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32.落ち着いてお茶も飲んでいられない
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「智倫哥(ジーリングァ)、勇志(ヨンジー)、参りました」
四阿の外から低い声をかけられてびくっとした。声でそれが智良(ジーリャン)だということはわかった。
「……んっ……」
智倫の膝に横抱きにされて舌を舐め合っていたけどそれを解かれ、思わず声が漏れてしまった。それがなんとも恥ずかしい。
「智良か」
私はたまらず智倫の胸に顔を伏せた。
「勇志、領地はどうだった?」
「……あ……いいところでした」
「そうか。それはよかった」
向かいの席に智良が腰掛ける。どこからともなく侍従が現れて蓋碗を運んできた。私の分と智倫の分は回収され、新しいものが用意される。
お茶が冷めてしまったというのと、飲まないで口づけに夢中になっていたからお茶が濃くなってしまったせいだろう。それがわかって頬がまた熱くなった。
智良が蓋で丁寧に茶葉を避けてお茶を啜る。その優雅な仕草に見惚れた。智良は四兄弟の中で一番身体がでかくがっしりとしている。指も太く無骨な印象だが、私に触れるのも丁寧だ。それを思い出して、ますます顔を上げられなくなってしまった。
「勇志は体格がいい方が好きなようですね……」
智倫にそう言われてそんなことはないと首を振った。
単純に自分が細いから憧れているだけだ。
「そ、そんな、ことは……」
「ならば智倫哥も鍛えればよろしいではありませんか」
「……残念ながら、いくら鍛えても筋肉がつきづらいのですよ」
「……私は……自分がこうだから、その……」
智良と智倫が言い争いのようなことをしているのが嫌だった。それは兄弟間のじゃれ合いのようなものかもしれないけど、不安なのだ。
「私も……あまり筋肉がつかなかったから……智明とか、智良のような身体が理想で……」
自分で言って情けないことだと思った。それに智倫の身体だって決して鍛えられていないわけではない。抱きしめられればその胸の逞しさにうっとりしてしまう。単純に彼ら兄弟の中では線が細く見えるというだけで、智倫がひょろっとしているわけではないのだ。ひょろりとしていると言えば今日会った代官のような者を言うべきである。
「そうなのですか。ですが……妬いてしまいそうです」
「……ぁ……」
目の前に智良がいるのに、また顔を持ち上げられて口づけられてしまった。
「……んっ……」
「……素直すぎて怖いぐらいだ。智倫哥、今から抱いてはなりませんか?」
智良がため息混じりに智倫に尋ねた。
「んんっ……ぁ……」
「そうですね。夕食の時間までよろしいですか?」
口づけを解かれて智倫に聞かれた。私は頬がまた熱くなるのを感じながら、こくりと頷いた。
できることなら、ずっと愛してほしいと思ってしまう。どんどん欲張りになる自分に私は震えた。
お茶をどうにかして飲み、智良に渡されてその胸にもたれたら、どきどきが止まらなくなってしまった。
「意識しているのがかわいいですね。……本当に、何故もっと早く我慢を止めなかったのかと考えてしまいますよ」
智倫もまたため息混じりにそんなことを呟いた。気づいてもらいたかったけど、何も行動しなかった私も悪かったのだ。もっと早く勇気を出して求めていれば、もっと早くいっぱい甘い時間を過ごせたに違いない。そう思うと、ただひたすらに受け身だった自分に怒りさえ湧いてきた。
「……私も、もっと早く素直になれたら……」
「……勇志、とても嬉しいが今は危険だ。せめて寝室に戻ってからにしてくれ」
智良に窘められて黙った。私はまたなにかしてしまったのだろうか。智良の歩みが早くなる。ただでさえ足が長くて歩くのが早いのに、まるで走っているのではないかと思ってしまうほど智良は急いで館の中へ戻った。智倫もその歩みに普通についてきたから走ったわけではないのだろう。私は目を丸くした。
しかも智良はあろうことか、階段を跳んだのである。私に与えられている部屋は二階なのだが、このまま階段を上るのかと思った途端にひらりと。
「……え?」
さすがに声が出た。そしてその速さのまま部屋の扉が開かれ、そっと床に下ろされた。
「勇志、我慢ができぬ……よいか?」
苦しそうな声に胸が甘く疼いた。
「は、はい……」
智良の目だけでなく、智倫の目にも欲望が映っているように見えた。二人に衣服をはぎ取られるように脱がされて、瞬く間に私は裸にされてしまった。
「勇志、綺麗だ……」
「……ぁ……」
智良が私の裸を眺めながら呟く。私の貧相な身体をそんなにまじまじと見ないでほしくて、私は思わず手で股間を隠すようにしてしまった。
「隠してはならぬ」
「……そん、な……」
「そうですよ。いっぱい気持ちよくなりましょうね」
「ああっ……」
智倫が私の胸に吸い付く。智良は股間を隠すようにした私の手を外して、ちんちんをぱくりと咥えたのだった。
四阿の外から低い声をかけられてびくっとした。声でそれが智良(ジーリャン)だということはわかった。
「……んっ……」
智倫の膝に横抱きにされて舌を舐め合っていたけどそれを解かれ、思わず声が漏れてしまった。それがなんとも恥ずかしい。
「智良か」
私はたまらず智倫の胸に顔を伏せた。
「勇志、領地はどうだった?」
「……あ……いいところでした」
「そうか。それはよかった」
向かいの席に智良が腰掛ける。どこからともなく侍従が現れて蓋碗を運んできた。私の分と智倫の分は回収され、新しいものが用意される。
お茶が冷めてしまったというのと、飲まないで口づけに夢中になっていたからお茶が濃くなってしまったせいだろう。それがわかって頬がまた熱くなった。
智良が蓋で丁寧に茶葉を避けてお茶を啜る。その優雅な仕草に見惚れた。智良は四兄弟の中で一番身体がでかくがっしりとしている。指も太く無骨な印象だが、私に触れるのも丁寧だ。それを思い出して、ますます顔を上げられなくなってしまった。
「勇志は体格がいい方が好きなようですね……」
智倫にそう言われてそんなことはないと首を振った。
単純に自分が細いから憧れているだけだ。
「そ、そんな、ことは……」
「ならば智倫哥も鍛えればよろしいではありませんか」
「……残念ながら、いくら鍛えても筋肉がつきづらいのですよ」
「……私は……自分がこうだから、その……」
智良と智倫が言い争いのようなことをしているのが嫌だった。それは兄弟間のじゃれ合いのようなものかもしれないけど、不安なのだ。
「私も……あまり筋肉がつかなかったから……智明とか、智良のような身体が理想で……」
自分で言って情けないことだと思った。それに智倫の身体だって決して鍛えられていないわけではない。抱きしめられればその胸の逞しさにうっとりしてしまう。単純に彼ら兄弟の中では線が細く見えるというだけで、智倫がひょろっとしているわけではないのだ。ひょろりとしていると言えば今日会った代官のような者を言うべきである。
「そうなのですか。ですが……妬いてしまいそうです」
「……ぁ……」
目の前に智良がいるのに、また顔を持ち上げられて口づけられてしまった。
「……んっ……」
「……素直すぎて怖いぐらいだ。智倫哥、今から抱いてはなりませんか?」
智良がため息混じりに智倫に尋ねた。
「んんっ……ぁ……」
「そうですね。夕食の時間までよろしいですか?」
口づけを解かれて智倫に聞かれた。私は頬がまた熱くなるのを感じながら、こくりと頷いた。
できることなら、ずっと愛してほしいと思ってしまう。どんどん欲張りになる自分に私は震えた。
お茶をどうにかして飲み、智良に渡されてその胸にもたれたら、どきどきが止まらなくなってしまった。
「意識しているのがかわいいですね。……本当に、何故もっと早く我慢を止めなかったのかと考えてしまいますよ」
智倫もまたため息混じりにそんなことを呟いた。気づいてもらいたかったけど、何も行動しなかった私も悪かったのだ。もっと早く勇気を出して求めていれば、もっと早くいっぱい甘い時間を過ごせたに違いない。そう思うと、ただひたすらに受け身だった自分に怒りさえ湧いてきた。
「……私も、もっと早く素直になれたら……」
「……勇志、とても嬉しいが今は危険だ。せめて寝室に戻ってからにしてくれ」
智良に窘められて黙った。私はまたなにかしてしまったのだろうか。智良の歩みが早くなる。ただでさえ足が長くて歩くのが早いのに、まるで走っているのではないかと思ってしまうほど智良は急いで館の中へ戻った。智倫もその歩みに普通についてきたから走ったわけではないのだろう。私は目を丸くした。
しかも智良はあろうことか、階段を跳んだのである。私に与えられている部屋は二階なのだが、このまま階段を上るのかと思った途端にひらりと。
「……え?」
さすがに声が出た。そしてその速さのまま部屋の扉が開かれ、そっと床に下ろされた。
「勇志、我慢ができぬ……よいか?」
苦しそうな声に胸が甘く疼いた。
「は、はい……」
智良の目だけでなく、智倫の目にも欲望が映っているように見えた。二人に衣服をはぎ取られるように脱がされて、瞬く間に私は裸にされてしまった。
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「……ぁ……」
智良が私の裸を眺めながら呟く。私の貧相な身体をそんなにまじまじと見ないでほしくて、私は思わず手で股間を隠すようにしてしまった。
「隠してはならぬ」
「……そん、な……」
「そうですよ。いっぱい気持ちよくなりましょうね」
「ああっ……」
智倫が私の胸に吸い付く。智良は股間を隠すようにした私の手を外して、ちんちんをぱくりと咥えたのだった。
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