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30.ピー太、タカと出会う
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しばしばこの辺りに黒い鳥がやってくることはあった。
あれらがカラスという名称の鳥であることはオレサマも知っている。
オレサマよりもでかく、羽もツヤツヤしているのだが、いかんせんヤツらは意地が悪い。フクロウがいない間を見計らって他の鳥たちをいじめたりするのだ。
そんなわけでインコたちには常に何羽かで行動するように言ってある。それはスズメも同様である。最近カケスたちも仲間に加わったので、インコやスズメと一緒に飛んでいたりするのでなかなか助かっている。
カケスの大きさはこの辺りに来るカラスと同じぐらいだから、カケスと一緒にいれば襲われるということもあまりないようだ。
カケスたちはうちのトモノリたちに小屋を作ってもらえることになり、毎日楽しそうにジェージェー鳴いている。
オレサマも付き添った方がいいかとカケスに聞かれたが、オレサマは心配ない。
カラスなんかには負けないのである。
ヤツらも周りの鳥たちのことを考えて行動するのならば仲間に入れてやらないこともないが、どうにも傲慢でいかん。
どうしたものかと思っていたら、カラスをこの山から追い出す計画があると、リョウカンとトモノリ、そしてもう一人が来て言っていた。もう一人とはあれである。オレサマが人違いをしたカイチョーとかいう者だ。今は昔の面影はほとんどないと言っていいだろう。
夕方に来てフクロウも呼ぶように言われたのでフクロウを起こし話を聞いてみた。
よくわからなかったが、どうもでかい鳥が来るらしい。身振り手振りと鳴き声のマネで判別する限り、そんなかんじである。
そのでかい鳥がカラスたちを追いやるそうだ。
わざわざ絵を描いて持ってきたのでなんとなくわかった。
だがそのでかい鳥はオレサマたちの敵でもあるので、その鳥が来た時は小屋から出ないように言われた。
でかい鳥は「タカ」というらしい。
ここまで理解するのにかなり時間がかかり、オレサマとフクロウは首を傾げっぱなしだった。
言葉がわからないというのは不便である。
「フクロウって死んだ物は食べないのか?」
トモノリが聞く。
死んだ物とはなんだろう。動かない物だろうか。
カイチョーが絵を描いた。カイチョーの絵はなかなかわかりやすい。
フクロウは虫でもなんでも食べる。ただその場で獲った物の方が新鮮だということがわかるという話だ。
「なら、肉を食堂で分けてもらおうか」
リョウカンが言う。いろいろ決まったようだった。
翌朝、タカを飛ばせるのはリョウカンが付き添うこととなった。オレサマたちの小屋には昨日トモノリたちが入れてくれた細かい餌でいっぱいである。明日ぐらいまで食べられそうな量で、みな喜んでいた。
タカを飛ばすからこないでほしいとは言われたが、オレサマはそのタカとやらに興味があった。
葉っぱが重なっている辺りにいて、タカが来るのを待った。
タカは四羽やってきた。みな人間の手や肩に乗っている。
「いやー、助かるよ」
「カラス被害があるならもっと早く呼んでくれ」
「生徒たちに言われて気が付いたんだよ。カラスも生きる為だってことはわかってるけど、困るよね」
「どの生き物でもお互い様だろう」
タカを肩に載せている者がリョウカンと話している。タカが一羽こちらを向いた。確かにこれだけ見ていたら気づかれるだろう。
「……あれってオカメインコですか?」
タカの視線に気づいたのか、そのタカを連れている者がオレサマに気づいた。
お前、人間にしてはなかなかやるな。
「えっ? ピー太君、だめじゃないか出てきちゃっ!」
リョウカンに怒られた。
「襲うことはないですけど、間違って怪我とかさせたら困るので嵐山さんのところにいてもらった方がいいですね」
「もー、ピー太君! こっち来て!」
リョウカンに呼ばれたので頭の上に乗ってやった。
「全くもー!」
タカを連れた者たちはしばらく林の中や寮の近くなどを見て回った。
「カラスの巣が見つかりませんね」
カラスの巣ならあっちにあるぞ。
ピピーッ! と鳴けば先ほどオレサマを見つけた者が気づいた。
「えーと、ピー太君でしたっけ? もしかしてカラスの巣がどこにあるか知っているんですか?」
ピピッ! と鳴いてやる。なかなか察しがいい人間だ。
「案内ってできます?」
それにも返事をしてやり、オレサマはタカと一緒にいる者たちを近くまで連れていってやった。タカは従順にオレサマに付いてきた。なかなか見どころのあるヤツである。
「相当頭のいいオカメインコですね」
タカを連れている者が感心したように言う。
当たり前だ。オレサマはできるオカメインコなのである。
予定通りタカを飛ばすことはできたらしい。タカが近づいてきてそのでかさがちょっと怖かったが、そのタカはオレサマにすり寄ってきた。
「ユーリはピー太君が気に入ったみたいですね」
「そんなことってあるんだ!?」
リョウカンがうるさい。
タカを連れた者たちはその後も日を空けて何回か来、そのうちの、オレサマを見つけた者はタカと共にこの山に住むことにしたらしい。
「ピー太君、これからよろしくお願いします」
飛山という名の鷹匠は、そう言ってオレサマに丁寧に礼をした。飛山が連れていたユーリがオレサマにすり寄ってきた。至近距離だとでかいので怯みそうになるが、コイツもなかなかかわいいヤツである。
その時共にいたトモノリの方が驚いていたぐらいだ。
「ピー太……なぁ、本当にお前何やってんだ?」
トモノリや他のものたちを守っているだけである。
こうしてカラスたちは山から姿を減らしていったのだった。
あれらがカラスという名称の鳥であることはオレサマも知っている。
オレサマよりもでかく、羽もツヤツヤしているのだが、いかんせんヤツらは意地が悪い。フクロウがいない間を見計らって他の鳥たちをいじめたりするのだ。
そんなわけでインコたちには常に何羽かで行動するように言ってある。それはスズメも同様である。最近カケスたちも仲間に加わったので、インコやスズメと一緒に飛んでいたりするのでなかなか助かっている。
カケスの大きさはこの辺りに来るカラスと同じぐらいだから、カケスと一緒にいれば襲われるということもあまりないようだ。
カケスたちはうちのトモノリたちに小屋を作ってもらえることになり、毎日楽しそうにジェージェー鳴いている。
オレサマも付き添った方がいいかとカケスに聞かれたが、オレサマは心配ない。
カラスなんかには負けないのである。
ヤツらも周りの鳥たちのことを考えて行動するのならば仲間に入れてやらないこともないが、どうにも傲慢でいかん。
どうしたものかと思っていたら、カラスをこの山から追い出す計画があると、リョウカンとトモノリ、そしてもう一人が来て言っていた。もう一人とはあれである。オレサマが人違いをしたカイチョーとかいう者だ。今は昔の面影はほとんどないと言っていいだろう。
夕方に来てフクロウも呼ぶように言われたのでフクロウを起こし話を聞いてみた。
よくわからなかったが、どうもでかい鳥が来るらしい。身振り手振りと鳴き声のマネで判別する限り、そんなかんじである。
そのでかい鳥がカラスたちを追いやるそうだ。
わざわざ絵を描いて持ってきたのでなんとなくわかった。
だがそのでかい鳥はオレサマたちの敵でもあるので、その鳥が来た時は小屋から出ないように言われた。
でかい鳥は「タカ」というらしい。
ここまで理解するのにかなり時間がかかり、オレサマとフクロウは首を傾げっぱなしだった。
言葉がわからないというのは不便である。
「フクロウって死んだ物は食べないのか?」
トモノリが聞く。
死んだ物とはなんだろう。動かない物だろうか。
カイチョーが絵を描いた。カイチョーの絵はなかなかわかりやすい。
フクロウは虫でもなんでも食べる。ただその場で獲った物の方が新鮮だということがわかるという話だ。
「なら、肉を食堂で分けてもらおうか」
リョウカンが言う。いろいろ決まったようだった。
翌朝、タカを飛ばせるのはリョウカンが付き添うこととなった。オレサマたちの小屋には昨日トモノリたちが入れてくれた細かい餌でいっぱいである。明日ぐらいまで食べられそうな量で、みな喜んでいた。
タカを飛ばすからこないでほしいとは言われたが、オレサマはそのタカとやらに興味があった。
葉っぱが重なっている辺りにいて、タカが来るのを待った。
タカは四羽やってきた。みな人間の手や肩に乗っている。
「いやー、助かるよ」
「カラス被害があるならもっと早く呼んでくれ」
「生徒たちに言われて気が付いたんだよ。カラスも生きる為だってことはわかってるけど、困るよね」
「どの生き物でもお互い様だろう」
タカを肩に載せている者がリョウカンと話している。タカが一羽こちらを向いた。確かにこれだけ見ていたら気づかれるだろう。
「……あれってオカメインコですか?」
タカの視線に気づいたのか、そのタカを連れている者がオレサマに気づいた。
お前、人間にしてはなかなかやるな。
「えっ? ピー太君、だめじゃないか出てきちゃっ!」
リョウカンに怒られた。
「襲うことはないですけど、間違って怪我とかさせたら困るので嵐山さんのところにいてもらった方がいいですね」
「もー、ピー太君! こっち来て!」
リョウカンに呼ばれたので頭の上に乗ってやった。
「全くもー!」
タカを連れた者たちはしばらく林の中や寮の近くなどを見て回った。
「カラスの巣が見つかりませんね」
カラスの巣ならあっちにあるぞ。
ピピーッ! と鳴けば先ほどオレサマを見つけた者が気づいた。
「えーと、ピー太君でしたっけ? もしかしてカラスの巣がどこにあるか知っているんですか?」
ピピッ! と鳴いてやる。なかなか察しがいい人間だ。
「案内ってできます?」
それにも返事をしてやり、オレサマはタカと一緒にいる者たちを近くまで連れていってやった。タカは従順にオレサマに付いてきた。なかなか見どころのあるヤツである。
「相当頭のいいオカメインコですね」
タカを連れている者が感心したように言う。
当たり前だ。オレサマはできるオカメインコなのである。
予定通りタカを飛ばすことはできたらしい。タカが近づいてきてそのでかさがちょっと怖かったが、そのタカはオレサマにすり寄ってきた。
「ユーリはピー太君が気に入ったみたいですね」
「そんなことってあるんだ!?」
リョウカンがうるさい。
タカを連れた者たちはその後も日を空けて何回か来、そのうちの、オレサマを見つけた者はタカと共にこの山に住むことにしたらしい。
「ピー太君、これからよろしくお願いします」
飛山という名の鷹匠は、そう言ってオレサマに丁寧に礼をした。飛山が連れていたユーリがオレサマにすり寄ってきた。至近距離だとでかいので怯みそうになるが、コイツもなかなかかわいいヤツである。
その時共にいたトモノリの方が驚いていたぐらいだ。
「ピー太……なぁ、本当にお前何やってんだ?」
トモノリや他のものたちを守っているだけである。
こうしてカラスたちは山から姿を減らしていったのだった。
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