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5.オマケでもらったチートの方が使えるスタイル
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木の皮はなかなか使える。歯磨きとか。
昨日は葉っぱやうろの中を煙でいぶしたりと、まず水と寝床の確保だけで苦労した。幸い猫紙のおかげで危険な動物や虫などは寄ってこないようになっているらしいので、それだけでも助かった。どうやら猫紙の神気? とかいうヤツに当てられて俺を害するようなものは寄ってこないのだという。
「んー、ってことは猫紙さまは今俺の守り神っぽいものになってるワケ?」
「うむ、そなたは我を化け物とは認識しておらぬからのぅ。信仰はないが我の存在が神だとわかっておる。それに命も助けられたしの」
「ってことは美鈴の守り神にもなってくれるワケ? 美鈴も猫紙助けたじゃんか」
「美鈴が我を神と認識すれば守ることは可能じゃ」
「ってことはまず会わないことには始まらないわけか」
それならば一刻も早く人里に辿り着いて美鈴を探さなければならないだろう。
ぐ~きゅるるる……
それにしても腹が減った。
「あー、腹減った……」
そう思いながら周りを見ると、黄色に赤みがかったような丸い実を見つけた。一見ミニトマトを少し大きくしたような形をしている。
「なぁ、猫紙さま。これって食えると思うか?」
「毒はないの」
「アクは?」
「クセかの? なさそうではあるな」
「じゃ、毒見よろしく」
「毒はないと申したじゃろう!」
「はいはい……」
代わりに一口ぐらいかじってみてくれてもいいじゃないかと思いながら、俺はおそるおそるそのちょっと大きいミニトマトをかじってみた。
「!?」
「どうじゃ?」
「っっっっ! あめぇ! なんだこれ超甘いぞ! でも……こんなに甘いのになんで虫がたかってないんだ?」
「? ああ、それは普段この実の近くにいる虫が毒虫だからじゃろう」
「毒!?」
「我が近くにいる故虫は一時的に退避しているのじゃろうな」
「ってことは、もしかしてこの実を採れるだけ採って運べば俺大金持ち!?」
「俗物じゃの」
とりあえず俺は腹いっぱいになるまでその実を食べ、種はいくつか川の水で洗って持っていくことにした。実も一応携帯食料として少し運んでいくことにする。木の皮で作った鍋がすぐに満杯になった。木に巻きついている蔓を集め、簡単により合わせて紐の代わりにした。木の皮で鍋の蓋のようなものを作り、鍋をリュック代わりに背中に結びつければ準備完了である。道具がないってホント不便だ。
「さーて、甘いものしか食ってないけど川沿いに歩いていくかー」
「ふむ、意外と安定性もあるの。もう少し紐を右寄りに調整せよ」
「んー? こっちか?」
猫紙は当り前のように鍋の蓋の上に乗り、そこで丸くなったようだった。人に歩かせておいていい気なものである。
「……そなた大概失礼なことを考えてはおらぬか?」
「猫紙さまは被害妄想過多デスネー」
そうして川沿いのなだらかな場所をしばらく下って行ったが、途中で歩けるスペースがなくなり、川もまた途切れたように見えた。が、少し強い水音がしていることから、どうもこの先は滝のようになっていることが推察された。
「あー……どーすっかな」
「別の道を探せばよかろう」
「だな」
川から離れ、また下っていくと木の周りにいろいろなきのこが生えているのが見えた。
「あれ? なんかこれ食えそう」
白い傘の大ぶりなきのこが、まるで俺に食べてと言っているかのように自己主張していた。猫紙を窺えば、
「ふむ。これに毒はないのぅ。他の色のものは全てなんらかの毒はあるようじゃが」
「じゃあこの白いのは食えそうなのか」
「食べても害はない」
「よっしゃ!」
もちろん俺だって死にたくはない。きのこは食べられるものと食べられないものの区別がつきにくく、素人判断はしない方がいいこともわかっている。だがなんとなく、先ほどのミニトマトもどきもそうだが食べられるという確信があったのだ。
「あれ? これってあの幼女が言ってたチートか? なんか、希望の食材を手に入れやすくする能力とか……」
「そのようじゃな」
「つーことは、もしかして……」
俺は試しに毒を含む食材がほしいと考えてみた。すると別のきのこたちの姿が俺の目に飛び込んできた。猫紙が毒を含んでいると言っていたきのこたちである。
「ほうほう……」
胃薬になりそうな食材がほしいと考えてみる。すると少し離れたところにある草が目に入った。
「微妙だと思ったけど、これってけっこう使えるな」
荷物が増えそうだと考えて、また木の皮で鍋兼荷物籠を作成することにする。
「後からもらった能力の方が役に立つとかなんだよ。炒飯食いてえな」
「さすがに稲穂は見つからぬのぅ」
「いや、稲穂があっても中で米できてなきゃ無理だろ。つーか今は春なのか夏なのか秋なのか……」
森の中にいるせいか涼しく過ごしやすい。さすがに朝晩は冷える。森だか山っぽい場所だと考えると今が夏でもおかしくはない。
「太陽の光の強さっつっても……葉っぱに遮られてよく見えないしな」
「おそらく今は夏じゃろう」
「それじゃ稲穂見つけても米はまだとれねぇだろ!」
そもそも夏じゃまだ稲穂は見つからないかもしれない。
そうしてその日の夜も俺は森で過ごしたのだった。早く人里に下りたい。
昨日は葉っぱやうろの中を煙でいぶしたりと、まず水と寝床の確保だけで苦労した。幸い猫紙のおかげで危険な動物や虫などは寄ってこないようになっているらしいので、それだけでも助かった。どうやら猫紙の神気? とかいうヤツに当てられて俺を害するようなものは寄ってこないのだという。
「んー、ってことは猫紙さまは今俺の守り神っぽいものになってるワケ?」
「うむ、そなたは我を化け物とは認識しておらぬからのぅ。信仰はないが我の存在が神だとわかっておる。それに命も助けられたしの」
「ってことは美鈴の守り神にもなってくれるワケ? 美鈴も猫紙助けたじゃんか」
「美鈴が我を神と認識すれば守ることは可能じゃ」
「ってことはまず会わないことには始まらないわけか」
それならば一刻も早く人里に辿り着いて美鈴を探さなければならないだろう。
ぐ~きゅるるる……
それにしても腹が減った。
「あー、腹減った……」
そう思いながら周りを見ると、黄色に赤みがかったような丸い実を見つけた。一見ミニトマトを少し大きくしたような形をしている。
「なぁ、猫紙さま。これって食えると思うか?」
「毒はないの」
「アクは?」
「クセかの? なさそうではあるな」
「じゃ、毒見よろしく」
「毒はないと申したじゃろう!」
「はいはい……」
代わりに一口ぐらいかじってみてくれてもいいじゃないかと思いながら、俺はおそるおそるそのちょっと大きいミニトマトをかじってみた。
「!?」
「どうじゃ?」
「っっっっ! あめぇ! なんだこれ超甘いぞ! でも……こんなに甘いのになんで虫がたかってないんだ?」
「? ああ、それは普段この実の近くにいる虫が毒虫だからじゃろう」
「毒!?」
「我が近くにいる故虫は一時的に退避しているのじゃろうな」
「ってことは、もしかしてこの実を採れるだけ採って運べば俺大金持ち!?」
「俗物じゃの」
とりあえず俺は腹いっぱいになるまでその実を食べ、種はいくつか川の水で洗って持っていくことにした。実も一応携帯食料として少し運んでいくことにする。木の皮で作った鍋がすぐに満杯になった。木に巻きついている蔓を集め、簡単により合わせて紐の代わりにした。木の皮で鍋の蓋のようなものを作り、鍋をリュック代わりに背中に結びつければ準備完了である。道具がないってホント不便だ。
「さーて、甘いものしか食ってないけど川沿いに歩いていくかー」
「ふむ、意外と安定性もあるの。もう少し紐を右寄りに調整せよ」
「んー? こっちか?」
猫紙は当り前のように鍋の蓋の上に乗り、そこで丸くなったようだった。人に歩かせておいていい気なものである。
「……そなた大概失礼なことを考えてはおらぬか?」
「猫紙さまは被害妄想過多デスネー」
そうして川沿いのなだらかな場所をしばらく下って行ったが、途中で歩けるスペースがなくなり、川もまた途切れたように見えた。が、少し強い水音がしていることから、どうもこの先は滝のようになっていることが推察された。
「あー……どーすっかな」
「別の道を探せばよかろう」
「だな」
川から離れ、また下っていくと木の周りにいろいろなきのこが生えているのが見えた。
「あれ? なんかこれ食えそう」
白い傘の大ぶりなきのこが、まるで俺に食べてと言っているかのように自己主張していた。猫紙を窺えば、
「ふむ。これに毒はないのぅ。他の色のものは全てなんらかの毒はあるようじゃが」
「じゃあこの白いのは食えそうなのか」
「食べても害はない」
「よっしゃ!」
もちろん俺だって死にたくはない。きのこは食べられるものと食べられないものの区別がつきにくく、素人判断はしない方がいいこともわかっている。だがなんとなく、先ほどのミニトマトもどきもそうだが食べられるという確信があったのだ。
「あれ? これってあの幼女が言ってたチートか? なんか、希望の食材を手に入れやすくする能力とか……」
「そのようじゃな」
「つーことは、もしかして……」
俺は試しに毒を含む食材がほしいと考えてみた。すると別のきのこたちの姿が俺の目に飛び込んできた。猫紙が毒を含んでいると言っていたきのこたちである。
「ほうほう……」
胃薬になりそうな食材がほしいと考えてみる。すると少し離れたところにある草が目に入った。
「微妙だと思ったけど、これってけっこう使えるな」
荷物が増えそうだと考えて、また木の皮で鍋兼荷物籠を作成することにする。
「後からもらった能力の方が役に立つとかなんだよ。炒飯食いてえな」
「さすがに稲穂は見つからぬのぅ」
「いや、稲穂があっても中で米できてなきゃ無理だろ。つーか今は春なのか夏なのか秋なのか……」
森の中にいるせいか涼しく過ごしやすい。さすがに朝晩は冷える。森だか山っぽい場所だと考えると今が夏でもおかしくはない。
「太陽の光の強さっつっても……葉っぱに遮られてよく見えないしな」
「おそらく今は夏じゃろう」
「それじゃ稲穂見つけても米はまだとれねぇだろ!」
そもそも夏じゃまだ稲穂は見つからないかもしれない。
そうしてその日の夜も俺は森で過ごしたのだった。早く人里に下りたい。
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