上 下
185 / 214

183.暴走を止めるには

しおりを挟む
「きらっ、きらいぃいいっ、ばかっ、ばかあああっ……」

 ぐすぐすと泣きながらビットをぎゅうぎゅう抱きしめた。ビットが困っているのはわかってるけどシーツだけだとすぐに奪われちゃうからビットに来るように言ったのだ。

「奥さま……かわいすぎて困るんですけど……」
「うるさいうるさいっ! 耐えろよっ」

 ジャックがおろおろしている。ジャンがニヤニヤしているのがムカついた。

「……あんなに好きって言ってくれたのに……」

 ジャックがぼやいた。

「言ってないっ!」
「言った! 俺に抱かれて縋りつきながらいっぱい好きって言った!」
「言ってないぃいっ!」

 ビットが証人になるんだろうけどビットの証言はいらない。言ったけど言ってない。断じて俺は言ってないのだ。

「まあまあ兄さん、カイトも混乱しているんですよ。兄さんもヤりすぎです。反省してください」
「ああ……」

 そう、あれから何故かジャックのイチモツがどんどん大きくなって、一回だけじゃなくて二回続けてされてしまったのだ。精液を受けた後続けて中をこねまくられて頭がおかしくなるかと思った。やっぱりされ続けるのはだめらしい。それで感じまくってたら乳を飲まれるし尻穴をまた舐められて愛液を延々飲まれるし、最後にはちんちんも舐め回されてしまうしたいへんだった。乳を飲まれるだけでも感じすぎて勘弁してほしいのに後戯がしつこすぎるんだよっ。
 ついさっきまで感じすぎてどうしようもなくなっていた俺の身体を落ち着かせたのはジャンだった。ジャックをどかし、何度も優しいキスをして俺の身体を宥めてくれた。
 でも、

「落ち着いたか? なら俺にも抱かせろよ」

 とか台無しなことを言ったからやだ。
 おかげで今一番害がなさそうなビットを抱きしめているのだ。

「とりあえず昼飯にしないか? カイトはずっと抱かれ続けて疲れただろうし」

 ジャンの提案に頷いた。確かに喉がひどく乾いていた。

「水……」
「自分が……」
「ビットはだめ」

 ビットは今俺の防波堤なんだから動いてはいけないのだ。
 ロンドが苦笑しながら水を持ってきてくれた。水さしごと持ってきてくれたからおかわりして何杯か飲んだ。

「っはー……生き返った……」

 ちろりとジャックを睨む。

「……水分補給ぐらいさせろよ。俺死んじまうだろ」
「カイト、すまなかった! ……暴走した」

 そんなことわかってる。

「暴走しないでほしいかな……」
「……気をつける」

 ジャックは本当に反省したようだった。だからといって二度としないなんてことは言えないだろう。厄介だなと思う。

「困りましたね……。昼飯にしましょう」

 ジャンに改めて言われ、俺たちは昼飯を食べた。
 ジャックのことは好きだけど暴走されるのはいただけない。俺のことが好きすぎてってことなのはわかってるけどさ。ジャックってけっこう嫉妬深いしな。ちなみに今はジャンの膝の上である。なんで直接ソファに腰掛けることも許されないんだろう。そのまま座るのが許されるのはベッドの上ぐらいだ。

「……やはり、二輪挿しの方がカイトの身体には負担は少ないんじゃないか?」

 ジャンがとんでもないことを言った。確かに二輪挿し、って言われただけで尻穴はきゅんとしてしまったけど、期待しているわけじゃなくて……って俺は誰に言い訳をしてるんだ。

「なんで?」
「僕と兄さん同時に抱けばどちらかが暴走した時止められるだろう」
「……二人とも暴走したらどうするんだよ」

 一応ジャンが冷静なのは知ってるけど。

「……それは困るな」

 ジャンも少し思うところがあるようだ。
 ロンドとビットは奴隷だから抑止力にはならない。となると。

「失礼ですが、禁止ワードを作るというのはどうでしょう?」

 ロンドが言う。

「禁止ワード?」

 首を傾げた。

「この言葉を言われたら必ず止めるという言葉です。例えば、「だめ」と言われたらやめるとか」
「”だめ”はだめだ。カイトがよく言っている」

 だめだからだめって言ってるんだけど。

「あまり言わない言葉を決めて、それを言われたら止めるというようにしないと奥さまの負担は増すばかりです」
「うーん……カイト、どの言葉にする?」

 ロンドの案を採用するようだ。それで止めてくれるならいいと思う。監視役みたいなのが来ても困ってしまうしな。

「……どうしよう?」

 三人で首を傾げて考えたけどうまい言葉が出てこない。しばらく経ってからジャンが言った。

「カイト、二輪挿しさせてくれ」
「なっ」
「それで言葉を決めていこう」

 まぁ、抱かれてみないとわからないこともあるかと思い、俺はしぶしぶ頷いた。なんか騙されてるような気がするのは俺だけか? 二輪挿しに誘導されたような……。
 でも実は俺も二輪挿しされたかったから、いいかなと思う。
 二人に愛されるのをいつのまにか好きになってしまった。身体から落とされて惚れるなんて最低な気がするけど、感じやすい身体になってしまったのだからしかたがない。

「……優しくしろよ?」
「もちろん、蕩けるほど甘く抱くさ」

 ジャンに耳元で甘く囁かれて、溶けるかと思った。
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
オレはデニス=アッカー伯爵令息(18才)。成績が悪くて跡継ぎから外された一人息子だ。跡継ぎに養子に来た義弟アルフ(15才)を、グレていじめる令息…の予定だったが、ここが物語の中で、義弟いじめの途中に事故で亡くなる事を思いだした。死にたくないので、優しい兄を目指してるのに、義弟はなかなか義兄上大好き!と言ってくれません。反抗期?思春期かな? そして今日も何故かオレの服が脱げそうです? そんなある日、義弟の親友と出会って…。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

処理中です...