彩師 サリエルの訪問

のーまじん

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 少し不安そうに自分を見つめる紗由理を見て、楓は優しく微笑んだ。

 楓の笑顔に紗由理は求められている答えを探す。

 何えば、穏やかにコトが進むんだろう?

 「もみじは、私の祖母で、学生時代は足が早くて運動部に所属してたと聞きました。
 確か、短距離走か何かで、県大会までいったとか…聞いた気がします。」
紗由理は、当たり障りの無い祖母の椛の話をした。
 楓は、一生懸命語る目の前の少女に、かつての友人を重ねる。
「祖母は、私より身長せいが高くて、ショートカットで、女の子に人気があったそうです。」
紗由理は、椛の事を思い浮かべて、思い付くままに話始めた。

 それを楽しく聞きながら、楓は紗由理に椛の姿を重ねる。

 同じクラスだった楓と椛は、文系と体育会系の正反対の性格だった。
 それでも、二人は少し距離をおいて仲良くしていたのだが、『祓魔師』の物語が元で疎遠になったのだ。
 その原因もルカニアだった。

 当時、耽美もの…男性同士の恋愛が一部で爆発的に人気になっていて、クラスメートがルカニアとカルロの仲についても、怪しげな事を囁いていた。

 が、当時、楓は恋愛に潔癖で、自分の作品に魂を込めて、神聖なもののように思っていた。

 そんな作品の、敬虔なクリスチャンのカルロをクラスメートの女子に、ふざけ半分に男色者にされて、セクシーなイラストを書かれたのを知って、楓は激しく抗議をし、ふざけていた少女達が泣き出し、
 複雑な状況に男子が遠巻きするなかで、男前の椛が仲裁をかって出たのだ。

 が、逆に楓を激昂させる。椛が楓に
 “そんなもの、どうでも良いじゃない。”
と、言ったからだ。

 それ以来、なんとなく、口をきくこともなく、クラスメートが、二人を腫れ物を扱うように気を使うなか卒業を迎え疎遠になったのだ。

 ふふっ(^-^)

 思わず笑った楓に紗由理がギョッとした。
 それに気がついた楓が、目を細めて紗由理を見た。
 「ごめんなさい。つい、昔の事を思い出したの。
 そんなに心配しなくて良いわ。紗由理さん。許可しましょう。」
と、楓は言った。
「え…ありがとうございます。」
紗由理は、混乱しながら感謝した。
 そんな紗由理の気を引き締めるように、楓は言った。
 「ただし、製作に私も加えること!」
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