野良インコと元飼主~山で高校生活送ります~

浅葱

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64.ピー太、冬休みの智紀と過ごす

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 とても寒い時期、この学校にはまた長い休みがある。
 長い休みの期間は若い人間たちがどんどんいなくなる。休みが終われば戻ってくるのだが。
 その間トモノリはどうするのかと少し心配していた。す、少しだぞっ、オレサマは寂しくなんかないんだからなっ!
 話を戻そう。
 最近はトモノリの部屋で過ごすことが多くなったのでトモノリはいろんな話をしてくれる。その中で冬休み中の過ごし方などについても言っていた。
 それによると、どうやら一晩はいなくなるらしい。
 家族に会いに行くのだそうだ。
 さっ、寂しくなんかないんだからなっ!(大事なことなので二度言ってみた)
 家族というのはよくわからないが、きっと俺とトモノリやピーコたちのような関係を言うのだろう。最近はピーコがやたらとくっついてくる。寒いからだろう。
 寒いのかと聞けば寒いと鳴く。そして鈍感だとも鳴く。
 鈍感とはなんだろうか。
 冬休みというものに入り、トモノリと一日中共にいられる日がやってきた。さすがに学校へは来ないようにとリョウカンに言われているのでそれは守っている。本当は授業なるものを受けているトモノリをすぐ側で見守ってやりたいのだが、その授業という時間中に他の場所で悪さをしようとする者もいるのだ。
 さすがに校舎の中には入れないが、普段カーテンがしまっていない教室でカーテンが閉まっている場合は学校のジムとかいう者に伝えたりしている。そう、校舎には入らないが外側からパトロールはできるのである。
 もちろん体育倉庫とかそういう校舎の外にある建物も確認している。何かあったらたいへんだからな。弱い者は守ってやらねばならぬのだ。ちなみに体育倉庫の端には小さな窓があり、そこから中が覗けるようにはなっている。外からは覆うような屋根があることから、晴れた日でも中がしっかり確認できるのだ。リョウカン曰く、悪さは隠れてするものだからそういった倉庫の中などが一番危ないのだという。さもありなんと思った。
 さて、今日もトモノリと遊ぼうとトモノリたちが住んでいる建物の前で待っていたのだがなかなか出てこない。
 出てきたと思ったら出かけるという。

「ピータ、トモーノリー!」

 一緒に行くつもりだったのだが、この建物や校舎などを見て回ってほしいと言うではないか。うむ、その頼み引き受けて進ぜよう。全くトモノリにはオレサマがついていてやらねばならぬのだからたいへんである。
 頼られるのが嬉しいなんてことはないぞっ。
 今日はユーリが山向こうに行っているということもあり、ピーコと共に張り切って見回りをしたのだった。
 そして、トモノリが一晩いなくなるという日がやってきた。

「ううう~……ピー太と離れたくない……」
「ピータ、トモーノリー!」

 そうだオレサマたちはいつでも一緒だぞ。とはいえどうもオレサマはこの山の中以外はちょっと出かけるのに具合が悪いからな。トモノリはかなり遠くまで出かけるみたいなので一緒に向かうのは諦めることにした。

「大林、そろそろバスの時間だぞ」

 ニシに言われ、トモノリはとぼとぼとバス停まで向かった。今日はユーリも一緒である。ユーリはオレサマのお目付け役のようだった。
 確かにオレサマがトモノリを追いかけていったりしたらたいへんだからな。行くことはできても戻ってこれないかもしれない。いいかげんオレサマも学んだのだ。己のことはよく知った方がいい。
 明日にはトモノリが帰ってくるということで、

「トモーノリー、イテラー」

 と言ってやった。あまりうまくは言えないが意味は通じるだろう。オレサマとトモノリは相思相愛だからなっ。

「イテラーって……ネットスラングじゃないんだから……。ちゃんと明日帰ってくるからなー!」

 うむ、無事帰ってくるのを待っているぞ。
 トモノリが乗ったバスの姿が見えなくなるまで見送った。ユーリにはすりっとすり寄られた。オレサマに慰めは不用である。明日には帰ってくるのだからなっ。
 もちろんトモノリは無事帰ってきた。

「親も弟もうるせええええ!」

 と悪態をついていた。
 だが家族がいるからそうやって会うこともできるのだ。
 年越しの頃はニシが不在だった。トモノリはイナと共に過ごしたらしい。オレサマの勘では、イナはトモノリに懸想しているように思う。だが手を出すほどではないだろう。もしイナがトモノリに手を出すようなことがあれば容赦はしない。
 トモノリはオレサマのだからなっ。
 また冷たい白い物が降ってきたりし、それほど長くもない冬休みは終わったのだった。


ーーーーー
トモノリのことについては敏感だけど?
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