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54.智紀、行事が多くて目まぐるしい
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サバイバル大会が終わり、希望者のみイノシシの肉が一欠けらぐらいずつ振舞われた。命をいただくってこういうことなんだなと実感する。嵐山さんが、「病変がある個体じゃなくてよかったねー」とかわけがわからないことを言っていた。
シシ肉の食感は、豚肉とは違った。一度煮てから焼いてあったらしい。思ったより固くなくて、獣臭っていうのかな? 匂いはあったけどそれなりにおいしかったと思う。稲村はちょっと困った顔をしていたのが面白かった。村西は「豚肉とは違うんだな」と呟いていた。
どちらにせよそう簡単に食べられるものでもないだろう。
嵐山さんは、「自分から木にぶつかってくれたみたいでよかったよ~」なんて言っていた。
しっかしそんなに都合よくいくものなのだろうか?
俺はピー太とユーリがなにかやらかしたのではないかと思っているが、真相は闇の中である。
そして、緒方が「ぐあああ~~~!」と叫んで髪をかきむしる中間テストが終わった。
なんつーか風物詩みたいだな。
風物詩ってなんだっけ?
テスト前からテスト期間にかけてピー太が俺の頭の上でジタジタしているのもいつも通りだった。こうして過ごしていると、もう何年もずっとこうしていたような気になるから不思議だった。
でもなぁ、とも思う。
ここにいるのは三年間なわけで。
卒業したらここから離れることになるんだよな。
下の町で就職とかできないものだろうかとか、真面目に考えてしまう。
この学校に就職? そんなことできるのか? やっぱ自分の実力を買われて就職! とかしてみたいよなぁ。そんなマンガみたいな話はまずないだろうけど。
「トモ君、どーしたの? テスト、かんばしくなかった?」
「うーん、まぁ赤点は取らないんじゃないか?」
「お前らあっち行けー!」
まだ緒方が騒いでいる。だったら少しでも勉強しておけばいいのにと思ってしまうが、そうできないんだって気持ちもわからないでもない。(どっちだ)
帰りもピー太が迎えに来てくれた。今日はピーコ、ピコーも一緒だった。セキセイインコ組は来たり来なかったりだ。稲村が胸に留まったピーコを嬉しそうに撫でている。ピーコも気持ちよさそうに目を閉じていた。
ピー太は相変わらず俺の頭の上に留まってから腕に移動する。
「俺がもう少しでかけりゃ肩にも留まるのかな」
「肩幅とかもあるかもねー」
ピコーの飛び方はよたよたというかんじでちょっと危なっかしい。でも村西の肩に留まって休んでいる。村西も優しい顔をしているから、満更でもないんだろう。
「あー、肩幅なぁ……」
確かにあるとはいえなかった。
サバイバル大会も、中間テストも終わったけど、文化祭みたいなものってこの学校はあるんだっけか? あんまり行事予定とか見てないんだよなー。何せピー太の存在に全部持ってかれたもんで。チェックぐらいしとけって? そうだよなぁ。
「そういえばうちの学校って文化祭とかあるんだっけ?」
「んーと……」
稲村が考えるような顔をした。
「学校を上げての文化祭みたいなのはないみたいだねー。それよりも先に生徒会の選挙があるよねー」
そういえばそうだったなと思い出した。
9月中に生徒総会があり、立候補者が出ていたことを思い出した。それぐらい俺にとっては影が薄かったのである。選挙ポスターみたいなのも貼られていたけど忘れていた。
サバイバル大会は現生徒会と学校が主催だけど、その後の行事は新しい生徒会が発足次第開催していくことになる。
つってもうちの学校の生徒会の始動はけっこう遅い方らしい。他の学校がどうかなんてわからないから比べようがないんだけどな。
「投票ってもう明日? 明後日か?」
「明後日だねー」
「誰か決めた?」
「うん、まぁ決めたよ」
今日は戻ってプリントを読む必要がありそうだ。なんの部活にも所属してないならかまわなくてもよさそうだが、俺は一応生物管理部の部長だし。生徒会が発足したらすぐに来年度の予算編成が始まるからリスト作りをしなければいけないわけで。
「うあー」
「トモ君?」
「部費申請の悪夢再び……」
「……そうだな」
村西も遠い目をした。四月にわちゃわちゃやった記憶がまだ残っている。活動実績は残しているから大幅に削られるってことはないだろうけど、せめて会計には覚えめでたい方がいい。今年の分の部費はどうにかなってるけど、ピー太やフクロウ、スズメたち、カケスたちや他の生き物たちの為である。
「いてえっ! こらっ、ピー太っ!」
俺をそっちのけで何を話しているんだとばかりに、ピー太に軽く鼻をかじられた。
「ピーコちゃんも退屈だったね。ごめんねー」
稲村は指をかじかじしているピーコを宥めている。
そうして寮の入口でピー太たちとは別れた。この時期は林の中に食べ物がたくさん落ちているらしく、ピー太たちはカケスたちと一緒にいることが多い。カケスってドングリを食べるんだっけか。ピー太たちは食べないはずだが、少しは食べられるものがあるんだろうか?
よくわからないけど、仲がいいのはいいことだよなと思ったのだった。
シシ肉の食感は、豚肉とは違った。一度煮てから焼いてあったらしい。思ったより固くなくて、獣臭っていうのかな? 匂いはあったけどそれなりにおいしかったと思う。稲村はちょっと困った顔をしていたのが面白かった。村西は「豚肉とは違うんだな」と呟いていた。
どちらにせよそう簡単に食べられるものでもないだろう。
嵐山さんは、「自分から木にぶつかってくれたみたいでよかったよ~」なんて言っていた。
しっかしそんなに都合よくいくものなのだろうか?
俺はピー太とユーリがなにかやらかしたのではないかと思っているが、真相は闇の中である。
そして、緒方が「ぐあああ~~~!」と叫んで髪をかきむしる中間テストが終わった。
なんつーか風物詩みたいだな。
風物詩ってなんだっけ?
テスト前からテスト期間にかけてピー太が俺の頭の上でジタジタしているのもいつも通りだった。こうして過ごしていると、もう何年もずっとこうしていたような気になるから不思議だった。
でもなぁ、とも思う。
ここにいるのは三年間なわけで。
卒業したらここから離れることになるんだよな。
下の町で就職とかできないものだろうかとか、真面目に考えてしまう。
この学校に就職? そんなことできるのか? やっぱ自分の実力を買われて就職! とかしてみたいよなぁ。そんなマンガみたいな話はまずないだろうけど。
「トモ君、どーしたの? テスト、かんばしくなかった?」
「うーん、まぁ赤点は取らないんじゃないか?」
「お前らあっち行けー!」
まだ緒方が騒いでいる。だったら少しでも勉強しておけばいいのにと思ってしまうが、そうできないんだって気持ちもわからないでもない。(どっちだ)
帰りもピー太が迎えに来てくれた。今日はピーコ、ピコーも一緒だった。セキセイインコ組は来たり来なかったりだ。稲村が胸に留まったピーコを嬉しそうに撫でている。ピーコも気持ちよさそうに目を閉じていた。
ピー太は相変わらず俺の頭の上に留まってから腕に移動する。
「俺がもう少しでかけりゃ肩にも留まるのかな」
「肩幅とかもあるかもねー」
ピコーの飛び方はよたよたというかんじでちょっと危なっかしい。でも村西の肩に留まって休んでいる。村西も優しい顔をしているから、満更でもないんだろう。
「あー、肩幅なぁ……」
確かにあるとはいえなかった。
サバイバル大会も、中間テストも終わったけど、文化祭みたいなものってこの学校はあるんだっけか? あんまり行事予定とか見てないんだよなー。何せピー太の存在に全部持ってかれたもんで。チェックぐらいしとけって? そうだよなぁ。
「そういえばうちの学校って文化祭とかあるんだっけ?」
「んーと……」
稲村が考えるような顔をした。
「学校を上げての文化祭みたいなのはないみたいだねー。それよりも先に生徒会の選挙があるよねー」
そういえばそうだったなと思い出した。
9月中に生徒総会があり、立候補者が出ていたことを思い出した。それぐらい俺にとっては影が薄かったのである。選挙ポスターみたいなのも貼られていたけど忘れていた。
サバイバル大会は現生徒会と学校が主催だけど、その後の行事は新しい生徒会が発足次第開催していくことになる。
つってもうちの学校の生徒会の始動はけっこう遅い方らしい。他の学校がどうかなんてわからないから比べようがないんだけどな。
「投票ってもう明日? 明後日か?」
「明後日だねー」
「誰か決めた?」
「うん、まぁ決めたよ」
今日は戻ってプリントを読む必要がありそうだ。なんの部活にも所属してないならかまわなくてもよさそうだが、俺は一応生物管理部の部長だし。生徒会が発足したらすぐに来年度の予算編成が始まるからリスト作りをしなければいけないわけで。
「うあー」
「トモ君?」
「部費申請の悪夢再び……」
「……そうだな」
村西も遠い目をした。四月にわちゃわちゃやった記憶がまだ残っている。活動実績は残しているから大幅に削られるってことはないだろうけど、せめて会計には覚えめでたい方がいい。今年の分の部費はどうにかなってるけど、ピー太やフクロウ、スズメたち、カケスたちや他の生き物たちの為である。
「いてえっ! こらっ、ピー太っ!」
俺をそっちのけで何を話しているんだとばかりに、ピー太に軽く鼻をかじられた。
「ピーコちゃんも退屈だったね。ごめんねー」
稲村は指をかじかじしているピーコを宥めている。
そうして寮の入口でピー太たちとは別れた。この時期は林の中に食べ物がたくさん落ちているらしく、ピー太たちはカケスたちと一緒にいることが多い。カケスってドングリを食べるんだっけか。ピー太たちは食べないはずだが、少しは食べられるものがあるんだろうか?
よくわからないけど、仲がいいのはいいことだよなと思ったのだった。
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