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パラサイト

衝動

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  レイを北城にとられた私は、下半身に微かに込み上げる衝動に気をとられた。
  オシッコをしたい

  それは、突然、襲ってきたの排泄衝動だ。
  私は静かにドアのノブを再び回し、そして、本当に開かないことを確認した。
  排泄衝動は、少しずつ私の頭をしめてゆく。

  何とかしなければ。

  私は混乱しながら窓を見る。
  しょんべん小僧が、窓から元気よく噴水するイメージに体がブルッと震える。
  まさか、それはダメだ。
  目を閉じて、一度、ため息をつく。
  が、行けないと考えると、ますます行きたくなるのは人情だ。

  仕方ない。

  私は、自分の先行きを尿意と共に決意をした。
  
  窓から外に行く。
  そして、便所に行く。
  
  決めてしまえば、あとは行動あるのみだ。
  私は用意したリュックをゆっくりと窓辺へ持って行き、そして、手袋をするとリュックを担ぎ、窓を開けた。
  ここは二階。
  日頃の肉体労働と、趣味の山登りが、この落差を安全だと判断する。

  「池上っ!何をしている?」
私の行動に気がついた北城が叫んだが、そのときは、私は窓の出っ張りに上っていた。

  ふと、中学時代を思い出した。
  中二の頃は、こうして窓から外へと出ては、先生にしかられた。

  早退(ふけ)った訳ではない。
  たまに、珍しい蝶や甲虫が壁に張り付いたりしていたのだ。

「悪い、やはり、下が気になるから、出掛けてくるよ。」
私は、そう格好つけたが、尿意は私の思考の半分を支配していた。
「ダメだ、今、外に行けば、何が起こるか分からんぞ。思い直せ。」
北城の言葉を私は最後まで聞くことは無かった。
  私は窓から手の届く所に雨どいを見つけてそれをつたった。
  そして、地上へと着地した。屋敷から漏れる光に鍵を見つけるとそれをとり、衝動にかられるようにトイレへと…向かった。
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