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40.智紀、みんなで草むしりをがんばる
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今日も元気だ牛乳がうまい。
「大林君。牛乳は一日六杯までにしてもらえるとおばさん嬉しいわぁ」
さすがに食堂のおばさんに言われてしまった。笑顔だけど目が笑ってない。こわい。ごめんなさい。
「トモ君、飲み過ぎだよー」
稲村に言われて、ギンッと睨んだ。稲村が「トモ君こわいー」とか言っていた。何がこわいだ撤回しろ。
「……なんで六杯……」
村西がボソッと呟く。
「うーん? コップ一杯150ccとして六杯だと900cc? 一リットルは飲むなってことじゃない?」
「……お前らなんか嫌いだぁ……」
寮を出ればピー太が相変わらずピーッ! と鳴いて俺の頭の上に留まるし散々である。しかし未だに部屋とか、俺の頭にもフンをされたことはない。なかなかピー太は優秀だと思った。インコバカだって? ほっとけ。
草むしりは月に一回一時間とか言わない。生徒会長や先輩たちもかりだして寮の建物周りの草むしりをした。生徒会長と副会長も当たり前のように軍手をはめて参加だ。先輩たちはひーひー言ってたけど、稲村が提供した膝当てのおかげでやりやすいことはやりやすくなったらしい。(家庭科室で作ったと言っていた。稲村も何をやっているんだろう)
ピー太は俺の頭の上に乗ったままだし、ピーコも稲村の頭の上に乗って激励してくれる。ずっと乗られていると地味に重い。
作業着姿で抜いていると、
「うわー、草むしりとかねえわー」
「いこいこ」
という声が背後から聞こえてきた。しないならいちいち言わなくてもいいんじゃなかろうか。
ピーッ! ピピーッ!
「あっ、こらっ!」
ピー太やピーコの方が怒って余計なことを言った生徒をつつきに行ってしまう。稲村もあわあわしていた。
「ピー太、戻れって! 大丈夫だからっ!」
「いてっ、なんだよこの狂暴インコはっ!」
「余計なこと言うからだよー。はい、君たちも草むしりねー。田植えもしたのに懲りないねー」
どこで聞いていたのか嵐山さんが出てきて彼らの首根っこを掴んだ。にこにこしているように見えるがけっこうこわい。
「いてっ!」
「ピー太君、ピーコちゃん、気に食わないからっていちいちつついちゃだめだよ。危ないからね」
ピピーッ! ピーッ!
と鳴いてピー太とピーコは俺たちの頭の上にバサバサと戻ってきた。
「……俺のところに戻ってこなくてもいいんだぞー」
「トモ君そういうこと言わないのー」
稲村は嬉しそうだ。視線を感じてそちらを見れば、会長である藤沢先輩ににじーっと見られていた。なんというか、羨ましいというより恨めしそうである。藤沢先輩にも懇意になる鳥がいるといいんだがなんてウエメセなことを考えてしまった。すみません。
「作業着あるから着替えてねー。森林管理部にも声かけておくから」
「ええええ」
「ひでー」
嵐山さんに掴まった上級生は森林管理部に強制的に所属させられている、ちょっと問題行動のある生徒らしかった。事情はいろいろあるのかもしれないが、なんかやらかすのはだめだと思う。
ピー太は時折バサバサとどこかへ飛んで行っては、またバサバサと俺の頭の上に戻ってくる。おかげで俺の髪はぐちゃぐちゃでまさしく鳥の巣のようになったみたいだった。稲村の髪も同じ状態で、二人で頭を指さして笑ったりした。
別の日には校舎の周りの草取りをしたりして、気が付いたら梅雨になっていた。
「けっこう部屋の中も湿気含むから、出かけてる間はエアコンを除湿にして炭を部屋の隅に置いたりして対応してね」
食事時に嵐山さんにそうアナウンスされて、炭を取りに行ったりした。そうしないと湿気るだけではなく部屋の中にカビが生えたりするらしい。なのでこの時期は嵐山さんも頻繁に生徒たちの部屋の中を見たりするらしい。
「かーたーづーけーなーさーいー! やらないと部活参加停止にするからね!」
「それだけはご勘弁を~」
「片付けまーす!」
他の部屋からそんな悲鳴も聞こえてくるようになった。これは秋にも起こるらしい。掃除機は入口で貸してもらえるから定期的に掃除機はかけさせてもらっている。ピー太の羽が意外と散ってたりするのだ。
それに最近は夜になるとフクロウが訪ねてきたりもするので掃除は必須である。
さすがにピー太とカケスが一緒に部屋に来た時は村西が慄いていた。ごめん。
そうやって湿気と戦っている間に期末テストの期間に入る。
緒方が、
「バスケに勉強はいらないんだー!」
とかあほなことを言い、他のバスケ部員にはたかれていた。
「暴力はんたーい!」
「赤点取ったら部活に参加できなくなるぞ」
「なんかやるから許して!」
「内申点取れるような作業ってあんのかな?」
稲村と顔を見合わせた。
「そうだねー。この時期って何かあるのかな? 嵐山さんに聞いてみよーよ」
「余裕な奴らなんか嫌いだ!」
緒方が何やら叫んでいたが、気にしないことにしたのだった。
「大林君。牛乳は一日六杯までにしてもらえるとおばさん嬉しいわぁ」
さすがに食堂のおばさんに言われてしまった。笑顔だけど目が笑ってない。こわい。ごめんなさい。
「トモ君、飲み過ぎだよー」
稲村に言われて、ギンッと睨んだ。稲村が「トモ君こわいー」とか言っていた。何がこわいだ撤回しろ。
「……なんで六杯……」
村西がボソッと呟く。
「うーん? コップ一杯150ccとして六杯だと900cc? 一リットルは飲むなってことじゃない?」
「……お前らなんか嫌いだぁ……」
寮を出ればピー太が相変わらずピーッ! と鳴いて俺の頭の上に留まるし散々である。しかし未だに部屋とか、俺の頭にもフンをされたことはない。なかなかピー太は優秀だと思った。インコバカだって? ほっとけ。
草むしりは月に一回一時間とか言わない。生徒会長や先輩たちもかりだして寮の建物周りの草むしりをした。生徒会長と副会長も当たり前のように軍手をはめて参加だ。先輩たちはひーひー言ってたけど、稲村が提供した膝当てのおかげでやりやすいことはやりやすくなったらしい。(家庭科室で作ったと言っていた。稲村も何をやっているんだろう)
ピー太は俺の頭の上に乗ったままだし、ピーコも稲村の頭の上に乗って激励してくれる。ずっと乗られていると地味に重い。
作業着姿で抜いていると、
「うわー、草むしりとかねえわー」
「いこいこ」
という声が背後から聞こえてきた。しないならいちいち言わなくてもいいんじゃなかろうか。
ピーッ! ピピーッ!
「あっ、こらっ!」
ピー太やピーコの方が怒って余計なことを言った生徒をつつきに行ってしまう。稲村もあわあわしていた。
「ピー太、戻れって! 大丈夫だからっ!」
「いてっ、なんだよこの狂暴インコはっ!」
「余計なこと言うからだよー。はい、君たちも草むしりねー。田植えもしたのに懲りないねー」
どこで聞いていたのか嵐山さんが出てきて彼らの首根っこを掴んだ。にこにこしているように見えるがけっこうこわい。
「いてっ!」
「ピー太君、ピーコちゃん、気に食わないからっていちいちつついちゃだめだよ。危ないからね」
ピピーッ! ピーッ!
と鳴いてピー太とピーコは俺たちの頭の上にバサバサと戻ってきた。
「……俺のところに戻ってこなくてもいいんだぞー」
「トモ君そういうこと言わないのー」
稲村は嬉しそうだ。視線を感じてそちらを見れば、会長である藤沢先輩ににじーっと見られていた。なんというか、羨ましいというより恨めしそうである。藤沢先輩にも懇意になる鳥がいるといいんだがなんてウエメセなことを考えてしまった。すみません。
「作業着あるから着替えてねー。森林管理部にも声かけておくから」
「ええええ」
「ひでー」
嵐山さんに掴まった上級生は森林管理部に強制的に所属させられている、ちょっと問題行動のある生徒らしかった。事情はいろいろあるのかもしれないが、なんかやらかすのはだめだと思う。
ピー太は時折バサバサとどこかへ飛んで行っては、またバサバサと俺の頭の上に戻ってくる。おかげで俺の髪はぐちゃぐちゃでまさしく鳥の巣のようになったみたいだった。稲村の髪も同じ状態で、二人で頭を指さして笑ったりした。
別の日には校舎の周りの草取りをしたりして、気が付いたら梅雨になっていた。
「けっこう部屋の中も湿気含むから、出かけてる間はエアコンを除湿にして炭を部屋の隅に置いたりして対応してね」
食事時に嵐山さんにそうアナウンスされて、炭を取りに行ったりした。そうしないと湿気るだけではなく部屋の中にカビが生えたりするらしい。なのでこの時期は嵐山さんも頻繁に生徒たちの部屋の中を見たりするらしい。
「かーたーづーけーなーさーいー! やらないと部活参加停止にするからね!」
「それだけはご勘弁を~」
「片付けまーす!」
他の部屋からそんな悲鳴も聞こえてくるようになった。これは秋にも起こるらしい。掃除機は入口で貸してもらえるから定期的に掃除機はかけさせてもらっている。ピー太の羽が意外と散ってたりするのだ。
それに最近は夜になるとフクロウが訪ねてきたりもするので掃除は必須である。
さすがにピー太とカケスが一緒に部屋に来た時は村西が慄いていた。ごめん。
そうやって湿気と戦っている間に期末テストの期間に入る。
緒方が、
「バスケに勉強はいらないんだー!」
とかあほなことを言い、他のバスケ部員にはたかれていた。
「暴力はんたーい!」
「赤点取ったら部活に参加できなくなるぞ」
「なんかやるから許して!」
「内申点取れるような作業ってあんのかな?」
稲村と顔を見合わせた。
「そうだねー。この時期って何かあるのかな? 嵐山さんに聞いてみよーよ」
「余裕な奴らなんか嫌いだ!」
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