160 / 208
パラサイト
捨聖
しおりを挟む
それは気持ちの良い月夜だった。
私は、昆虫を愛した学生時代をありありと思い返していた。
信州には、尊敬すべき生物学者が沢山いるし、虫もいた。
だから、あまり、人の知らないような伝説の類いを覚えていたりもする。
池の平の幻の池…
これについても、知っていた。
随分と古くから、その存在は知られていて、
遠州七不思議として語り継がれている。
それによると、桜ヶ池の竜神が、諏訪湖へと旅をするときに、体を休めるために湧くのが、池の平の幻の池…と言われている。
竜…こう聞けば、普通は、幻のは虫類を想像するところである。
そのイメージで、分からなかった何かを、尊行さんはトンボに見たのだろう。
外国語も使える彼は、英語の…ドラゴンフライの言い回しに、新しい聖霊の姿を見たのかもしれない。
遠くから、体を震わせるような音が聞こえる。
ふと、昼間聞いた若葉溶生の小説『シルク』挿入曲『溶解』を思い出した。
牛蛙の鳴き声が、念仏のように辺りに響く。
雨蛙の鳴き声が、カスタネットの様に牛蛙の声に重なり、若葉溶生の『シルク』の世界を構築して行く。
私は、捨聖(すてひじり)の様に歩きながら踊る。
踊ると言っても、盆踊りの出来損ないのようなものだが。
「来てくださったのね。」
気がつくと、私の隣で、昼間に見た…自称モデルの草柳レイが隣で踊りながら声をかけてきた。
私は、昆虫を愛した学生時代をありありと思い返していた。
信州には、尊敬すべき生物学者が沢山いるし、虫もいた。
だから、あまり、人の知らないような伝説の類いを覚えていたりもする。
池の平の幻の池…
これについても、知っていた。
随分と古くから、その存在は知られていて、
遠州七不思議として語り継がれている。
それによると、桜ヶ池の竜神が、諏訪湖へと旅をするときに、体を休めるために湧くのが、池の平の幻の池…と言われている。
竜…こう聞けば、普通は、幻のは虫類を想像するところである。
そのイメージで、分からなかった何かを、尊行さんはトンボに見たのだろう。
外国語も使える彼は、英語の…ドラゴンフライの言い回しに、新しい聖霊の姿を見たのかもしれない。
遠くから、体を震わせるような音が聞こえる。
ふと、昼間聞いた若葉溶生の小説『シルク』挿入曲『溶解』を思い出した。
牛蛙の鳴き声が、念仏のように辺りに響く。
雨蛙の鳴き声が、カスタネットの様に牛蛙の声に重なり、若葉溶生の『シルク』の世界を構築して行く。
私は、捨聖(すてひじり)の様に歩きながら踊る。
踊ると言っても、盆踊りの出来損ないのようなものだが。
「来てくださったのね。」
気がつくと、私の隣で、昼間に見た…自称モデルの草柳レイが隣で踊りながら声をかけてきた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる