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52.智紀、サバイバル大会に参加す
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状況の確認などは思ったより早くできたらしい。
イノシシは大きな木に自分からぶつかってそのままお陀仏になったようだ。よかったと言っていいのかどうかは微妙である。
でも害獣だしな。
正直なところ、俺たちが暮らしてるところに出てこなければかまわないのだ。今回は出てきてしまったからたいへんなことになったわけで。
幸い怪我人はいなかったらしい。(慌ててこけて擦りむいたぐらいはあったみたいだ)
サバイバル大会は延期で、今日はこれから職員会議だという。
「延期ってことはまた開催はするんですよね?」
生徒の問いに担任は頷いた。
「さすがに今日の明日ということはないが、追って知らせる」
「わかりました」
みな頷いた。つーか頷くことしかできないわな。
で、順次寮に戻ることとなった。今三年から下校しているので、十分ぐらいしてから下校の準備を始めるようにと言われた。みんななんだかんだいって興奮しているみたいだった。
まぁ、目の前をイノシシが駆け抜けていくなんてこと普通はないと思う。
「えー? トモ君の前をイノシシが通り過ぎてったの? 危ないじゃん!」
稲村に話したら目を見開いた。
「目の前ってことはないけどな。けっこう、離れてたと思うし……」
「でも走ってったのは見たんでしょー?」
「ああ……なんかピー太とユーリも飛んでたように見えたんだよな……気のせいならいいけど」
怪我とかしてないといいんだが。あれはどうしてそうなったのか。イノシシが走っていたから興味を持って飛んでいただけなのかどうなんだろう。
「ええー?」
村西と合流した。
「……あれはやっぱり、俺の見間違いじゃなかったのか」
村西が遠い目をする。どうやら村西も目撃したらしい。顔を見合わせて昇降口を出た。今日は他の生徒も多いからピー太が待っていても気づかないかもしれないと思っていたら、ピピーッ! と鳴き声がしてバサバサと俺の頭に留まった。
「ピータッ! トモーノリー!」
ピー太は絶好調であるようだ。周りがざわざわしているが、気にしてもしょうがない。
「ピー太お前さー、イノシシ、追っかけてかなかったか?」
「ピータッ!」
さすがにイノシシという単語は出てこないらしい。普通イノシシの話題なんか出てこないもんなー。
腕に移ってもらって顔を見る。なんかふんすとしているように見える。もしかして追い回してたとか?
だけど聞いてもなんで飛んでいたのかはわかりそうもなかった。
「ピー太が元気ならいいよ」
そのまま寮まで戻ったのだった。
ピー太は珍しく部屋まではこなかった。ピー太はピー太なりに忙しいのだろう。
その日は着替えて寮でお昼を食べた。一応今日は念の為外に出ないように言われたので、部屋で問題集などをやっていた。サバイバル大会が終わって十日もすれば中間テストがあるからだ。
そろそろ休憩しようかなというタイミングでピー太とピコーが遊びに来たので、エサや水をあげたり撫でたりさせてもらった。村西も楽しそうにピコーの世話をしている。かなり慣れたのだろう。
翌日は日曜日なので特に何もなかった。いつも通り林の中の見回りをし、ピー太と遊んだり問題集をやったり談話室に少し顔を出したりした。
談話室には珍しく山根がいた。
「あれ? 山根じゃん」
「やあ」
「山菜採りってどうなったんだ?」
「多少は採ってきたよ。でも途中で戻ってこなければならなかったのが残念だね」
「そっか」
今日は農業管理部で集まっているらしい。
「邪魔したな」
「いや……」
村西の友人もいた。館(たて)が山登り組だったらしい。気になって聞いてみた。
「え? 山登りってどうしたんだ?」
「山頂までは登ったんだけど、食べ終わって下りようとしたら下りるなって言われて、なかなか下れなかったんだよ」
館が苦笑して教えてくれた。
「そっか。山登りってやり直しすんの?」
「どうなんだろうね。参加しないならしないで授業とか聞いたから、だったら山登りした方がいいとは思うけど」
確かに、と村西と共に頷いた。さすがにみんなが競技中に自分だけ授業とかやだよなー。俺もそれはごめんこうむりたい。
サバイバル大会は改めて月曜日に開催され、俺と村西はかなりのスピードで木を登った。他の生徒たちより早かったことから、猿かよと言われた。しっかり練習してただけだろーが。
おかげであの時イノシシが駆けて行くのを冷静に見ることができたんだし。
ちなみに木から下りた後ピー太が飛んできた。腕を伸ばしたらそっちに留まってくれたので、俺はもう嬉しくてピー太に頬ずりをした。
インコバカとか言われたけどいいのだ。ピー太はだってめちゃくちゃかわいいんだから。
目つきは悪いけどな。
イノシシは大きな木に自分からぶつかってそのままお陀仏になったようだ。よかったと言っていいのかどうかは微妙である。
でも害獣だしな。
正直なところ、俺たちが暮らしてるところに出てこなければかまわないのだ。今回は出てきてしまったからたいへんなことになったわけで。
幸い怪我人はいなかったらしい。(慌ててこけて擦りむいたぐらいはあったみたいだ)
サバイバル大会は延期で、今日はこれから職員会議だという。
「延期ってことはまた開催はするんですよね?」
生徒の問いに担任は頷いた。
「さすがに今日の明日ということはないが、追って知らせる」
「わかりました」
みな頷いた。つーか頷くことしかできないわな。
で、順次寮に戻ることとなった。今三年から下校しているので、十分ぐらいしてから下校の準備を始めるようにと言われた。みんななんだかんだいって興奮しているみたいだった。
まぁ、目の前をイノシシが駆け抜けていくなんてこと普通はないと思う。
「えー? トモ君の前をイノシシが通り過ぎてったの? 危ないじゃん!」
稲村に話したら目を見開いた。
「目の前ってことはないけどな。けっこう、離れてたと思うし……」
「でも走ってったのは見たんでしょー?」
「ああ……なんかピー太とユーリも飛んでたように見えたんだよな……気のせいならいいけど」
怪我とかしてないといいんだが。あれはどうしてそうなったのか。イノシシが走っていたから興味を持って飛んでいただけなのかどうなんだろう。
「ええー?」
村西と合流した。
「……あれはやっぱり、俺の見間違いじゃなかったのか」
村西が遠い目をする。どうやら村西も目撃したらしい。顔を見合わせて昇降口を出た。今日は他の生徒も多いからピー太が待っていても気づかないかもしれないと思っていたら、ピピーッ! と鳴き声がしてバサバサと俺の頭に留まった。
「ピータッ! トモーノリー!」
ピー太は絶好調であるようだ。周りがざわざわしているが、気にしてもしょうがない。
「ピー太お前さー、イノシシ、追っかけてかなかったか?」
「ピータッ!」
さすがにイノシシという単語は出てこないらしい。普通イノシシの話題なんか出てこないもんなー。
腕に移ってもらって顔を見る。なんかふんすとしているように見える。もしかして追い回してたとか?
だけど聞いてもなんで飛んでいたのかはわかりそうもなかった。
「ピー太が元気ならいいよ」
そのまま寮まで戻ったのだった。
ピー太は珍しく部屋まではこなかった。ピー太はピー太なりに忙しいのだろう。
その日は着替えて寮でお昼を食べた。一応今日は念の為外に出ないように言われたので、部屋で問題集などをやっていた。サバイバル大会が終わって十日もすれば中間テストがあるからだ。
そろそろ休憩しようかなというタイミングでピー太とピコーが遊びに来たので、エサや水をあげたり撫でたりさせてもらった。村西も楽しそうにピコーの世話をしている。かなり慣れたのだろう。
翌日は日曜日なので特に何もなかった。いつも通り林の中の見回りをし、ピー太と遊んだり問題集をやったり談話室に少し顔を出したりした。
談話室には珍しく山根がいた。
「あれ? 山根じゃん」
「やあ」
「山菜採りってどうなったんだ?」
「多少は採ってきたよ。でも途中で戻ってこなければならなかったのが残念だね」
「そっか」
今日は農業管理部で集まっているらしい。
「邪魔したな」
「いや……」
村西の友人もいた。館(たて)が山登り組だったらしい。気になって聞いてみた。
「え? 山登りってどうしたんだ?」
「山頂までは登ったんだけど、食べ終わって下りようとしたら下りるなって言われて、なかなか下れなかったんだよ」
館が苦笑して教えてくれた。
「そっか。山登りってやり直しすんの?」
「どうなんだろうね。参加しないならしないで授業とか聞いたから、だったら山登りした方がいいとは思うけど」
確かに、と村西と共に頷いた。さすがにみんなが競技中に自分だけ授業とかやだよなー。俺もそれはごめんこうむりたい。
サバイバル大会は改めて月曜日に開催され、俺と村西はかなりのスピードで木を登った。他の生徒たちより早かったことから、猿かよと言われた。しっかり練習してただけだろーが。
おかげであの時イノシシが駆けて行くのを冷静に見ることができたんだし。
ちなみに木から下りた後ピー太が飛んできた。腕を伸ばしたらそっちに留まってくれたので、俺はもう嬉しくてピー太に頬ずりをした。
インコバカとか言われたけどいいのだ。ピー太はだってめちゃくちゃかわいいんだから。
目つきは悪いけどな。
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