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191.だってそんなチャンスもうなさそうだし
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お昼を食べてから俺は庭の四阿に案内された。
ジャックがどうしても付いてきたいと言って聞かなかったので、口を挟まないことを条件に椅子の代わりにした。先輩は巨人族のエインさんに抱き上げられてロイさんというキレイな人と四阿の椅子に腰かけた。すぐにお茶とお茶菓子が用意され、給仕を終えた者は下がらせられた。ちなみにインさんは午後も仕事らしい。たいへんだなと思った。
「江戸川、久しぶりだな」
「はい、ご無沙汰してます」
苗字を呼ばれたのもゆうに五年以上ぶりだった。
「全然お前の境遇も聞いてないんだが……最近はどうだ?」
「……どうにかやってます」
「そうか」
恰好はアレだが、あの頃が一瞬戻ってきたように思えた。
「で、聞きたいことってなんだ?」
「はい……ええと……」
今更ながらすごく恥ずかしい。だってジャックやジャンについての悩み? っぽいことだから。
聞きづらかったけど、どうせだからと顔が熱くなるのを感じながらいろいろ聞いてみることにした。
ある意味セキララな愚痴大会になってしまった気がする。
「胸いじられるの困るよな~。それすっごくわかる」
先輩も顔を赤くして同意した。
「俺、なんか……相手がイッた後に乳が出るようになるんで感じすぎてどうしようもなくて……」
「それはそれでつらそうだな……。でも……相手がイッた後に出るとかそんなことってあるんだ?」
「もしかしたら相手が巨人族だからなのかもしれないんですけど……」
「あー……うん。それもあるかもしれないなー……」
先輩が納得したように頷いた。
「うーんと……ってことは感じすぎてたいへんだからもう少しどうにかしたいってことなのか?」
端的に言うとそうだ。
先輩は少し考えるような顔をしたが、
「……無理だろ?」
と無情にも答えた。
「ええええ」
「だって江戸川は二人のこと好きなんだろ? 俺たち天使の身体は、好きな相手に抱かれたらより感じるようにできてるんだからどうしようもねーじゃん? 好き好きって言ってれば少しは楽になるかもしれないけど、今度は余計に抱かれるしな。ま? 素直に抱かれるのが一番だぞ」
ある意味先輩はとても男前だった。
そこまで達観するまでにかなりかかったとは言っていたが、今は抱かれることを楽しんでいるようだった。
「ううう……わかりました……」
もう感じすぎに関しては諦めるほかないようだった。
でももう一つだけ諦めきれないことがある。
「先輩……言ってもいいですか?」
「何を?」
「言うだけ、です」
先輩が首を傾げた。そしてしょうがねーなと言うように笑った。
「言うだけならな」
「ありがとうございます。先輩、どうか俺の童貞をもらってください!」
ジャックにきつく抱きしめられたけど言うだけだから。
先輩は面白がるような顔をした。そして隣に腰掛けているロイさんにしな垂れかかった。
「……だめだと思う?」
「インさんがどうかだよねー。天使同士のえっちってすっごく気持ちいいって聞いてるし? どんなことになるのか僕は知りたいかな~」
「そんな……」
ジャックが更にきつく俺を抱きしめた。いいかげん痛い。
「かわいいお嫁さんがさー、得体の知れないのに童貞奪われるよりいいでしょ? 多分天使さま同士だと入れただけで動けなくなっちゃうだろうから、そしたら後ろから犯せばいいじゃない。えっちのお手伝いならいくらしてもいいと思うよ~」
ジャックに向けたロイさんの言葉は悪魔の囁きみたいだった。先輩に入れながらジャックに後ろから、なんて……。考えただけで全身が熱くなってしまいそうだ。
「そちらの天使さまが本気だったら聞いてあげるけど、どうする?」
ロイさんが楽しそうに言う。
「あの……俺が先輩のことイカせることって……」
「ヘタしたら入れただけでイッちゃうんじゃない? それぐらい天使同士の交わりってないことみたいだよー。あ、でもねー、王さまと、その愛人さまだっけ? 愛人さまも天使らしいんだけど、一晩かけて愛し合うみたいなことは聞いたかな。愛人さまは元木こりだって聞いてるから体力はあるんだろうねー」
木こりだったのに天使なのか? まぁ個人個人で事情はあるとは思うが……。
「できれば、先輩のこと……抱きたい、です」
「じゃあ聞くだけ聞いておくねー」
そろそろ身体の骨がみしみしいっている気がするがそこは無視した。だって、きっとこの機会を逃したら二度と童貞は喪失できないと思う。しかも先輩のおまんこに受け入れてもらえるなんて無理だろう。
お茶会を終えて部屋に戻った。
「……カイト、俺たちよりあの先輩とやらの方がいいのか……?」
ジャックが地を這うような低い声で聞く。怯みそうになる己を叱咤した。
「違う」
「何が違うんだ!?」
「先輩を抱きたいだけだ。一度抱いたらたぶん満足するはずだし……」
「満足しなかったらどうするんだ!?」
「満足しなくたって一度きりだろ? それで終わりだ。それに、一度だって抱かせてもらえる保証なんかない」
そう、まだ仮定の話だ。ロイさんの話では無理ではなさそうだったけど、決めるのは先輩の旦那さんだ。
「それも、そうだな……。だが、納得がいかない」
確かに、ここには先輩と話をしたいと言ってきたんだから抱く抱かないの話は納得がいかないだろう。
そうだよな、って思う。
だったら。
「じゃあ……お仕置きして?」
それでジャックの気が済むなら。
ジャックがどうしても付いてきたいと言って聞かなかったので、口を挟まないことを条件に椅子の代わりにした。先輩は巨人族のエインさんに抱き上げられてロイさんというキレイな人と四阿の椅子に腰かけた。すぐにお茶とお茶菓子が用意され、給仕を終えた者は下がらせられた。ちなみにインさんは午後も仕事らしい。たいへんだなと思った。
「江戸川、久しぶりだな」
「はい、ご無沙汰してます」
苗字を呼ばれたのもゆうに五年以上ぶりだった。
「全然お前の境遇も聞いてないんだが……最近はどうだ?」
「……どうにかやってます」
「そうか」
恰好はアレだが、あの頃が一瞬戻ってきたように思えた。
「で、聞きたいことってなんだ?」
「はい……ええと……」
今更ながらすごく恥ずかしい。だってジャックやジャンについての悩み? っぽいことだから。
聞きづらかったけど、どうせだからと顔が熱くなるのを感じながらいろいろ聞いてみることにした。
ある意味セキララな愚痴大会になってしまった気がする。
「胸いじられるの困るよな~。それすっごくわかる」
先輩も顔を赤くして同意した。
「俺、なんか……相手がイッた後に乳が出るようになるんで感じすぎてどうしようもなくて……」
「それはそれでつらそうだな……。でも……相手がイッた後に出るとかそんなことってあるんだ?」
「もしかしたら相手が巨人族だからなのかもしれないんですけど……」
「あー……うん。それもあるかもしれないなー……」
先輩が納得したように頷いた。
「うーんと……ってことは感じすぎてたいへんだからもう少しどうにかしたいってことなのか?」
端的に言うとそうだ。
先輩は少し考えるような顔をしたが、
「……無理だろ?」
と無情にも答えた。
「ええええ」
「だって江戸川は二人のこと好きなんだろ? 俺たち天使の身体は、好きな相手に抱かれたらより感じるようにできてるんだからどうしようもねーじゃん? 好き好きって言ってれば少しは楽になるかもしれないけど、今度は余計に抱かれるしな。ま? 素直に抱かれるのが一番だぞ」
ある意味先輩はとても男前だった。
そこまで達観するまでにかなりかかったとは言っていたが、今は抱かれることを楽しんでいるようだった。
「ううう……わかりました……」
もう感じすぎに関しては諦めるほかないようだった。
でももう一つだけ諦めきれないことがある。
「先輩……言ってもいいですか?」
「何を?」
「言うだけ、です」
先輩が首を傾げた。そしてしょうがねーなと言うように笑った。
「言うだけならな」
「ありがとうございます。先輩、どうか俺の童貞をもらってください!」
ジャックにきつく抱きしめられたけど言うだけだから。
先輩は面白がるような顔をした。そして隣に腰掛けているロイさんにしな垂れかかった。
「……だめだと思う?」
「インさんがどうかだよねー。天使同士のえっちってすっごく気持ちいいって聞いてるし? どんなことになるのか僕は知りたいかな~」
「そんな……」
ジャックが更にきつく俺を抱きしめた。いいかげん痛い。
「かわいいお嫁さんがさー、得体の知れないのに童貞奪われるよりいいでしょ? 多分天使さま同士だと入れただけで動けなくなっちゃうだろうから、そしたら後ろから犯せばいいじゃない。えっちのお手伝いならいくらしてもいいと思うよ~」
ジャックに向けたロイさんの言葉は悪魔の囁きみたいだった。先輩に入れながらジャックに後ろから、なんて……。考えただけで全身が熱くなってしまいそうだ。
「そちらの天使さまが本気だったら聞いてあげるけど、どうする?」
ロイさんが楽しそうに言う。
「あの……俺が先輩のことイカせることって……」
「ヘタしたら入れただけでイッちゃうんじゃない? それぐらい天使同士の交わりってないことみたいだよー。あ、でもねー、王さまと、その愛人さまだっけ? 愛人さまも天使らしいんだけど、一晩かけて愛し合うみたいなことは聞いたかな。愛人さまは元木こりだって聞いてるから体力はあるんだろうねー」
木こりだったのに天使なのか? まぁ個人個人で事情はあるとは思うが……。
「できれば、先輩のこと……抱きたい、です」
「じゃあ聞くだけ聞いておくねー」
そろそろ身体の骨がみしみしいっている気がするがそこは無視した。だって、きっとこの機会を逃したら二度と童貞は喪失できないと思う。しかも先輩のおまんこに受け入れてもらえるなんて無理だろう。
お茶会を終えて部屋に戻った。
「……カイト、俺たちよりあの先輩とやらの方がいいのか……?」
ジャックが地を這うような低い声で聞く。怯みそうになる己を叱咤した。
「違う」
「何が違うんだ!?」
「先輩を抱きたいだけだ。一度抱いたらたぶん満足するはずだし……」
「満足しなかったらどうするんだ!?」
「満足しなくたって一度きりだろ? それで終わりだ。それに、一度だって抱かせてもらえる保証なんかない」
そう、まだ仮定の話だ。ロイさんの話では無理ではなさそうだったけど、決めるのは先輩の旦那さんだ。
「それも、そうだな……。だが、納得がいかない」
確かに、ここには先輩と話をしたいと言ってきたんだから抱く抱かないの話は納得がいかないだろう。
そうだよな、って思う。
だったら。
「じゃあ……お仕置きして?」
それでジャックの気が済むなら。
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