異世界でハーレム生活しています

浅葱

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20.黒髪美少女がやってきました

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「かや、と申します。旦那さま」
「かやさん、ですね。よろしくお願いします……」

 部屋の入口から少し入ったところで少女が平伏している。なんだか時代劇の悪代官にでもなった気分だ。僕は苦笑した。
 今朝、予定通り生理がきたようだとゆかりさんに告げられた。きたようだ、と断定ではない理由は、妊娠初期に出血する場合があるかららしい。そういえば着床出血ってものがあったな。
 申し訳なさそうに言われ、僕はとんでもないと首を振った。したらできるものという認識はあるが、できなかったらできなかったで仕方がない。こればっかりは縁だ。
 あと、最低かもしれないが実はちょっとほっとしていた。
 この村では妊婦はとても大事に扱われる為、五ヶ月に入るまでは簡単な作業以外は全て免除されるらしい。つまり僕たちとセックスするなどとんでもないことであり、その間は会うことができないのだと聞いた。セックスしなくても会いたいと僕は思うが、妊娠初期の女性というのはおなかの中の子どもを守る為に性格が変わってしまう場合もあるらしい。そのような姿を見せるわけにはいかないので、基本妊娠した女性は男性の目には触れさせないのだそうだ。
 それがこの村の規則であり、その方がいいだろうということはわかっているがゆかりさんに会えなくなるのは嫌だった。しなくてもいいから側にいてほしいというのは僕のわがままだ。

「もう少ししましたら私は下がらせていただきます。どうぞかやを可愛がってやってくださいませ」
「うん……」

 ゆかりさんの笑みにぎこちない笑みを返す。別にかやさんが嫌というわけではない。ただこの世界に来てからずっと側にいてくれたゆかりさんと離れるのが心細いだけだ。
 って、なんか僕ものすごく情けなくないか?
 この大陸は女性が多いからどの村でも大体ハーレム状態で、生理の女性はその都度下がって男に血を見せないようにするし、妊娠している姿も極力見せないということは前述した。それは女性の身体を守る為でもあると同時に、男性に対して常に女をアピールすることにもつながる。オスは生殖可能なメスを求めるものだから、このやり方でどうにか人口減少を抑えているようだった。

(でも、なんで生まれてくる子の不均衡が起きるんだろうな?)
「旦那さま、それではこれで失礼します。何かありましたらかやに申しつけてくださいませ。終わり次第また戻ってまいります」
「うん、身体をしっかり休めてきてくださいね」

 部屋を辞するゆかりさんが微笑んだ。この世界の女性にも生理痛などはあるのだろうか。身体を温めたりと、できるだけ大事にしてほしいと思う。
 そして僕はかやさんと二人になった。

「…………」

 何をどう話したらいいのかわからず困る。年齢とか聞いてもいいものなのだろうか。

「あ、あの……かやさんは……」
「かや、と」
「え……?」

 かやさんは半目を閉じているような、眠そうな顔をした少女である。ゆかりさんと違い髪も目も真っ黒だが肌は同じように真っ白だ。(ちなみにゆかりさんはどちらかといえばこげ茶っぽい髪と瞳である)ストレートの肩よりも長い黒髪が雪女を連想させる。つまりかやさんもゆかりさんとは違ったタイプの美少女である。

「”さん”はいりません。旦那さま、”かや”とお呼びくださいませ」
「は、はい……」

 ゆかりさんもそうだがこのかやさんも僕より年下のはずである。だけどよっぽど僕よりも大人びているように思えた。

「かやさ……」
「旦那さま」
「かや……」

 眠たそうな目でじっと見つめられるとどぎまぎする。僕はすでに尻に敷かれてしまったようだった。

「え、ええと……喉は渇いてない?」
「これは不調法を。お淹れします」
「え、あ、いや、その……」

 会話のとっかかりを、と思ったが失敗してしまったようだ。かやさんが丁寧にお茶を淹れてくれたので「ありがとう」と呟いて啜った。

「おいしい……」

 ここの女性たちはみなこのようにおいしくお茶を淹れられるのだろうか。それとも茶葉が違うだけなのか僕にはわからない。ただ、僕がおいしいと呟いた時かやさんの頬がほんのりと赤く染まったのは見逃さなかった。
 かわいい、と素直に思った。

「あ……申し訳ありません。今茶菓子を……」
「え、いいよ」

 かやさんが今思い出したというように立ち上がろうとする。それを止めようと手を出したところで彼女はバランスを崩した。

「あ、ごめん!」

 湯のみは置いていたのでこぼれたりはしなかった。どうにか伸ばした腕が間に合ったようで、彼女を支える。

「だ、旦那さま……申し訳ありません……!」

 その真っ赤になった顔を見て、僕はかやさんも僕と同じように緊張していたということを知った。

「大丈夫」

 僕は近づいて、彼女をそっと抱きしめた。

「おなかすいてない?」
「す、すいてはいません……」
「じゃあ」

 まだ昼前だったが、僕はもう柔らかいかやさんの身体を味わいたくなってしまった。耳元で「抱いてもいい?」と囁くと、彼女はぎゅっと目を閉じてコクリと頷いた。
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