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4.ピー太、リョウカンの手伝いをする
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元の飼主であるトモノリは相変わらず小さかった。
顔も大して変わっていないように見えた。トモノリは他の人間より目が大きい。おかげでわかりやすかったがこれは由々しきことである。
ルームメイトだとかいう者はトモノリよりもはるかにでかかった。
オレサマはリョウカンとかいう人間から小屋を作ってもらっていた。
オレサマたちが住んでいる木の途中にいくつも取り付けてくれたのだ。その恩義に報いる為、リョウカンの手伝いをしている。
リョウカンは、ここには基本人間の若い雄(オス)しかいないのだと言っていた。
若い人間の雄しかいないとなるといろいろ不満が溜まるものだ。なので雄の中でも弱い者がいじめられたりと問題が起きたりしやすいという。
それにはオレサマも同意する。
わかっているなら何故そんなことをしている(若い雄だけを集める)のかとは思うが、人間にもいろいろ事情というものがあるらしい。
弱い者がもし何人かに囲まれていたり、服を脱がされたり、泣かされているような現場を見たらリョウカンに教えてほしいと言われた。
リョウカンは基本寮の入口にいる。いないこともあるが、その時は別の者がいるのでその者に教えてほしいと言っていた。
教える合言葉は「キンキュー」である。
キンキュー、キンキューと何度も復唱し、俺はすぐにその言葉を覚えた。リョウカンは「頭いいね~」と喜んでいた。
そんなわけでオレサマはその日も寮の周りを見て回っていた。
「お前生意気なんだよ」
「口の聞き方ってもんを知らねえのか?」
さっそく不満を抱えた雄共を発見した。場所は寮から離れた林の中である。ご丁寧にそれなりに建物から離れていて暗くなっている場所だ。
三人で一人を追い詰めているような構図だった。俺たちは悪いことをしていますと言わんばかりである。
これはリョウカンを呼びにいくよりも自分たちで退治した方が早いとオレサマは判断した。
ピーー! と鳴いて仲間を呼び寄せ、ピピーーッ、キュキュイーッ! とみなで気持ちを奮い立たせてその三人をつつきまくった。
「うわっ! なんだ!?」
「なんだこの鳥!」
「やめろってのっ!」
いきなり襲われて慌てた雄たちは多少腕を振り回したりオレサマたちを叩こうとしたが、そんなことぐらいで怪我をさせられる我々ではない。雄たちは慌ててその場から逃げていった。頭はつついてやったが顔はつつかないでやったのだから褒めてほしい。
とんでもない怪我をさせるとオレサマたちの居場所がなくなるかもしれないとリョウカンに言われているので、そこらへんはきちんと守っている。
「え? なに……助けてくれたの? ありがとう……」
その雄は小柄であった。そんな小さいなりをしているから襲われるのだ。仲間たちに雄の側にいるように言いつけ、オレサマは逃げて行った雄たちを追いかけて散々につつき回してやった。そのうちつつくのが楽しくなってしまったせいか、他の人間の雄たちも出てきた。もちろんリョウカンも出てきて少し問題になったらしい。
「ありがたいけど、ちょっと問題かなー」
リョウカンはへらりと笑って言い、自分の頬を掻いた。
オレサマたちは間違ってはいないぞッ!
オレサマは胸を張った。
「ま、いいか。僕の学校だしねえ。ありがとうねー」
リョウカンはそう言って戻って行った。もちろん小柄な雄も無事引き渡した。
それからはしばらく平和になった。
オレサマはできる雄なのである。
ーーーーー
智紀に再会する何年か前のお話でした。
顔も大して変わっていないように見えた。トモノリは他の人間より目が大きい。おかげでわかりやすかったがこれは由々しきことである。
ルームメイトだとかいう者はトモノリよりもはるかにでかかった。
オレサマはリョウカンとかいう人間から小屋を作ってもらっていた。
オレサマたちが住んでいる木の途中にいくつも取り付けてくれたのだ。その恩義に報いる為、リョウカンの手伝いをしている。
リョウカンは、ここには基本人間の若い雄(オス)しかいないのだと言っていた。
若い人間の雄しかいないとなるといろいろ不満が溜まるものだ。なので雄の中でも弱い者がいじめられたりと問題が起きたりしやすいという。
それにはオレサマも同意する。
わかっているなら何故そんなことをしている(若い雄だけを集める)のかとは思うが、人間にもいろいろ事情というものがあるらしい。
弱い者がもし何人かに囲まれていたり、服を脱がされたり、泣かされているような現場を見たらリョウカンに教えてほしいと言われた。
リョウカンは基本寮の入口にいる。いないこともあるが、その時は別の者がいるのでその者に教えてほしいと言っていた。
教える合言葉は「キンキュー」である。
キンキュー、キンキューと何度も復唱し、俺はすぐにその言葉を覚えた。リョウカンは「頭いいね~」と喜んでいた。
そんなわけでオレサマはその日も寮の周りを見て回っていた。
「お前生意気なんだよ」
「口の聞き方ってもんを知らねえのか?」
さっそく不満を抱えた雄共を発見した。場所は寮から離れた林の中である。ご丁寧にそれなりに建物から離れていて暗くなっている場所だ。
三人で一人を追い詰めているような構図だった。俺たちは悪いことをしていますと言わんばかりである。
これはリョウカンを呼びにいくよりも自分たちで退治した方が早いとオレサマは判断した。
ピーー! と鳴いて仲間を呼び寄せ、ピピーーッ、キュキュイーッ! とみなで気持ちを奮い立たせてその三人をつつきまくった。
「うわっ! なんだ!?」
「なんだこの鳥!」
「やめろってのっ!」
いきなり襲われて慌てた雄たちは多少腕を振り回したりオレサマたちを叩こうとしたが、そんなことぐらいで怪我をさせられる我々ではない。雄たちは慌ててその場から逃げていった。頭はつついてやったが顔はつつかないでやったのだから褒めてほしい。
とんでもない怪我をさせるとオレサマたちの居場所がなくなるかもしれないとリョウカンに言われているので、そこらへんはきちんと守っている。
「え? なに……助けてくれたの? ありがとう……」
その雄は小柄であった。そんな小さいなりをしているから襲われるのだ。仲間たちに雄の側にいるように言いつけ、オレサマは逃げて行った雄たちを追いかけて散々につつき回してやった。そのうちつつくのが楽しくなってしまったせいか、他の人間の雄たちも出てきた。もちろんリョウカンも出てきて少し問題になったらしい。
「ありがたいけど、ちょっと問題かなー」
リョウカンはへらりと笑って言い、自分の頬を掻いた。
オレサマたちは間違ってはいないぞッ!
オレサマは胸を張った。
「ま、いいか。僕の学校だしねえ。ありがとうねー」
リョウカンはそう言って戻って行った。もちろん小柄な雄も無事引き渡した。
それからはしばらく平和になった。
オレサマはできる雄なのである。
ーーーーー
智紀に再会する何年か前のお話でした。
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