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7.実家を離れて

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 翌日、僕は偉明ウェイミンに手伝ってもらって、どうにか偉明の国の衣裳を身につけた。袖も裾も長くてとても困ってしまったのだけど、足には白いレースの靴下を履かされてドキドキしてしまった。この白い靴下は僕が彼らの妻だという証明なのだ。靴は……と思ったけど用意はされていない。
 どうするのだろうと思ったら当たり前のように抱き上げられて、更に胸が疼いた。
 恥ずかしくて偉明の顔がとても見られない。

「リューイはとてもかわいい……」

 ちゅ、と髪に口づけられて頬が熱くなった。

「あ、ああああの……」
「リューイは初心うぶなのですね。とてもかわいいです」

 かわいいと連呼されて口をはくはくと動かすことしかできなかった。初心とか、そんなことは絶対にないはずである。こんなに甘くていいのだろうかと思ったが、僕はもう偉明たちに嫁ぐのだ。これに慣れるべきだと思った。
 もちろん、そう簡単に慣れることはないだろうけれど。
 朝食を家族で取り、僕は偉明に連れられて巨人族の国へ向かうことになった。

「リューイ……元気でな」

 父は複雑そうな顔をしていた。兄が口を開く。

「リューイ、どうか……幸せに……。リン様」
「何か?」
「どうか弟を、リューイを幸せにしてやってください」
「兄さん?」

 兄はなんともいえない顔をしていた。それはやるせないというのだろうか、悔しそうというのだろうか、なんとも言いがたい表情だった。

「もちろんです。これ以上ないぐらい愛し、幸せにいたします」

 この科白を言ってくれたのがトラッシュだったらと夢想してしまう。でもそんなことを考えるのはここまでだ。トラッシュのことも、手放してしまったかわいい赤子のことももう忘れよう。
 だけど、僕が幸せになる未来は見えなかった。
 初めての国、しかも夫が四人もいるなんて考えただけで叫び出してしまいそうだった。
 私は偉明の胸に頭をもたせかけた。この温もりだけは嘘だと思いたくない。それが、ほんの少しの間だけだったとしても。

「リューイ、そなにかわいいことをしてくれるな」

 住んでいた館を離れて馬車に乗ると、偉明の口調が変わった。

「偉明さま……?」
「堅苦しいのは終りだ。リューイ、そなたは私たちの妻になった。条件は覚えておろう?」
「……は、はい……」

 逃がさないとばかりにきつく抱きしめられて胸がきゅうっとした。

”夫に抱かれるのを決して拒まないこと”

 それはちゃんと覚えている。もしかしたら、そのおそらく巨大なイチモツで引き裂かれてしまうかもしれないけど、抱き上げてくれたことが嬉しいから。僕はぎゅっと偉明の衣服を掴んだ。

「……なんとかわいらしい。これからたっぷりかわいがってやろう」
「は、はい……」

 僕は、夫たちに何をされてしまうのだろうか。
 馬車に乗っている時間は意外と長かった。偉明は私を横抱きにしたまま、ずっと僕の尻を撫でていた。

「あ、あの……」
「如何した?」
「偉明さまの手が、その……」

 偉明は笑んだ。

「リューイ、そなたはもう私のものだ。そなたは我ら巨人族に比べれば小さい」
「はい……」
「だからこの小さなお尻をどうやってほぐし、私のイチモツを受け入れてもらおうかと考えているのだ」
「あ……そんな……」

 もう偉明は私を抱くことを考えているみたいだ。偉明のイチモツはどれほど大きいのだろう。

「卵は一つ産んだとは聞いている。私のイチモツが受け入れられないということはないはずだ。しかし、こんなに小さなお尻ではなと心配になってしまってな」
「あっ……」

 顎を持ち上げられて口づけられた。唇を食まれ、震えた。すぐにするりと肉厚の舌が半開きになった唇の間に入ってきて、縮こまった舌先を舐められる。びくんっと自分の身体が大きく跳ねて、僕自身も驚いたほどだった。ぎゅっと更にきつく抱きしめられて胸がきゅーんとなった。

「んっ、んっ……」

 口腔内で舌を舐められるのが気持ちいい。びくびく震えながら、僕はぎゅっと偉明の衣服を強く掴んだ。

「んっ……ぁっ……」

 飲み込み切れなかった唾液がこぼれてはっとした。トラッシュは唾液を垂らすと汚いと言って怒っていた。偉明は僕が身体を強張らせたことに気づいたのか、垂れてしまった唾液を舐め取った。

「気になるか?」
「あ……ごめんなさい……」
「何を謝る?」

 また唇が重なって、馬車が目的地に着くまで口づけも尻を撫でるのも止めてもらえなかった。尻の間をすりすりといじられると、おしっこが出そうになって困った。恥ずかしくてそう訴えれば、

「もらしても構わぬ。綺麗にするからな」

 と当たり前のように言われた。あんまり恥ずかしくてそれは止めてほしいと頼んだら、衣服の上から尻穴を何度も撫でられた。
 えっちで、それはとても甘やかだった。

「林様、到着しました」

 馬車の外から声をかけられて僕ははっとした。それと同時に偉明に口づけを解かれた。

「ご苦労」

 偉明は私の頭から薄くて白っぽい布をかけた。

「リューイ、これを被っておけ。そなたは我が妻。我が国では妻は夫以外にその姿を晒してはならぬ」
「は、はい」

 かけられた布が外れないように掴む。偉明は僕を抱き上げたまま馬車を下りた。

「どうぞこちらへ」

 偉明は僕を抱いて案内されるままに進み、ある建物の中に入った。

「リューイ、ここから我が国まで転移する。転移すると稀に具合が悪くなったりする者もいると聞く。体調に変化があれば速やかに言うように」
「は、はい……」

 転移魔法というものや、それを利用した移動というものがあるというのは聞いたことがあった。でもまさか自分がそれを利用することになるなんて思わなかった。それを使わなければならないほど遠方に行ったこともなかったから。
 そうして僕は一瞬で、隣の、巨人族の国へ移動したのだった。
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