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24.智紀、また生徒会室へ赴く
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予算審議の結果が出るのはGW明けと聞いたのだけど、4月の終わりの金曜日にはまた生徒会室へ呼び出された。
「トモ君、今度こそピー太君を連れて行こうよ! ピーコちゃんにも会いたい!」
「ええ~? 学校の外にいるとは限らないだろ?」
なんとなくピー太たちにも時間の感覚みたいなものがあるらしいということはわかっている。学校の授業が終わる時間を見計らって校舎の外で待っていてくれているみたいだから、一応声をかけに行ってもいいのかもしれないとは思った。
「連れてくるかどうかはともかく、声はかけてくるよ」
「そうだな」
村西が頷いた。
「ちょっと行ってくるから、先に行って生徒会室の前で待ってて」
「あっ、僕も行くってばー!」
稲村が慌てて追いかけてきた。リュックを背負ったまま階段を下りて昇降口を出る。
「ピーッ、ピピッ、トモー、ノリー!」
今日も待っていてくれたらしい。ついにんまりしてしまう。
頭の上に留まるのはいつも通りだ。やはり最初から肩に乗るのは難しいらしい。
「ピー太、俺これから生徒会室に行かないといけないから、また校舎の中に戻るんだ。だから先に帰っててくれないか?」
待たせるのも悪いのでそう言ったら、ピーッ! と鳴き声がして、ピーコが飛んできた。バサバサッと羽ばたいて稲村の胸に留まる。
「わっ、ピーコちゃん!」
稲村が驚く。
「ピータ、イクー」
「え? 一緒に行くのか?」
「トモー、ノリー」
「わかった。じゃあ一緒に行くか」
「トモ君、顔が崩れてるよー」
「稲村もだろ」
「うん! ピーコちゃんに会えて嬉しい~」
稲村の顔がデレデレである。俺もこんな顔してるのかなと思ったらちょっと恥ずかしかった。
でもしょうがないよな。
ピー太とピーコも付いて来てくれるというので一緒に戻ることになった。糞をしたら俺たちで片付ければいいのだ。その為に実はビニール袋とティッシュも多めに持ち歩いていたりする。つってもピーコはともかくピー太は俺のいる前で糞をしたことはないんだけどな?
生徒会室に向かうと、
「遅い」
と生徒会長に言われたが、会長はピー太を見ると咳ばらいをした。
「ま、まぁしかたない……」
会長はピー太のことを気に入っているらしい。でも副会長が冷たい目をするのでほどほどにしてほしかった。
「予算審議が終わった。通ったのはこの通りだ」
書類を渡されて確認する。意外といろいろ通ったみたいだった。やっぱり消耗品かどうか迷った物についてはしっかり却下されていた。内心ちっと思ったができるだけ顔に出さないよう耐えた。
稲村と村西も目を通し、頷いた。おおむね予想した通りでよかったと思う。
「ありがとうございます。でも、GW明けって言ってませんでしたか?」
早い分にはいいんだけどちょっと気になった。ピー太が俺の腕から飛んで、開いている窓の外へ飛んで行った。ピーコも慌てたように追っていく。
「ああ……」
生徒会長が残念そうな声を上げた。
「ピー太君たちにはお世話になっている生徒が多いからね。僕たちはそれほど恩恵は受けていないけど、風紀委員の仕事がなくなったようなことは言っていたよ」
副会長が言う。それは恩恵じゃなくて恨まれてないか? なんとも微妙な話だった。
ピー太とピーコが窓から戻ってきた。
「? おかえり」
「オカエリー」
ピー太が言う。
「お前が言うのはただいまだろ」
なかなかこういうのは難しいらしい。また顔が崩れてしまったと思う。
「実は予算の他に頼みがあってな」
生徒会長がそんなことを言い出した。
話を聞くと、生徒会長はうちの部に入りたいらしい。生徒会長が所属すれば便宜ははかってくれるようなことを言っていたけど、生徒会も忙しいだろうに大丈夫なんだろうか?
しかも副会長まで入ることになってしまった。
しっかり入部届を預かった俺たちだったけど、なんだかなぁと思った。
校舎を出る。
「なぁ、ピー太。本当にお前、この学校で何やってんだ?」
「ピピーッ?」
知らないよ? というようにピー太が首をコキャッと傾げる。ピーコも稲村の肩に乗ったまま同じようにコキャッと首を傾げた。
そんなとこ揃えなくていいから。めちゃくちゃかわいいから。
寮に戻って嵐山さんに報告したら大爆笑された。
なんで笑われたのかも含めて、もう意味がわからなかった。
「トモ君、今度こそピー太君を連れて行こうよ! ピーコちゃんにも会いたい!」
「ええ~? 学校の外にいるとは限らないだろ?」
なんとなくピー太たちにも時間の感覚みたいなものがあるらしいということはわかっている。学校の授業が終わる時間を見計らって校舎の外で待っていてくれているみたいだから、一応声をかけに行ってもいいのかもしれないとは思った。
「連れてくるかどうかはともかく、声はかけてくるよ」
「そうだな」
村西が頷いた。
「ちょっと行ってくるから、先に行って生徒会室の前で待ってて」
「あっ、僕も行くってばー!」
稲村が慌てて追いかけてきた。リュックを背負ったまま階段を下りて昇降口を出る。
「ピーッ、ピピッ、トモー、ノリー!」
今日も待っていてくれたらしい。ついにんまりしてしまう。
頭の上に留まるのはいつも通りだ。やはり最初から肩に乗るのは難しいらしい。
「ピー太、俺これから生徒会室に行かないといけないから、また校舎の中に戻るんだ。だから先に帰っててくれないか?」
待たせるのも悪いのでそう言ったら、ピーッ! と鳴き声がして、ピーコが飛んできた。バサバサッと羽ばたいて稲村の胸に留まる。
「わっ、ピーコちゃん!」
稲村が驚く。
「ピータ、イクー」
「え? 一緒に行くのか?」
「トモー、ノリー」
「わかった。じゃあ一緒に行くか」
「トモ君、顔が崩れてるよー」
「稲村もだろ」
「うん! ピーコちゃんに会えて嬉しい~」
稲村の顔がデレデレである。俺もこんな顔してるのかなと思ったらちょっと恥ずかしかった。
でもしょうがないよな。
ピー太とピーコも付いて来てくれるというので一緒に戻ることになった。糞をしたら俺たちで片付ければいいのだ。その為に実はビニール袋とティッシュも多めに持ち歩いていたりする。つってもピーコはともかくピー太は俺のいる前で糞をしたことはないんだけどな?
生徒会室に向かうと、
「遅い」
と生徒会長に言われたが、会長はピー太を見ると咳ばらいをした。
「ま、まぁしかたない……」
会長はピー太のことを気に入っているらしい。でも副会長が冷たい目をするのでほどほどにしてほしかった。
「予算審議が終わった。通ったのはこの通りだ」
書類を渡されて確認する。意外といろいろ通ったみたいだった。やっぱり消耗品かどうか迷った物についてはしっかり却下されていた。内心ちっと思ったができるだけ顔に出さないよう耐えた。
稲村と村西も目を通し、頷いた。おおむね予想した通りでよかったと思う。
「ありがとうございます。でも、GW明けって言ってませんでしたか?」
早い分にはいいんだけどちょっと気になった。ピー太が俺の腕から飛んで、開いている窓の外へ飛んで行った。ピーコも慌てたように追っていく。
「ああ……」
生徒会長が残念そうな声を上げた。
「ピー太君たちにはお世話になっている生徒が多いからね。僕たちはそれほど恩恵は受けていないけど、風紀委員の仕事がなくなったようなことは言っていたよ」
副会長が言う。それは恩恵じゃなくて恨まれてないか? なんとも微妙な話だった。
ピー太とピーコが窓から戻ってきた。
「? おかえり」
「オカエリー」
ピー太が言う。
「お前が言うのはただいまだろ」
なかなかこういうのは難しいらしい。また顔が崩れてしまったと思う。
「実は予算の他に頼みがあってな」
生徒会長がそんなことを言い出した。
話を聞くと、生徒会長はうちの部に入りたいらしい。生徒会長が所属すれば便宜ははかってくれるようなことを言っていたけど、生徒会も忙しいだろうに大丈夫なんだろうか?
しかも副会長まで入ることになってしまった。
しっかり入部届を預かった俺たちだったけど、なんだかなぁと思った。
校舎を出る。
「なぁ、ピー太。本当にお前、この学校で何やってんだ?」
「ピピーッ?」
知らないよ? というようにピー太が首をコキャッと傾げる。ピーコも稲村の肩に乗ったまま同じようにコキャッと首を傾げた。
そんなとこ揃えなくていいから。めちゃくちゃかわいいから。
寮に戻って嵐山さんに報告したら大爆笑された。
なんで笑われたのかも含めて、もう意味がわからなかった。
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