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パラサイト

長山

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  初夏と言うには、禍々しい熱風が長山の方から流れてくる。

  月明かりのベールに包まれて長山が我々に近づいてくる。
  ズサッ、ズサッ…と、砂利を引きずるような音をならしながら。

  
  その異様な雰囲気に圧(お)されながらも、私は、立ちすくむしか無かった。
  長山から、夏を思わせる甘い腐臭がした。

  それは子供の頃、山で見つけた動物の死体を思い出させた。

  長山は、こがれるように我々の方を目指して来たが、1m前に来ると、歩みを止めた。

  濡れて色の変わった土を見た私には、北川が噴霧した何かによるものではないかと思わせた。

  「透也さん……。なぜ、そちら側にいるのですか?
  あんなに、楽しそうに私についてきてくれたのに。」

  長山の声が、ゆっくりと、草柳レイの声に変わる。

  めまいにおそわれたが、気合いで持ち直した。
  いや、気合いと言うより、探求心と言うべきか。

  私は、若葉溶生の行方が知りたかった。

「あなたにではない、私は、若葉溶生さんに着いてきた。彼は、今、何処にいるんですかっ。」

  こんな時、威嚇するような怒声をあげたりしてない私の台詞は、なんだか、迫力なく、情けなくすら感じる。

  脳裏に、午後の泉に沈む若葉溶生の姿を見たのを思い出した。

  帆立て貝の様に硬化した溶生………

  えっ…(°ー°;) 

  私は、あの時を思い出し、恐る恐る北川を見た。

  無意識に北川から一歩離れる……

  そう…あの固くなった溶生を連れていったのは、長山ではなく、
  ガーディアンとか、希望に溢れる台詞を言った、北川なのだ。
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