狂な声が出てしまった。猫は不快そうに眉間に皺を寄せた。
だってー……。
「……さやはわしをなんだと思っているのだ?」
「え、えーと……」
目をそっと反らした、が顔を覗き込まれてしまった。猫は人型になったらなったで美形のイケメンだから困ると言ってるだろう。別に私、猫がイケメンだからあの日の夜を許したわけじゃないからねっ! 誤解がないように言っておくけど、相手がイケメンだって許せないことは許せないんだからねっ!(誰に向かって言ってるんだろう)
「ん?」
「ごめんなさい……不動産屋さんに養われているのかと……」
猫ははーっとため息を吐いた。そして、私を抱き上げた。あれ? もしもーし。
「どうやらわしらにはもっと話し合う必要がありそうだな……」
「ですね……」
てへ? と首を傾げて誤魔化してみた。……けど誤魔化せなかったらしい。
猫の腕の中に囚われて、もふもふじゃないけど可愛がられてしまった。ううう……だから決してイケメンだから許してるわけじゃないんだからねっ!(大事なことなので何度でも言います)
って、ことは猫さんと結婚するのかなぁ?
今日も大きな猫にダイブしてもふもふに埋もれながら、ふと私は正気に返った。
「ねぇ、茶々さん」
なーとい変わらずのだみ声で猫さんが返事をしてくれた。
「茶々さんの嫁になったら、私どうなるの?」
猫は神様だから、どっかに連れて行かれてしまうのだろうか。親に会えないのは困るなと思ったのだ。
それまで機嫌よさそうに細められていた猫の目がガッと開いた。ちょっと怖い。
にゃっ、にゃにゃにゃっ!? とすごく動揺したような声で鳴くのだけど、猫の姿では人語は話せないらしい。これはスマホに猫語の翻訳アプリを入れるようかと悩んでしまった。
でも猫語翻訳アプリで猫が言いたいことを正確に翻訳されてもなんか怖いし、とか考えてしまう。
「茶々さん、落ち着いて?」
そう言って首を傾げたのだけど、猫は更に狼狽したようににゃにゃっ、にゃーっ! といつまでもなんか私に訴えていた。元々が猫さんだから動揺すると人型にはなれないみたいだった。うん、覚えた。
しょうがないので猫が落ち着くまでもふもふを堪能していた。
うー、この毛の手触り、幸せ~。
おなかとか抱き着かせてもらえるのは至福。
掃除はたいへんだけどすりすりして堪能した。
「うむ……」
どうにか落ち着いたらしくやっと人型になった猫は、普通に服を着ている。その服はいったいどこから出したんだろうといつも思う。もしかしたら不動産屋さんが用意してくれているのだろうか。そうなると私が猫の伴侶となるとしても、どうやって生計を立てていけばいいのだろうかとか考えてしまった。
猫が人型になったので、そのまま当たり前のように抱き上げられてソファに運ばれた。そして今私たちはソファに並んで腰かけている。
うちの猫の溺愛がちょっとつらい。人型になったらなったで美形すぎてまともに見られないのだ。
「さやが私の伴侶となってくれたならば、別のところへ住むことになる」
「別のところってどこですか?」
「うむ。国の官舎というところになるな。わしはさやを養わなければならぬ故」
「え? 茶々さんは私のことを養えるんですかっ!?」
驚いて素っ頓狂な声が出てしまった。猫は不快そうに眉間に皺を寄せた。
だってー……。
「……さやはわしをなんだと思っているのだ?」
「え、えーと……」
目をそっと反らした、が顔を覗き込まれてしまった。猫は人型になったらなったで美形のイケメンだから困ると言ってるだろう。別に私、猫がイケメンだからあの日の夜を許したわけじゃないからねっ! 誤解がないように言っておくけど、相手がイケメンだって許せないことは許せないんだからねっ!(誰に向かって言ってるんだろう)
「ん?」
「ごめんなさい……不動産屋さんに養われているのかと……」
猫ははーっとため息を吐いた。そして、私を抱き上げた。あれ? もしもーし。
「どうやらわしらにはもっと話し合う必要がありそうだな……」
「ですね……」
てへ? と首を傾げて誤魔化してみた。……けど誤魔化せなかったらしい。
猫の腕の中に囚われて、もふもふじゃないけど可愛がられてしまった。ううう……だから決してイケメンだから許してるわけじゃないんだからねっ!(大事なことなので何度でも言います)
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