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36.とうとう再会!?

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また約二か月ぶりの更新です。亀ですいません!(土下座
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〈せっかく恋人を助け出す場面だというのにここで待ってるあほうがおるか〉
〈あー……でもそーゆーの、美鈴みれいは多分期待してないと思うんだよなー……〉

 心の中で話すのも内容としてどうかと思うが、表情だけでも神妙にしておかないと。
 美鈴は俺のヘタレっぷりをよく知っている。それでも俺が助けに来ることを待ってくれているのだろうか。それはわからなかったが、今はとにかく迎えにいこう。
 会えるとなったら気持ちがだんだん急いてきた。
 三毛猫を抱いたままというのがしまらないが、俺たちの周りには衛士がいる。巻物を持ったいかつい人が堂々と進んでいくのに俺は付いていくだけだった。うん、俺らしいなとへんに納得した。
 フン王子の部屋は王城の奥の家族が過ごすという宮がいくつもある場所にあるらしい。本来ならば成人と同時に伴侶が選ばれる為とっくに自分の館を持っているはずだったのだが、運命を司る神が現れなかったので元の部屋に住んでいるそうだ。なんかいつまで経っても親元を離れないニートみたいだなとか失礼なことを思った。

〈二年かー〉
〈王子には悪いことをしたが、それとこれとは別じゃ〉

 それはそうだよな。だって美鈴は俺の、大事な、大事な……。

「勅使じゃ。門を開けよ!」

 厳つい人が大きな声で宮の門を開けさせた。勅使じゃ確かに逆らえないよなーと思っていたら、王子が取り乱した様子で建物の中から走り出てきた。うおい、威厳もくそもあったもんじゃねえ。王子なのに髪が乱れてるけど大丈夫か?

「何事だ!? 誰が来ても門を開けるなと言っておいただろう!」
「勅使です。遵旨(皇帝陛下の御心のままに)!」

 王子は厳つい人が厳しい声を出したのに合わせて、しぶしぶその場に傅いた。厳つい人は巻物をゆっくりと開き、そこに書かれた勅旨を読み上げた。
 なんかいろいろ難しいことを言っていたが、簡単に言うと、「これから家探しするよ。目当ての人が見つかったら連れ帰るからよろしくね」って内容だった。なんでわざわざ難しく言おうとするのかわからないが、そういうことだった。

「そんな……」

 王子がよろよろと立ち上がる。

「私からミレイを奪うなど許さぬ!」

 はい、ビンゴー! 白状するの早すぎだろ。つか本気でここに美鈴を閉じ込めてるワケ?
 王子は厳つい人につかみかかろうとしたところで、衛士に取り押さえられた。

「タツキ、参るぞ」
「はい!」

 美鈴に会いたい。すぐ会いたい。なんかもう目が潤んできた。

「貴様なんの権限があって王子の宮に!」

 後ろでなんか叫んでるのがいるみたいだが俺は聞こえないフリをした。猫紙を抱いたまま走って建物に向かう。建物の扉を戸惑う侍女に開けさせ、中に入った。一階は玄関のような部分と居間で、二階にも部屋がありそうだった。

「ここはなりませぬ!」

 二階に上がろうとすると、侍女だか女官だかわからないが三十代ぐらいの女性が階段の前に立ち塞がった。頼むから邪魔をしないでほしかった。

「運命を遮ってはならぬ!」

 猫紙が厳しく叱責したことで、女性は「ひゃあああっ!」とひどく驚いた様子で腰を抜かした。

「失礼します!」

 女性をまたぐような形で階段を駆け上り、二階に着いた。扉の前には衛士の恰好をした女性が二人立っていた。

「何奴!?」
「我は神じゃ! そこを退け!」

 女性たちが槍のようなものを俺たちに向けて構えた途端、猫紙が威圧と共に鋭い声を発した。女性たちがその場にバタバタ倒れ、俺はビビッた。が、そこで足を止めるわけにはいかない。きっとここに美鈴がいるはずだ!
 観音開きの扉に手をかけた、が開かない!
 外側から? 内側から鍵でもかかっているのだろうか。ガチャガチャと力任せに取っ手を引っ張った。

「美鈴! 俺だ! 竜樹だ! 美鈴! みれーいっっ!」
「竜樹っ!?」

 それまでなんの音もしなかった部屋の中から懐かしい声がした。

「美鈴! 美鈴! 美鈴!」

 名前を呼びながら取っ手を引っ張る。会いたい。その姿を見たい。例え姿が違っていたとしても会いたくてたまらなかった。

「竜樹っ! どいてっ!」

 その声にはっとして、俺は足元に下りていた猫紙を捕まえて扉からバッと離れた。

「せいっ!」

 美鈴のかけ声と共に、バキバキッと扉に大きな穴が開いた。俺はそれを呆然と見つめる。女性たちは「ひいぃっ!」と悲鳴を上げた。
 バンッ! と再び派手な音を立てて今度こそ扉が開かれた。

「竜樹!」
「美鈴!」

 それは俺が夢にまで見た彼女だった。少し茶色っぽく染めていた髪は真っ黒になっていて伸びているように見えた。彼女は中国の古代っぽい衣裳を着ていて。
 俺は捕まえていた猫紙を投げ捨て、美鈴を抱きしめた。

「美鈴美鈴美鈴美鈴みれいっ!!」
「竜樹ぃっ!」

 お互いにもう離さないとばかりに抱きしめ合った。
 なのに。

「この、大馬鹿者がぁっ!!」

 美鈴はバッと俺を突き飛ばしたかと思うと、俺の頬を思い切り張ったのだった。
 
 Why?
 為什麼?
 なんで?

 痛みっつーか衝撃で、俺はそのまま床にぶっ倒れた。その後は知らん。
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