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貧乏神と私
エピローグ
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気がつくと、私は、童話のようなピュアな物語で評価を得ていた。
しかし、児童小説風味にノストラダムスを描くことは出来なかった。
色々、史実を調べた。
それは近世のナチスから古代シュメールと言う広い範囲で。
『パラサイト』は、後者の話だった。
だから、全然、先には進まない(T-T)
何度か止めたくなったが、それを思い止まれたのは…剛に…皆と名古屋にいきたい一心だった。
いや…そんなに私は、いい人間ではない。
いい加減な剛が、名古屋に行きたいとボヤく度にブチキレて文句をいった。
「10年あったんだよ…。一年に二千円…たった二千円貯めとけば、二万円、手に出来てたじゃない!!」
貧乏で年上の剛をなじった。
たった二千円……
この台詞をぶん投げられた剛の気持ちを…
web小説で金儲けをしようとして味わった。
どんなにあがいても、努力しても、どうにもなら無い蟻地獄に嵌まった気分だった。
だから、やめなかった。
ほらね( ̄ー ̄)
と、剛のどや顔を見るのは嫌だった。
10年の間には、出稼ぎして羽振りがいい時もあった。
が、キーボード…楽器のキーボードを寂しいからって買って、牛丼屋で散財して金がない。
なんて、飄々と言う、そんな奴に負けたくなかった。
絶対、何か、何か、金をもうける方法があるはずだ(>_<。)
私は、調べものをしながら調べた。
個人で電子書籍を出すことができると知った。
ネットで、100円とかで小説が売れるサイトを見つけた。
グッツも販売できると書いてあった。
ビーズのネックレスの物語が頭をよぎった……
が、私は、等身大の剛の物語や、小さな手作り商品の物語をすて、『パラサイト』にかけた。
一次選考は通ったのだから、完結すれば二次選考も夢ではないと思った。
テレビからヒントを得て、メガバーストと宇宙ウイルスの要素を取り込んだ。
物語を書いた。
年末が来て…
会えなくなった奴の為に、小さなお話を作った。
色々調べて、『パラサイト』を改変した…
完成はしなかったが応募した。
何とかなると思った。
パンデミックのイメージを払拭し、代わりに人類滅亡の要素を加えた。
2012年がキーになっていた。
だから、色々、盛り放題だった。
が、応募後、しばらくして、北の国で扮装があったとニュースを見た。
黙示録をベースに話を書き換えていた私は、混乱した。
黙示録では、北の王が、世界を滅亡させるのだ。
それは、予想外に長く続き、私は、主人公の池上を超人類にし、いろんな説明をして終わらせようと試みた。
4月には剛が出稼ぎから戻るはずだった。
奴は、帰りの予定を教えてくれた。
会いたかった…が、その春は…忙しくて都合がつかなかった。
剛が帰るとメールをくれた日にメールをした。
返信は無かった。
長い付き合いの中で、支払いが遅れて電話が止まるので、それほど気にしなかった。
電話をかけると…つながったΣ( ̄□ ̄)!
メールをくれとさいそくした。
何回かメールをして、諦めたころ、
“生きてるよ。部屋でのんびりしているよ”
と、間抜けなメールがきた。
4月を過ぎ、
私は、疲れはてていた。
少し書けずにいるうちに、一次選考を落選した。
落選の報告では…剛からの返事は貰えなかった…
と、がっかりしたら、料金が払えずに電話が止められていた。
その状態が1ヶ月を過ぎるころ、さすがに心配になって手紙を書いた。
数日後…見知らぬ人から手紙がきた。
それは、剛の親族で、彼が亡くなった事を教えてくれた。
はじめは嘘だとも思ったが、確かに、親族であることがわかった。
悲しかった。
ある程度、確認してから、共通の知り合いにメールした。
急ぐ必要は無かった。
剛は、4月には亡くなっていて、既に葬式はすまされていた。
私は、泣いた。
良くわからない悲しみでいっぱいだった。
小説なんか、書いていたから、長文で色々書いて、萩原さんをドン引きさせた。
その時、私は、この悲しみをリアルな世界の人間に理解されないものだと悟った。
そう、剛とは2年あってない。
そして、ここ数年は、盆や暮れにフリマの会のお茶会で会うくらいだった。
なのに、親が死んだように悲しんでいたら、やはり、おかしく見えるのだろう。
私と剛は、異性で…
変な風に想像されるのも嫌だった。
私と萩原さんは、同じくらい、剛と会っていた。
が、私が、萩原さん以上に悲しかったのは、
この五年、剛をモデルに作品を書いていたからだ。
剛は、熊で、傭兵で、ノストラダムスで…剛だった。
そんな事、リアルな人達は、理解できない。
私の作品を一度だって、まともに読んでくれたことは無いのだから。(読まれて感想かかれても…恥ずかしいけど。)
ここから、モデルを近親者を使った人間の諸問題が襲った。
まず、目標が消えた。
もう、剛と名古屋には行けないのだ。
だから、必死に500円を稼ぐ必要はなくなった。
そんな話をモデルに書いた物語もあった。
彼女は…少し前の私のように、ロクデナシのオッサンの連絡を待ちながら小説を作ろうとしていた。
創作だから…せめて、彼女達には名古屋に行ってもらおうと思った。
でも、どうしても書けなかった。
だからと言って、作中の人物が死ぬことにも出来なかった。
自分の分でも辛いのに、主人公の気持ちまで…背負いきれなかった。
だから…せめて、500円最後に稼ごうと思った。
『パラサイト』を終わらせようと思った。
2019年…暮れに約束した短編を…これ以上、改編しながら書き続けるのは無理だった。
こんなものを書き続けても…剛と名古屋にいけないよ。
書きながら、そんな言葉が何度か浮かんでつらかった。
でも、終わらない物語の主人公も、『はいそうですか。』とは、終わらせてはくれない。
色々な事を思いだし、何度も話を脱線させた。
私は、初めて架空の人物に泣きを入れた。
もう…頼むから、終わって頂戴……
主人公だって、辛かった。私より、相対性理論に迷い混んだような、2年越しの一晩から逃げたかったに違いない。
彼は必死に何かを探していた。
そして、シュメールとか、いろんな妄言を吐きながら、私の散らかした話を組み上げて行く。
このとき、色々と止まった何かが、繋がる予感がした。
だから、付き合って書き続けた。
主人公の池上は…段々と人ならざる者に代わり始め…世界のすべてを見られる人物に進化しようとしていた。
その時、二発の銃声が社会を一変させた。
そして、それは、90年代のオカルトの闇の部分を、世の中に思い出させた。
私もまた、世紀末の色々な事件を思い出していた。
当時、流行した人類滅亡や、超能力の物語は、詐欺などの悪い方向にも使われたことを思い出した。
8月が近づいていた。
私は、再度、エンディングを変えた。
完結したら…『パラサイト』で稼ごうと思った。
せめて、500円…
モーニング一食分を。
そして、最後に、剛、アンタに奢られたかった。
きっと、きっとの約束だったから。
でも…
世の中は上手く行かない。
私は、上手く更新できなかったし、500円は稼げなかった。
『パラサイト』を無理矢理完結させた。
完結ボタンを押しても…それが終わりではないと、染々、思った。
web小説は…大航海時代に似ている気がする。
誰もが、未知の大陸と宝物を目指す。
誰も見たことの無い素晴らしい物語。
そして、読者の評価と、大金。
けれど…そんな新大陸で宝を手にできるのは、始めに見つけた人間と、数人。
あてにならない地図を手に、殆どの人間は失敗する。
あるものは、道を間違え、
あるものは、途中で別の幸せを見つけて船をおり、
あるものは、周りの状況で航海を断念する。
私もまた、一握りになれない、宝物を見つけられなかった冒険者…なのかもしれない。
成功者だけが物語になる、昭和のドラマじゃないんだから、私も気楽にこの先を進もうと思う。
そして、
500円は稼げなかったけど、一つだけ、剛の名誉のために言えることがある。
どんなに真面目に努力をしても、ルールが変われば太刀打ちは出来ない。と、言うことを証明したと思うのだ。
剛は、晩年、ろくでもなかったけど、
バブル時代は、たくさん稼いで家族を豊かにしていたらしい。
バブルがはじけ、リストラされて、ルールが変わって、上手く乗りきれなかった部分もあるんだと思う。
私は、500円稼げなかった。
剛、あのときは、酷いことを言ってごめんね。
でも…やっぱり、アンタは貧乏神だよ。
結局…大もうけも…
奢っても貰えなかったもの。
でも…あなたに会えてよかった。
出会えてなければ、小説なんて、きっと書いたりしてなかったから。
貧乏神は、創造力をくれる…
剛、アンタは、本当に、いい、貧乏神だったよ。
しかし、児童小説風味にノストラダムスを描くことは出来なかった。
色々、史実を調べた。
それは近世のナチスから古代シュメールと言う広い範囲で。
『パラサイト』は、後者の話だった。
だから、全然、先には進まない(T-T)
何度か止めたくなったが、それを思い止まれたのは…剛に…皆と名古屋にいきたい一心だった。
いや…そんなに私は、いい人間ではない。
いい加減な剛が、名古屋に行きたいとボヤく度にブチキレて文句をいった。
「10年あったんだよ…。一年に二千円…たった二千円貯めとけば、二万円、手に出来てたじゃない!!」
貧乏で年上の剛をなじった。
たった二千円……
この台詞をぶん投げられた剛の気持ちを…
web小説で金儲けをしようとして味わった。
どんなにあがいても、努力しても、どうにもなら無い蟻地獄に嵌まった気分だった。
だから、やめなかった。
ほらね( ̄ー ̄)
と、剛のどや顔を見るのは嫌だった。
10年の間には、出稼ぎして羽振りがいい時もあった。
が、キーボード…楽器のキーボードを寂しいからって買って、牛丼屋で散財して金がない。
なんて、飄々と言う、そんな奴に負けたくなかった。
絶対、何か、何か、金をもうける方法があるはずだ(>_<。)
私は、調べものをしながら調べた。
個人で電子書籍を出すことができると知った。
ネットで、100円とかで小説が売れるサイトを見つけた。
グッツも販売できると書いてあった。
ビーズのネックレスの物語が頭をよぎった……
が、私は、等身大の剛の物語や、小さな手作り商品の物語をすて、『パラサイト』にかけた。
一次選考は通ったのだから、完結すれば二次選考も夢ではないと思った。
テレビからヒントを得て、メガバーストと宇宙ウイルスの要素を取り込んだ。
物語を書いた。
年末が来て…
会えなくなった奴の為に、小さなお話を作った。
色々調べて、『パラサイト』を改変した…
完成はしなかったが応募した。
何とかなると思った。
パンデミックのイメージを払拭し、代わりに人類滅亡の要素を加えた。
2012年がキーになっていた。
だから、色々、盛り放題だった。
が、応募後、しばらくして、北の国で扮装があったとニュースを見た。
黙示録をベースに話を書き換えていた私は、混乱した。
黙示録では、北の王が、世界を滅亡させるのだ。
それは、予想外に長く続き、私は、主人公の池上を超人類にし、いろんな説明をして終わらせようと試みた。
4月には剛が出稼ぎから戻るはずだった。
奴は、帰りの予定を教えてくれた。
会いたかった…が、その春は…忙しくて都合がつかなかった。
剛が帰るとメールをくれた日にメールをした。
返信は無かった。
長い付き合いの中で、支払いが遅れて電話が止まるので、それほど気にしなかった。
電話をかけると…つながったΣ( ̄□ ̄)!
メールをくれとさいそくした。
何回かメールをして、諦めたころ、
“生きてるよ。部屋でのんびりしているよ”
と、間抜けなメールがきた。
4月を過ぎ、
私は、疲れはてていた。
少し書けずにいるうちに、一次選考を落選した。
落選の報告では…剛からの返事は貰えなかった…
と、がっかりしたら、料金が払えずに電話が止められていた。
その状態が1ヶ月を過ぎるころ、さすがに心配になって手紙を書いた。
数日後…見知らぬ人から手紙がきた。
それは、剛の親族で、彼が亡くなった事を教えてくれた。
はじめは嘘だとも思ったが、確かに、親族であることがわかった。
悲しかった。
ある程度、確認してから、共通の知り合いにメールした。
急ぐ必要は無かった。
剛は、4月には亡くなっていて、既に葬式はすまされていた。
私は、泣いた。
良くわからない悲しみでいっぱいだった。
小説なんか、書いていたから、長文で色々書いて、萩原さんをドン引きさせた。
その時、私は、この悲しみをリアルな世界の人間に理解されないものだと悟った。
そう、剛とは2年あってない。
そして、ここ数年は、盆や暮れにフリマの会のお茶会で会うくらいだった。
なのに、親が死んだように悲しんでいたら、やはり、おかしく見えるのだろう。
私と剛は、異性で…
変な風に想像されるのも嫌だった。
私と萩原さんは、同じくらい、剛と会っていた。
が、私が、萩原さん以上に悲しかったのは、
この五年、剛をモデルに作品を書いていたからだ。
剛は、熊で、傭兵で、ノストラダムスで…剛だった。
そんな事、リアルな人達は、理解できない。
私の作品を一度だって、まともに読んでくれたことは無いのだから。(読まれて感想かかれても…恥ずかしいけど。)
ここから、モデルを近親者を使った人間の諸問題が襲った。
まず、目標が消えた。
もう、剛と名古屋には行けないのだ。
だから、必死に500円を稼ぐ必要はなくなった。
そんな話をモデルに書いた物語もあった。
彼女は…少し前の私のように、ロクデナシのオッサンの連絡を待ちながら小説を作ろうとしていた。
創作だから…せめて、彼女達には名古屋に行ってもらおうと思った。
でも、どうしても書けなかった。
だからと言って、作中の人物が死ぬことにも出来なかった。
自分の分でも辛いのに、主人公の気持ちまで…背負いきれなかった。
だから…せめて、500円最後に稼ごうと思った。
『パラサイト』を終わらせようと思った。
2019年…暮れに約束した短編を…これ以上、改編しながら書き続けるのは無理だった。
こんなものを書き続けても…剛と名古屋にいけないよ。
書きながら、そんな言葉が何度か浮かんでつらかった。
でも、終わらない物語の主人公も、『はいそうですか。』とは、終わらせてはくれない。
色々な事を思いだし、何度も話を脱線させた。
私は、初めて架空の人物に泣きを入れた。
もう…頼むから、終わって頂戴……
主人公だって、辛かった。私より、相対性理論に迷い混んだような、2年越しの一晩から逃げたかったに違いない。
彼は必死に何かを探していた。
そして、シュメールとか、いろんな妄言を吐きながら、私の散らかした話を組み上げて行く。
このとき、色々と止まった何かが、繋がる予感がした。
だから、付き合って書き続けた。
主人公の池上は…段々と人ならざる者に代わり始め…世界のすべてを見られる人物に進化しようとしていた。
その時、二発の銃声が社会を一変させた。
そして、それは、90年代のオカルトの闇の部分を、世の中に思い出させた。
私もまた、世紀末の色々な事件を思い出していた。
当時、流行した人類滅亡や、超能力の物語は、詐欺などの悪い方向にも使われたことを思い出した。
8月が近づいていた。
私は、再度、エンディングを変えた。
完結したら…『パラサイト』で稼ごうと思った。
せめて、500円…
モーニング一食分を。
そして、最後に、剛、アンタに奢られたかった。
きっと、きっとの約束だったから。
でも…
世の中は上手く行かない。
私は、上手く更新できなかったし、500円は稼げなかった。
『パラサイト』を無理矢理完結させた。
完結ボタンを押しても…それが終わりではないと、染々、思った。
web小説は…大航海時代に似ている気がする。
誰もが、未知の大陸と宝物を目指す。
誰も見たことの無い素晴らしい物語。
そして、読者の評価と、大金。
けれど…そんな新大陸で宝を手にできるのは、始めに見つけた人間と、数人。
あてにならない地図を手に、殆どの人間は失敗する。
あるものは、道を間違え、
あるものは、途中で別の幸せを見つけて船をおり、
あるものは、周りの状況で航海を断念する。
私もまた、一握りになれない、宝物を見つけられなかった冒険者…なのかもしれない。
成功者だけが物語になる、昭和のドラマじゃないんだから、私も気楽にこの先を進もうと思う。
そして、
500円は稼げなかったけど、一つだけ、剛の名誉のために言えることがある。
どんなに真面目に努力をしても、ルールが変われば太刀打ちは出来ない。と、言うことを証明したと思うのだ。
剛は、晩年、ろくでもなかったけど、
バブル時代は、たくさん稼いで家族を豊かにしていたらしい。
バブルがはじけ、リストラされて、ルールが変わって、上手く乗りきれなかった部分もあるんだと思う。
私は、500円稼げなかった。
剛、あのときは、酷いことを言ってごめんね。
でも…やっぱり、アンタは貧乏神だよ。
結局…大もうけも…
奢っても貰えなかったもの。
でも…あなたに会えてよかった。
出会えてなければ、小説なんて、きっと書いたりしてなかったから。
貧乏神は、創造力をくれる…
剛、アンタは、本当に、いい、貧乏神だったよ。
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