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ハロウィン前夜の甘い罠
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男友達に紹介された、イケメンハイスペックのカレと付き合い始めたのはつい先月。
細い黒縁の、フレームの眼鏡がよく似合うイケメンは多忙だった。
やっと10月31日の土曜日にデートの約束を取り付けたものの、ハロウィンには乗ってくれそうもない。
というわけで友人に相談してみた。
「で? ゆりはそのイケメン彼氏をどうしたいの?」
「どうしたいってゆーか……」
一緒にハロウィンを過ごしてみたいだけで。別にトリックオアトリートじゃなくてもいいのだ。そーゆー雰囲気のローソクに火をつけて、かぼちゃベースのケーキを食べるとかでもいいわけで。
でもなんか堅物に見える彼氏はそういうことに付き合ってくれそうもない。
「合鍵もらったんだよね、この間」
「超進展してんじゃん!」
「だから30日の夜からお泊りしちゃだめ? って聞いたんだけど、何時に帰れるかわからないからダメって言われて……」
「気にしないで突撃してみたら? 仮装道具でも持って」
「仮装道具?」
友人はにんまりした。
「魔女っぽいカッコしてさ、帰ってきたら”trick or treat”って言ってみるとか? お菓子持ってなければそのまま押し倒しちゃえばいーんじゃない?」
「えー……カナはそうするの?」
「うちは……また違うかな」
友人はあさっての方向を見て言葉を濁した。
「魔女っぽいカッコで押し倒す……」
ということは帽子とマントは用意して、マントの下は下着姿とかがいいのだろうか。
「ゆりがあほなこと考え始めたー。下着はレースの白とかだとギャップ萌えかも。帽子とマントは多分今百均でも買えるよー」
「……呆れられるかな」
「どーせうちのカレからの紹介でしょ? 大丈夫じゃない?」
そう、この友人と男友達は付き合っている。友人と私の仲がよすぎるからってカレを紹介してくれたのだ。
「そーだね。じゃあなんかあった時の責任はカナのカレに押し付けよう!」
「OK~」
というわけで準備をして、金曜日カレの家に突撃してみた。
* *
カレの家の中はとてもキレイだった。なんかモデルルームみたいで落ち着かない。広くて、3LDKぐらいある。寝室を見つけてどきどきした。
「なんで合鍵もらったんだっけ? うちのアパートのセキュリティがどーのって言ってたっけ?」
イケメンに見惚れてあんまり話を聞いてなかった気がする。この間LINEで家の住所と部屋番号も教えてもらって……。
「今日もお仕事忙しいの? たいへんだね。そろそろおうち帰れそう?」
LINEを入れてみた。返事があってもなくても気にしないけど、帰宅する時間はちょっと知りたいなって思った。カレはこういう連絡はまめで。
「やっと帰路についてるよ。明日は何時がいい?」
映画を一緒に観に行く約束をしていたのだ。
「家についたら連絡して。休める時に休んでほしいし」
12時に帰宅した人に朝10時に待ち合わせとか言いたくないし。でも帰ってから連絡ってかえって気を遣わせちゃうのかな。あ、ダジャレではないです。
シャワーを借りてキレイにして、白いレースの下着を身に着けてマントを羽織り、帽子を被って鏡を見た。
おかしくはないけど、どうかなーと思うかんじ。
「んー……滑った時すぐに帰れるように着替えは玄関に置いておくべきかしら……」
「は?」とか冷たい目で言われたら立ち直れないし。
着替えを入れたバッグごと玄関の隅に置いた。
「……うーん、やっぱやめて帰った方がいいかなー」
気持ちがくじけてきた。何事もなかったかのように帰ればバレないかも。
玄関を上がったところでうろうろしながら悩んでいたら、なんと家の鍵を開ける音が……。
カチャカチャ、ガチャ……。
唾を飲み込んで、ドアが開くのを待った。
「……あれ? 電気つけっぱなしだったか……」
カレのステキな声が聞こえて、胸が高鳴るのを感じた。こーなったらやるしかない。
バタンとドアが閉まったところで、
「と、とりっくおあとりーと!」
目を閉じて叫ぶように言ったら。
「……日はまだ……いえ、変わりましたね」
という冷静な声と共に、何故か抱きしめられて、そのまま横抱きにされた。
これってお姫様だっこ?
「……え?」
「お菓子はないのでいたずらでお願いします。疲れているので手加減はできません。朝まで離しませんので覚悟してください」
「え?」
頭に?がいっぱい並んだ。そのまままっすぐ寝室まで運ばれて、シーツでぐるぐる巻きにされた。
「?」
「ちょっと待っていてくださいね」
なんだろうとどうにか巻き付けられたシーツを取ったところでカレが戻ってきて、何故かいっぱい全身にいたずらされて、あんあん啼かされてしまったのだった。
「???」
なんでこーなったんだっけ?
翌朝変わらず頭に?がいっぱい並んだ状態で目覚めたら、
「まだいたずらしたりません……」
ベッドから出してもらえなくなった。
「……仕事の後は疲れているので性欲がすごいんですよ。だから会わないようにしていたのに……」
落ち着いてからぼやくように言われて顔が熱くなった。私もカレに抱かれたかったから。
「ゆり、そういうかわいいことを言うともう絶対に離しませんよ?」
私たちが無事映画を見に行けたのかかどうかは、ご想像にオマカセシマス。
Love Love End!
細い黒縁の、フレームの眼鏡がよく似合うイケメンは多忙だった。
やっと10月31日の土曜日にデートの約束を取り付けたものの、ハロウィンには乗ってくれそうもない。
というわけで友人に相談してみた。
「で? ゆりはそのイケメン彼氏をどうしたいの?」
「どうしたいってゆーか……」
一緒にハロウィンを過ごしてみたいだけで。別にトリックオアトリートじゃなくてもいいのだ。そーゆー雰囲気のローソクに火をつけて、かぼちゃベースのケーキを食べるとかでもいいわけで。
でもなんか堅物に見える彼氏はそういうことに付き合ってくれそうもない。
「合鍵もらったんだよね、この間」
「超進展してんじゃん!」
「だから30日の夜からお泊りしちゃだめ? って聞いたんだけど、何時に帰れるかわからないからダメって言われて……」
「気にしないで突撃してみたら? 仮装道具でも持って」
「仮装道具?」
友人はにんまりした。
「魔女っぽいカッコしてさ、帰ってきたら”trick or treat”って言ってみるとか? お菓子持ってなければそのまま押し倒しちゃえばいーんじゃない?」
「えー……カナはそうするの?」
「うちは……また違うかな」
友人はあさっての方向を見て言葉を濁した。
「魔女っぽいカッコで押し倒す……」
ということは帽子とマントは用意して、マントの下は下着姿とかがいいのだろうか。
「ゆりがあほなこと考え始めたー。下着はレースの白とかだとギャップ萌えかも。帽子とマントは多分今百均でも買えるよー」
「……呆れられるかな」
「どーせうちのカレからの紹介でしょ? 大丈夫じゃない?」
そう、この友人と男友達は付き合っている。友人と私の仲がよすぎるからってカレを紹介してくれたのだ。
「そーだね。じゃあなんかあった時の責任はカナのカレに押し付けよう!」
「OK~」
というわけで準備をして、金曜日カレの家に突撃してみた。
* *
カレの家の中はとてもキレイだった。なんかモデルルームみたいで落ち着かない。広くて、3LDKぐらいある。寝室を見つけてどきどきした。
「なんで合鍵もらったんだっけ? うちのアパートのセキュリティがどーのって言ってたっけ?」
イケメンに見惚れてあんまり話を聞いてなかった気がする。この間LINEで家の住所と部屋番号も教えてもらって……。
「今日もお仕事忙しいの? たいへんだね。そろそろおうち帰れそう?」
LINEを入れてみた。返事があってもなくても気にしないけど、帰宅する時間はちょっと知りたいなって思った。カレはこういう連絡はまめで。
「やっと帰路についてるよ。明日は何時がいい?」
映画を一緒に観に行く約束をしていたのだ。
「家についたら連絡して。休める時に休んでほしいし」
12時に帰宅した人に朝10時に待ち合わせとか言いたくないし。でも帰ってから連絡ってかえって気を遣わせちゃうのかな。あ、ダジャレではないです。
シャワーを借りてキレイにして、白いレースの下着を身に着けてマントを羽織り、帽子を被って鏡を見た。
おかしくはないけど、どうかなーと思うかんじ。
「んー……滑った時すぐに帰れるように着替えは玄関に置いておくべきかしら……」
「は?」とか冷たい目で言われたら立ち直れないし。
着替えを入れたバッグごと玄関の隅に置いた。
「……うーん、やっぱやめて帰った方がいいかなー」
気持ちがくじけてきた。何事もなかったかのように帰ればバレないかも。
玄関を上がったところでうろうろしながら悩んでいたら、なんと家の鍵を開ける音が……。
カチャカチャ、ガチャ……。
唾を飲み込んで、ドアが開くのを待った。
「……あれ? 電気つけっぱなしだったか……」
カレのステキな声が聞こえて、胸が高鳴るのを感じた。こーなったらやるしかない。
バタンとドアが閉まったところで、
「と、とりっくおあとりーと!」
目を閉じて叫ぶように言ったら。
「……日はまだ……いえ、変わりましたね」
という冷静な声と共に、何故か抱きしめられて、そのまま横抱きにされた。
これってお姫様だっこ?
「……え?」
「お菓子はないのでいたずらでお願いします。疲れているので手加減はできません。朝まで離しませんので覚悟してください」
「え?」
頭に?がいっぱい並んだ。そのまままっすぐ寝室まで運ばれて、シーツでぐるぐる巻きにされた。
「?」
「ちょっと待っていてくださいね」
なんだろうとどうにか巻き付けられたシーツを取ったところでカレが戻ってきて、何故かいっぱい全身にいたずらされて、あんあん啼かされてしまったのだった。
「???」
なんでこーなったんだっけ?
翌朝変わらず頭に?がいっぱい並んだ状態で目覚めたら、
「まだいたずらしたりません……」
ベッドから出してもらえなくなった。
「……仕事の後は疲れているので性欲がすごいんですよ。だから会わないようにしていたのに……」
落ち着いてからぼやくように言われて顔が熱くなった。私もカレに抱かれたかったから。
「ゆり、そういうかわいいことを言うともう絶対に離しませんよ?」
私たちが無事映画を見に行けたのかかどうかは、ご想像にオマカセシマス。
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