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45.こんな便利なチートがあるのなら
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国境を渡れるチート。
炒飯を作った際、裏をおいしく焦げさせるチートと交換されました。今後炒飯のチートは使えません。
同行者は本人を含めず五人まで。神は人数には含めないが、触れていれば同行可能。身につけているもの以外は運ばれない。(アイテムボックスに入っているものは除く)
一日四回までの制限あり。(片道を1回とカウントする。つまり往復しようと思えば一日二回できる)
跳べる場所のリストを見ると、少し細かく設定されていた。
国境を渡れるチートなので、この国の隣国が表示されているらしい。その数が随分と多くて、俺は首を傾げた。そんなに小さい国が周辺にいっぱいあるのかと思ったのだ。
「竜樹、どう?」
「んー……なんか国名がいっぱいあるんだけど、この国の隣国ってそんなにあるのか?」
「ハン国と国境を接しているのはせいぜい三つぐらいのはずだけど?」
美鈴も首を傾げた。
「もしかしたら、海の向こうの隣国にも跳べるのかも?」
「そしたらどこまでだって行けそうだな。すげえ!」
俺は興奮した。
跳べる位置だが、例としてジャオ国国境線、ジャオ国辺境、ジャオ国都市などと少し細かくなっている。これ、海を隔てた隣国の国境線を指定したら海に落ちるんじゃないだろうか? なんか意地悪だな~。そういうのは自分で調べろってことなのかもしれない。って、どーやってだ。情報をよこせやコラ。
「……国情を調べる必要はありそうじゃのぅ」
「それはそうだな……この世界のことが載ってる百科事典みたいなのがあるといいんだけどなー」
猫紙の言葉に頷いて呟くと、目の前に何かが現れた。
”世界情報が得られる図書館”という能力を得ますか?
「えええ?」
「竜樹、どうしたの?」
どうもこの言葉は美鈴には見えていないらしい。猫紙は目を細めた。
「ほほう……そのように便利なちーと能力もあるのじゃな」
どうやら猫紙には見えているらしい。神様自体がチートだからしょうがないのか。
「なぁに?」
美鈴の声がキレている。これは早く答えないとまずい。
「いや、俺の目の前にさ、”世界情報が得られる図書館”という能力を得ますか? って文字が出てきててさ……」
「それは……すごいチートね。説明とか見られないの?」
「ちょっと見てみる……」
能力の説明が見たいと考えたら、目の前にずらずらと説明文が出てきた。
この図書館は俺と誰か一人までは共有できるらしい。この能力でいうところの”世界”とは、今俺がいる”世界”であり、もし俺がまた別の”世界”に飛ばされた場合はその”世界”の情報が得られるようだ。
「うわ、これもすっげえチートじゃん……」
情報は多岐に渡る。世界の国の情勢。文化、食べ物、王家の有無、政治のありかた、歴史まであるし、生息する動物や地図、魔物の情報など膨大な知識を得られるようだ。
「最初からこの能力を与えろよ!」
情報を制すものは世界を制すと言っても過言ではない。
そう叫んだら、またひらひらと紙のようなものが落ちてきた。さすがにそれは美鈴に取られる前に俺が読んだ。
はろー、竜樹さん
異世界ライフ楽しんでますねー
美鈴さんとの再会おめでとうございます!
竜樹さん厭世的だったんで、最初から超便利なチートは与えたくなかったんですよねー
ごめんなさい~
美鈴さんに無事再会されたのでご祝儀の意味でチートの大盤振る舞いです!
これからもいろんなことが起こると思うのでがんばってくださいね!
俺は無言で紙をびりびりに破いた。
この能力さえあれば、俺はもっと早くあの山中から出られて美鈴に会えたのではないだろうか。いや、そんな簡単にはいかないか。でも少なくともあんなに不安は感じなかったに違いない。やはりあの幼女許すまじ!
つーかアイツ、ヒマなのかよ。俺たちを見てるヒマがあるなら仕事しやがれ。
「なんて書いてあったの?」
「下らないことだよ。これからいろんなことが起こるとか、書いてあったな……」
それは何らかのトラブルなんだろうか。さすがにげんなりする。
「失礼します。主人が参りました」
部屋の扉がノックされ、部屋の外に控えていた従業員に声をかけられた。
「どうぞ、入ってもらって」
美鈴が返事をする。再び扉がノックされ、パンズが大きなおなかを揺らしながら部屋に入ってきた。
「タツキさん、ミレイさん、神様、今よろしいですかな?」
「ええ、大丈夫よ。なにか?」
「はい。役所からリンミンメイさんの後見人になる旨、証明書を発行してもらってまいりました」
「それはよかったわ。でも随分早かったわね」
パンズは親指と人差し指で丸を作ってみせた。ああ、そういうことか。賄賂でそういうことがどうにかなるなら便利っちゃあ便利だよな。
「じゃあ、これからミンメイを連れ戻しに誰か来たとしても、連れていかれることはないのね」
美鈴は嬉しそうに笑んだ。美鈴とミンメイが仲良くしてくれるのは嬉しいから、俺も嬉しかった。
「パンズ、ちょうどいいところに来てくれたわ。少し話があるの。私たちの今後と、貴方の未来について」
「はて、なんですかな?」
「それはね……」
美鈴は自分の考えをパンズに披露した。パンズもそれに同意を示した。
そして俺は、”世界情報が得られる図書館”の能力も手に入れたのだった。ちなみにこの図書館、一日に調べられるのはトータルで二時間程度らしい。なんで時間制限があるんだよと思ったが、図書館ということもあり、時間制限を付けないと寝食を忘れて能力に没頭してしまうものがいたからという経緯があるようだ。
まぁ、情報って最大のチートだもんなぁ。
炒飯を作った際、裏をおいしく焦げさせるチートと交換されました。今後炒飯のチートは使えません。
同行者は本人を含めず五人まで。神は人数には含めないが、触れていれば同行可能。身につけているもの以外は運ばれない。(アイテムボックスに入っているものは除く)
一日四回までの制限あり。(片道を1回とカウントする。つまり往復しようと思えば一日二回できる)
跳べる場所のリストを見ると、少し細かく設定されていた。
国境を渡れるチートなので、この国の隣国が表示されているらしい。その数が随分と多くて、俺は首を傾げた。そんなに小さい国が周辺にいっぱいあるのかと思ったのだ。
「竜樹、どう?」
「んー……なんか国名がいっぱいあるんだけど、この国の隣国ってそんなにあるのか?」
「ハン国と国境を接しているのはせいぜい三つぐらいのはずだけど?」
美鈴も首を傾げた。
「もしかしたら、海の向こうの隣国にも跳べるのかも?」
「そしたらどこまでだって行けそうだな。すげえ!」
俺は興奮した。
跳べる位置だが、例としてジャオ国国境線、ジャオ国辺境、ジャオ国都市などと少し細かくなっている。これ、海を隔てた隣国の国境線を指定したら海に落ちるんじゃないだろうか? なんか意地悪だな~。そういうのは自分で調べろってことなのかもしれない。って、どーやってだ。情報をよこせやコラ。
「……国情を調べる必要はありそうじゃのぅ」
「それはそうだな……この世界のことが載ってる百科事典みたいなのがあるといいんだけどなー」
猫紙の言葉に頷いて呟くと、目の前に何かが現れた。
”世界情報が得られる図書館”という能力を得ますか?
「えええ?」
「竜樹、どうしたの?」
どうもこの言葉は美鈴には見えていないらしい。猫紙は目を細めた。
「ほほう……そのように便利なちーと能力もあるのじゃな」
どうやら猫紙には見えているらしい。神様自体がチートだからしょうがないのか。
「なぁに?」
美鈴の声がキレている。これは早く答えないとまずい。
「いや、俺の目の前にさ、”世界情報が得られる図書館”という能力を得ますか? って文字が出てきててさ……」
「それは……すごいチートね。説明とか見られないの?」
「ちょっと見てみる……」
能力の説明が見たいと考えたら、目の前にずらずらと説明文が出てきた。
この図書館は俺と誰か一人までは共有できるらしい。この能力でいうところの”世界”とは、今俺がいる”世界”であり、もし俺がまた別の”世界”に飛ばされた場合はその”世界”の情報が得られるようだ。
「うわ、これもすっげえチートじゃん……」
情報は多岐に渡る。世界の国の情勢。文化、食べ物、王家の有無、政治のありかた、歴史まであるし、生息する動物や地図、魔物の情報など膨大な知識を得られるようだ。
「最初からこの能力を与えろよ!」
情報を制すものは世界を制すと言っても過言ではない。
そう叫んだら、またひらひらと紙のようなものが落ちてきた。さすがにそれは美鈴に取られる前に俺が読んだ。
はろー、竜樹さん
異世界ライフ楽しんでますねー
美鈴さんとの再会おめでとうございます!
竜樹さん厭世的だったんで、最初から超便利なチートは与えたくなかったんですよねー
ごめんなさい~
美鈴さんに無事再会されたのでご祝儀の意味でチートの大盤振る舞いです!
これからもいろんなことが起こると思うのでがんばってくださいね!
俺は無言で紙をびりびりに破いた。
この能力さえあれば、俺はもっと早くあの山中から出られて美鈴に会えたのではないだろうか。いや、そんな簡単にはいかないか。でも少なくともあんなに不安は感じなかったに違いない。やはりあの幼女許すまじ!
つーかアイツ、ヒマなのかよ。俺たちを見てるヒマがあるなら仕事しやがれ。
「なんて書いてあったの?」
「下らないことだよ。これからいろんなことが起こるとか、書いてあったな……」
それは何らかのトラブルなんだろうか。さすがにげんなりする。
「失礼します。主人が参りました」
部屋の扉がノックされ、部屋の外に控えていた従業員に声をかけられた。
「どうぞ、入ってもらって」
美鈴が返事をする。再び扉がノックされ、パンズが大きなおなかを揺らしながら部屋に入ってきた。
「タツキさん、ミレイさん、神様、今よろしいですかな?」
「ええ、大丈夫よ。なにか?」
「はい。役所からリンミンメイさんの後見人になる旨、証明書を発行してもらってまいりました」
「それはよかったわ。でも随分早かったわね」
パンズは親指と人差し指で丸を作ってみせた。ああ、そういうことか。賄賂でそういうことがどうにかなるなら便利っちゃあ便利だよな。
「じゃあ、これからミンメイを連れ戻しに誰か来たとしても、連れていかれることはないのね」
美鈴は嬉しそうに笑んだ。美鈴とミンメイが仲良くしてくれるのは嬉しいから、俺も嬉しかった。
「パンズ、ちょうどいいところに来てくれたわ。少し話があるの。私たちの今後と、貴方の未来について」
「はて、なんですかな?」
「それはね……」
美鈴は自分の考えをパンズに披露した。パンズもそれに同意を示した。
そして俺は、”世界情報が得られる図書館”の能力も手に入れたのだった。ちなみにこの図書館、一日に調べられるのはトータルで二時間程度らしい。なんで時間制限があるんだよと思ったが、図書館ということもあり、時間制限を付けないと寝食を忘れて能力に没頭してしまうものがいたからという経緯があるようだ。
まぁ、情報って最大のチートだもんなぁ。
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