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92.やっぱり混乱してしまう
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「やだっ、もうっ、二人とも、やっ……!」
朝食ができたとジャックが呼びに来たが俺は二人から顔を反らした。二人とも好きって思うけど、二人ともしつこいんだもん。少しは反省してほしいって思った。
「カイト、朝食は……」
「いらないっ! しばらくほっといてっ!」
本当はおなかがすいてきたけどジャックの困ったような声にムッとしたのだ。本当に困ってるのはこっちなのに。
「カイト……」
「触るなよっ!」
ジャンに髪を撫でられたけど拒絶した。だって恥ずかしいのだ。好きだからすっごく恥ずかしい。なんか俺って面倒でやってらんないなって思う。でも今はまだだめなのだ。俺はシーツを頭から被った。
自分が女々しくて嫌だけどしょうがない。
だって乳が出るのだ。
ジャックにも、ジャンにも抱かれたら乳が出たのだ。
この世界では子を孕むと乳が出るようになるとは聞いていたし、早川先輩の乳首からも乳が出ていた。でもまさか自分の胸から乳が出るようになるとは思っていなかった。
シーツの上から身体を撫でられる。
「また呼びにくる」
ジャンの声だった。
「だが……」
「カイトをたまには一人にしてあげましょう。もちろん少しの間だけですよ」
「ああ……」
ジャックは納得がいかないようだったがしぶしぶジャンに従った。パタンと部屋の扉が閉まる音がして、俺はおそるおそるシーツから顔を覗かせた。
「……いない……な?」
ビットと竜族の姿もない。俺はほっとしてため息をついた。
俺は混乱していた。まさか自分の胸から乳が出るなんて思ってもみなかったから。確かに聞かされてはいたが、聞くのと実際にそういう目に遭うのとでは全然違うのだ。俺にとって、自分の胸から乳が出るという情報は遠い世界の話だったのである。
「……なんで、だよぉ……」
俺は顔を両手で覆った。
天使は子を成せない。イケば精液は出るが、子種はないのだそうだ。だから乳が出たからって妊娠していないのは確かだ。
それよりも、乳が出るということは俺が二人を愛しているということと、例えばそうでなかったとしても身体が二人に愛されていると確信したということなのだ。
すごく愛されてるとは、思う。少なくとも身体は二人に甘く抱かれている。二輪挿しでもあまあく抱かれているって思ってしまう。だから、そういう意味で愛されているのは間違いない。
そして、俺もまた二人のことが……。
「ううう……」
俺が好きなのは早川先輩なのに、身体からほだされちゃうとか意志が弱すぎだろ。
でもあれだけ毎日甘く抱かれて抵抗できるかっていうと……。
「むり……」
だって俺、痛みにも快楽にも弱いし。
今日はもう休ませてくれないかなって思う。頭の中がいっぱいいっぱいなのだ。そうじゃなくても朝からジャンにいろいろされてしまったし。
「二輪挿し、されちゃうのかな……」
二輪挿しされながら乳が出たらどうするんだろう。またイッてから二人とも飲むんだろうか。それでまたイカされちゃって、尻穴舐め舐めされて感じちゃって……想像しただけで全身がカッと熱くなった。
エロすぎてやだ。
「やっぱ、むり……」
朝からエロエロだし、昨夜もすごかったし。このままだと俺の心臓持たない。
あーでもないこーでもないと悶えていたら、扉が開いた。
「カイト、腹減ってないか?」
ジャンだった。
「うん、おなかすいた……」
もうしょうがないからとりあえず朝ごはんを食べることにした。それから話し合いができればいいんだと思う。できなかった時が厄介だ。
ジャンの膝の上でもきゅもきゅと朝ごはんを食べる。パンもあったけど、何故か俺の前に置かれたのはパンケーキだった。それもバターとハチミツがふんだんに用意されている。どうやらこれがジャックなりの気持ちのようだった。
とろりとバターが溶けてなんともおいしそうだった。
「おいしそう……」
ナイフで切って食べる。とてもおいしかった。でもこれ、焼きたてに見える。さっき呼びにきた時からそれなりに時間が経っている。それって……。
「なぁ、ジャック。これ、さっきも用意してた?」
「……ああ」
「でもこれあったかいよ?」
「新しく焼いたんだ」
「じゃあさっきのは?」
「コイツらに食わせた」
ジャックが機嫌悪そうに言った。竜族とビットが食べたらしい。それならいいかと思った。無駄にならなかったならそれでいい。
「そっか。ジャック、おいしいよこれ」
「ならよかった……」
ジャックはとても嬉しそうに笑んだ。その笑みを見て、やっぱり好きだなって思う。
なんか恥ずかしくて、俺はその後無言でパンケーキを平らげた。サラダもシャキシャキだし、本当に俺の為に用意してくれているのがわかって顔が熱くなってしまう。ベーコンエッグも作ってもらって、温かいうちに食べられる。
すごい贅沢だなって。ただヤる為だけの相手にここまでするかなって考えたらしないだろって思った。
「おなかいっぱいになったか?」
食後のデザートにリンゴが出てきた。もちろん食べやすい大きさに切られている。二人ともリンゴそのままでかじってるのに。
「うん……」
やっぱ愛されてんのかな?
イマイチ自信はないけどそう思うことにした。
ーーーーー
もだもだしてるカイトの巻。
朝食ができたとジャックが呼びに来たが俺は二人から顔を反らした。二人とも好きって思うけど、二人ともしつこいんだもん。少しは反省してほしいって思った。
「カイト、朝食は……」
「いらないっ! しばらくほっといてっ!」
本当はおなかがすいてきたけどジャックの困ったような声にムッとしたのだ。本当に困ってるのはこっちなのに。
「カイト……」
「触るなよっ!」
ジャンに髪を撫でられたけど拒絶した。だって恥ずかしいのだ。好きだからすっごく恥ずかしい。なんか俺って面倒でやってらんないなって思う。でも今はまだだめなのだ。俺はシーツを頭から被った。
自分が女々しくて嫌だけどしょうがない。
だって乳が出るのだ。
ジャックにも、ジャンにも抱かれたら乳が出たのだ。
この世界では子を孕むと乳が出るようになるとは聞いていたし、早川先輩の乳首からも乳が出ていた。でもまさか自分の胸から乳が出るようになるとは思っていなかった。
シーツの上から身体を撫でられる。
「また呼びにくる」
ジャンの声だった。
「だが……」
「カイトをたまには一人にしてあげましょう。もちろん少しの間だけですよ」
「ああ……」
ジャックは納得がいかないようだったがしぶしぶジャンに従った。パタンと部屋の扉が閉まる音がして、俺はおそるおそるシーツから顔を覗かせた。
「……いない……な?」
ビットと竜族の姿もない。俺はほっとしてため息をついた。
俺は混乱していた。まさか自分の胸から乳が出るなんて思ってもみなかったから。確かに聞かされてはいたが、聞くのと実際にそういう目に遭うのとでは全然違うのだ。俺にとって、自分の胸から乳が出るという情報は遠い世界の話だったのである。
「……なんで、だよぉ……」
俺は顔を両手で覆った。
天使は子を成せない。イケば精液は出るが、子種はないのだそうだ。だから乳が出たからって妊娠していないのは確かだ。
それよりも、乳が出るということは俺が二人を愛しているということと、例えばそうでなかったとしても身体が二人に愛されていると確信したということなのだ。
すごく愛されてるとは、思う。少なくとも身体は二人に甘く抱かれている。二輪挿しでもあまあく抱かれているって思ってしまう。だから、そういう意味で愛されているのは間違いない。
そして、俺もまた二人のことが……。
「ううう……」
俺が好きなのは早川先輩なのに、身体からほだされちゃうとか意志が弱すぎだろ。
でもあれだけ毎日甘く抱かれて抵抗できるかっていうと……。
「むり……」
だって俺、痛みにも快楽にも弱いし。
今日はもう休ませてくれないかなって思う。頭の中がいっぱいいっぱいなのだ。そうじゃなくても朝からジャンにいろいろされてしまったし。
「二輪挿し、されちゃうのかな……」
二輪挿しされながら乳が出たらどうするんだろう。またイッてから二人とも飲むんだろうか。それでまたイカされちゃって、尻穴舐め舐めされて感じちゃって……想像しただけで全身がカッと熱くなった。
エロすぎてやだ。
「やっぱ、むり……」
朝からエロエロだし、昨夜もすごかったし。このままだと俺の心臓持たない。
あーでもないこーでもないと悶えていたら、扉が開いた。
「カイト、腹減ってないか?」
ジャンだった。
「うん、おなかすいた……」
もうしょうがないからとりあえず朝ごはんを食べることにした。それから話し合いができればいいんだと思う。できなかった時が厄介だ。
ジャンの膝の上でもきゅもきゅと朝ごはんを食べる。パンもあったけど、何故か俺の前に置かれたのはパンケーキだった。それもバターとハチミツがふんだんに用意されている。どうやらこれがジャックなりの気持ちのようだった。
とろりとバターが溶けてなんともおいしそうだった。
「おいしそう……」
ナイフで切って食べる。とてもおいしかった。でもこれ、焼きたてに見える。さっき呼びにきた時からそれなりに時間が経っている。それって……。
「なぁ、ジャック。これ、さっきも用意してた?」
「……ああ」
「でもこれあったかいよ?」
「新しく焼いたんだ」
「じゃあさっきのは?」
「コイツらに食わせた」
ジャックが機嫌悪そうに言った。竜族とビットが食べたらしい。それならいいかと思った。無駄にならなかったならそれでいい。
「そっか。ジャック、おいしいよこれ」
「ならよかった……」
ジャックはとても嬉しそうに笑んだ。その笑みを見て、やっぱり好きだなって思う。
なんか恥ずかしくて、俺はその後無言でパンケーキを平らげた。サラダもシャキシャキだし、本当に俺の為に用意してくれているのがわかって顔が熱くなってしまう。ベーコンエッグも作ってもらって、温かいうちに食べられる。
すごい贅沢だなって。ただヤる為だけの相手にここまでするかなって考えたらしないだろって思った。
「おなかいっぱいになったか?」
食後のデザートにリンゴが出てきた。もちろん食べやすい大きさに切られている。二人ともリンゴそのままでかじってるのに。
「うん……」
やっぱ愛されてんのかな?
イマイチ自信はないけどそう思うことにした。
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もだもだしてるカイトの巻。
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