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46.智紀、夏休みを過ごす
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夏休みの間に、親戚から一度連絡があった。
夏休みだから家に戻ってこないのか? という問い合わせだ。
親戚に家を貸しているから、部屋を空けるなどの確認だろう。
「今学校が楽しくてしかたないんで、戻りません」
と伝えると、「何かあったらいつでも言ってね」と言われた。休みの日と言わずいつでも戻ってきていいとも。夏休み中に母さんと弟が一度こちらへ戻ってくるらしい。父さんは仕事で帰ってこられないようだ。母さんと弟は家に三泊ほど滞在してからまた上海に戻るのだそうだ。
まぁ、親戚がどういう風に家を使ってるのか、一度見た方がいいだろうしな。
「なんでにーちゃんは帰省しないんだよ!」
国際電話で弟に怒られた。高いんだからかけてくるなっての。
「帰省しても迷惑だろ? こっちは快適だからこっちで過ごすよ」
「にーちゃん背ぇ伸びた? いじめられてない?」
「……大丈夫だよ」
そう答えて電話を切った。心配、されてるのか? 弟の方が高くなってたらやだなぁと思った。来年には背を抜かされてそうでげんなりする。
「大林君、みんなでプールに行かないか?」
「え?」
見回りから戻ってきた時、嵐山さんにそう言われて聞き返してしまった。
「ちょっと遠出になるけど、流れるプールとかあるところがあるんだよ。友達も誘ってみんなで行こう」
「はぁ……うちの部でですか?」
「なんだったらマイクロバス出すから、他の子も誘って15人ぐらいはいいよ」
「えええ?」
そんなに友達残ってるかななんて考えた。
「夏休みって長いしさー、やることなくてヒマでしょ?」
「ええまぁ……」
俺もせいぜい朝晩ピー太の小屋辺りまでを見て回ってるだけだしな。もちろんちょっと山をぐるっと回ったりすることもあるけどあまり生活に変化がないのは確かだ。
部屋に戻って村西にその話をしたら、クラスの友人を誘ってもいいかと聞かれた。
「もちろん! いいと思うよ。って寮に残ってんの?」
「残ってるようなことは言ってたんだよな」
部屋の電話をかけて、何人かに声をかけた。もちろん稲村も誘った。
「行く行くー! 山根も行くって~」
「緒方は?」
「部活だって泣いてたよー?」
部活は楽しいんじゃないのか? やっぱプールは別なんだろうか。基本的に運動部は休みがないみたいだ。なんつーか、たいへんだなと思った。
村西のクラスの友人は、館(たて)と田中と言った。基本的にはクラスだけの付き合いらしいが、生物管理部に興味はあるらしい。入ってくれると嬉しいよと言ったら二人とも悩み始めた。そんなに悩むことだろうかと首を傾げた。
二人とも当然だが俺より背が高い。くそう。
それに稲村はぐんぐん背が伸びてる気がするんだよなー。
親父の背も小さいわけじゃないのに、なんで俺の背は伸びないんだ。ちょっとだけたそがれた。
翌日、嵐山さんと俺たち三人、山根、館、田中、そして生徒会長の藤沢先輩と副会長の河野先輩、生徒会書記の江村先輩、そして生徒会会計の伊藤先輩が加わってプールに出かけることになった。
生徒会役員多いな。
寮の外へ出たらピー太が当たり前のようにバサバサと飛んできて俺の頭の上に留まった。
「ピー太、今日は出かけるからだめだっつったろ?」
昨日の夕方には伝えておいたのだが、ピー太にはそんなこと関係ないらしい。
「見送りならいいけど一緒には行けないからな」
「ピータッ、トモーノリー、イッショー!」
そんな言葉覚えやがって、といじらしくも思えるが、ピー太は何せ前科がある。山から出すわけにはいかなかった。
「今日はだーめ。帰ってきてからまた遊ぼうな」
「トモーノリー!」
「だめだっての」
ピー太は俺のことが好きすぎる。ついにまにましてしまうし、いいよと言ってしまいそうになるがだめなのだ。腕に移ってもらって撫でていたら、ユーリが飛んできた。
「おおっ!」
「わあっ!」
館と田中が声を上げた。江村先輩と伊藤先輩も驚いたような顔をしている。タカって飛んでる姿はかなりでかいもんな。
ユーリは近くの木の枝に留まった。そしてじっとピー太を見る。
ピー太はちら、とユーリの方を見るとしぶしぶ飛んでいった。なんか最近ユーリがピー太のお世話係っぽくなってる。俺は苦笑した。
「ユーリ、ありがとうなー。ピー太、戻ってきたら一緒に遊ぼう」
「ピータッ、トモーノリー!」
「うんうん」
手を振って嵐山さんが運転するというマイクロバスに乗った。なんだかんだいって嵐山さんてアクティブだよなと思ったのだった。
夏休みだから家に戻ってこないのか? という問い合わせだ。
親戚に家を貸しているから、部屋を空けるなどの確認だろう。
「今学校が楽しくてしかたないんで、戻りません」
と伝えると、「何かあったらいつでも言ってね」と言われた。休みの日と言わずいつでも戻ってきていいとも。夏休み中に母さんと弟が一度こちらへ戻ってくるらしい。父さんは仕事で帰ってこられないようだ。母さんと弟は家に三泊ほど滞在してからまた上海に戻るのだそうだ。
まぁ、親戚がどういう風に家を使ってるのか、一度見た方がいいだろうしな。
「なんでにーちゃんは帰省しないんだよ!」
国際電話で弟に怒られた。高いんだからかけてくるなっての。
「帰省しても迷惑だろ? こっちは快適だからこっちで過ごすよ」
「にーちゃん背ぇ伸びた? いじめられてない?」
「……大丈夫だよ」
そう答えて電話を切った。心配、されてるのか? 弟の方が高くなってたらやだなぁと思った。来年には背を抜かされてそうでげんなりする。
「大林君、みんなでプールに行かないか?」
「え?」
見回りから戻ってきた時、嵐山さんにそう言われて聞き返してしまった。
「ちょっと遠出になるけど、流れるプールとかあるところがあるんだよ。友達も誘ってみんなで行こう」
「はぁ……うちの部でですか?」
「なんだったらマイクロバス出すから、他の子も誘って15人ぐらいはいいよ」
「えええ?」
そんなに友達残ってるかななんて考えた。
「夏休みって長いしさー、やることなくてヒマでしょ?」
「ええまぁ……」
俺もせいぜい朝晩ピー太の小屋辺りまでを見て回ってるだけだしな。もちろんちょっと山をぐるっと回ったりすることもあるけどあまり生活に変化がないのは確かだ。
部屋に戻って村西にその話をしたら、クラスの友人を誘ってもいいかと聞かれた。
「もちろん! いいと思うよ。って寮に残ってんの?」
「残ってるようなことは言ってたんだよな」
部屋の電話をかけて、何人かに声をかけた。もちろん稲村も誘った。
「行く行くー! 山根も行くって~」
「緒方は?」
「部活だって泣いてたよー?」
部活は楽しいんじゃないのか? やっぱプールは別なんだろうか。基本的に運動部は休みがないみたいだ。なんつーか、たいへんだなと思った。
村西のクラスの友人は、館(たて)と田中と言った。基本的にはクラスだけの付き合いらしいが、生物管理部に興味はあるらしい。入ってくれると嬉しいよと言ったら二人とも悩み始めた。そんなに悩むことだろうかと首を傾げた。
二人とも当然だが俺より背が高い。くそう。
それに稲村はぐんぐん背が伸びてる気がするんだよなー。
親父の背も小さいわけじゃないのに、なんで俺の背は伸びないんだ。ちょっとだけたそがれた。
翌日、嵐山さんと俺たち三人、山根、館、田中、そして生徒会長の藤沢先輩と副会長の河野先輩、生徒会書記の江村先輩、そして生徒会会計の伊藤先輩が加わってプールに出かけることになった。
生徒会役員多いな。
寮の外へ出たらピー太が当たり前のようにバサバサと飛んできて俺の頭の上に留まった。
「ピー太、今日は出かけるからだめだっつったろ?」
昨日の夕方には伝えておいたのだが、ピー太にはそんなこと関係ないらしい。
「見送りならいいけど一緒には行けないからな」
「ピータッ、トモーノリー、イッショー!」
そんな言葉覚えやがって、といじらしくも思えるが、ピー太は何せ前科がある。山から出すわけにはいかなかった。
「今日はだーめ。帰ってきてからまた遊ぼうな」
「トモーノリー!」
「だめだっての」
ピー太は俺のことが好きすぎる。ついにまにましてしまうし、いいよと言ってしまいそうになるがだめなのだ。腕に移ってもらって撫でていたら、ユーリが飛んできた。
「おおっ!」
「わあっ!」
館と田中が声を上げた。江村先輩と伊藤先輩も驚いたような顔をしている。タカって飛んでる姿はかなりでかいもんな。
ユーリは近くの木の枝に留まった。そしてじっとピー太を見る。
ピー太はちら、とユーリの方を見るとしぶしぶ飛んでいった。なんか最近ユーリがピー太のお世話係っぽくなってる。俺は苦笑した。
「ユーリ、ありがとうなー。ピー太、戻ってきたら一緒に遊ぼう」
「ピータッ、トモーノリー!」
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