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1.物件を借りることになったきっかけ
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「喘息はありませんね? 動物アレルギーは? ああ、ええと皮膚が弱いとか、他にアレルギー反応が出るものはありますか? 花粉症ではないですね? それはよかった。動物は好きですか? 嫌いでなければいいんです。猫派ですか? 犬派ですか? ああ、猫派なんですね。で、家賃は月2万円でいいんですが、管理費が月1万円かかりますがそれもご了承いただけますか? はい、けっこうです」
という不動産屋のかなりしつこい念押しを経て私は無事格安の物件を借り、念願の一人暮らしをすることになったのだが。
「間取りは2LDKですが、一部屋は使えないと思ってください。それから掃除はこまめにお願いします。万が一アレルギーなど発症されると困りますので。ご家族はかまいませんが、と言ってもご両親と兄弟までにしてくださいね? ご友人や恋人などの連れ込みは原則禁止。それから部屋の中のことは他言無用です。守れますか?」
にこにこしながら不動産屋が言う。その目がずっと笑ってなくてなんか怖かった。
ぶっちゃけ家賃は安すぎるし、一部屋は使えないというし妖しさ満載の物件ではあったが背に腹は変えられなかった。だって大学の近くの物件が風呂トイレ付なのに月3万で借りられるなんてありえなかったからだ。
もちろん事故物件でないことは何度も不動産屋に確認したし、ネットで調べてみたりもした。そうしたらそんな過去は一切なかったので私は胸を撫で下ろした。
そんなかんじで私こと、羽村沙耶(はむらさや)は住みなれた実家を出、人生初の一人暮らしをスタートさせた―つもりだった。
ーーーーー
キャラ文芸大賞エントリーしました。
こちらは短編ですので大体一万字程度で終わります。どうぞよろしくお願いします。
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にこにこしながら不動産屋が言う。その目がずっと笑ってなくてなんか怖かった。
ぶっちゃけ家賃は安すぎるし、一部屋は使えないというし妖しさ満載の物件ではあったが背に腹は変えられなかった。だって大学の近くの物件が風呂トイレ付なのに月3万で借りられるなんてありえなかったからだ。
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