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18.鳥が順調に捕れてます

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 思っていたより休憩はこまめにとっている。馬を休ませる為だろう。
 馬たちは猫紙に興味津々で猫紙が近くを通るたびにくんくんと匂いをかいだり、ちょっかいをかけていた。それらについて猫紙はあまり気にならないらしく、度を越さなければ猫パンチが飛ぶこともない。それを横目で見ながら、ミンメイが持ち出してくれた鍋でごはんを作ったりしていた。
 初日は森の近くを走っていた為、休憩中に食材の調達をした。石を投げて鳥を何羽か落とすと同じように馬車に乗っていた人々にとても喜ばれた。余った分は売ってあげたからだ。猫紙は内臓を嬉しそうに食べていた。ミンメイも少し食べていたが、俺はどうしても内臓が苦手だ。

「兄ちゃんいい肩してんなー」

 鳥を食べながら御者が嬉しそうに声をかけてきた。

「石投げるぐらいしかできませんけどね」
「弓とかはどうなんだい?」
「んー、投げるだけならともかく弓は狙いをつけるのが難しいかなーと」

 はっきりと試したことがないからよくわからないけど、直接持って投げた方が早いように思うのだ。(ちょっとお遊びみたいなかんじで弓を扱ったことはある。結果は散々だった)それに弓だと矢も用意しないといけないし。
 鳥を捕っていたことで木の枝とか薪になりそうな物との交換もできた。乾燥した枝なども自分たちで拾ったりして集めなければいけない。炊事もそうだし、野宿する際は火をたやさないようにしないといけない。大概の動物は火を怖がるから枝や薪になるものは大切なのだ。俺がけっこう調子に乗って鳥を捕りまくったせいか、王都で使える貨幣だけでなく枝や薪も大量になった。ここで受け取った物をアイテムボックスにしまうわけにはいかないので、薪なんかは移動中にできるだけ使い、余ったら王都で売ることにした。貨幣はこっそりアイテムボックスにしまった。盗られてはたまらない。
 夜は馬車に幌を被せ、女性たちは馬車の中で寝てもらった。ミンメイが「私も外で……」と言いかけたが、「猫をみててくれ」と言うと引き下がった。猫紙がいるからめったなことは起こらないだろうが、外にいられるといざという時に守りづらい。
 交換した薪も提供して馬車の近くで焚き火をする。男たちが慣れた様子で各々飲み物を出す。俺は猫紙から水を補充してもらっていたので竹筒でできた水筒からちびちび水を飲むことにした。一応その他に太い竹筒で作った湯のみもある。竹って本当に便利だ。

「兄ちゃん酒はイける口かい?」
「一杯ぐらいでしたら」
「そっかそっか」

 御者が楽しそうに湯のみに酒をついでくれた。ありがたい。

「ありがとうございます」
「いやいや、兄ちゃんには鳥を捕ってもらったからな。この辺りの鳥はかなり高いところを飛ぶから、狩人でもなけりゃ捕れないんだよ」
「違えねぇ」
「家畜じゃない鳥を食べたのなんていつぶりだろうなぁ」
「そうなんですか」

 男たちが相槌を打つ。家畜の鳥と野生の鳥では味わいが違うらしい。俺はそれほど味覚が鋭敏ではないのでどちらもおいしいで終ってしまうのだが。
 夜の間一応二、三人ずつ三交替で寝ることにした。月や星の位置で時間を判断するらしい。そういえば星がすごくはっきり見える。火を焚いてはいてもその光が届かないところは暗闇だ。
 こういうのを降るような星空っていうんだろうなと思う。
 俺が起きている間に猫紙がするりと馬車を抜け出してやってきた。

「大人しくしててくれよ」
「兄ちゃん、猫は夜行性だからしょうがねえよ」

 見張りを一緒にしている人がククッと笑う。しかたなく夜食にととっておいた鳥を焼いて裂いたものを出すと、猫紙はそれでいいというように食べた。くそう、絶対見てやがったな。
 異世界に来て七日目の夜も、特に何もなく過ぎていった。


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ファンタジー小説大賞応援ありがとうございました! 不定期ではありますが連載はこのまま続けていきます。
これからもよろしくお願いします。
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