109 / 208
パラサイト
復活
しおりを挟む
下に行って二人に問いただしたかった。
が、一生懸命、MCをしている秋吉の画像を見ていると気持ちがゆらいだ。
何をしたいのか、わけが分からないが、法を犯したわけでもないし、撮影にかかった費用を考えれば、迂闊に邪魔をしに行くのも怖くなる。
一呼吸した。
何にしても、雅苗の謎を解くのが先だと考え直した。
赤いカバーの『砂金』を手にした。
考えてみれば、絶妙なタイミングで倉庫に誘(いざな)ったのは北城だ。
北城が、企てた何かであれば、この本には私が解かなければならない謎が含まれているはずだ。
多分、ヒントは、素数ゼミ。都市伝説と共に蘇り、故意に挿し絵を張り付けられていた『トミノの地獄』がキーワードになるのだろう。
『トミノの地獄』
この詩は、西条八十と言う詩人が、1919年に自費出版した本に収録された詩である。
彼の作品には、『かなりあ』など、子供に内在する無邪気な残酷さを謡うような作品もあるが、
『東京音頭』
『蘇州(そしゅう)夜話』
『青い山脈』
など、幅広いカテゴリーで人気を博した作詞家である。
不気味な詩に傾倒していた訳ではない。
そして、彼は、詩人であり、仏文学者である。
生物学者の類いではないし、その方面で何かをしていたような話は、無さそうだった。
これは、作者ではなく、『トミノの地獄』を目にした雅苗が作り上げた謎を解け…と言うことなのだろう。
ふと、朝方の長山の話がよみがえってきた。
イシスの神殿のスカラベのミイラ……
私にアレを探せと言った、あの言葉は、本当だったのだろうか?
「虫探偵 シンゲン…懐かしいですよね。」
長山の台詞が胸に刺さる。
あの時見せたあの顔に、嘘があるとは思えない。
イシスのスカラベのミイラ…
本当にそれはあるのだろうか?
そして、あったとしたら、どんな虫で作られたのだろう?
やはり、ここはインドから献上されたオオクワガタのメスかもしれない。
そう考えると、胸がワクワクしてきた。
あまり、期待してはいけないが、古代に絶滅した新種…なんて事もありえる。
古代、現代では砂漠と化した北アフリカは、鬱蒼とした森が広がり、ピラミッドの辺りにも緑が溢れていた…なんて聞いた事がある。
インドまで行かなくとも、聖書に書かれた天にも届くレバノン杉…そんな巨大な杉の林が中東で広がっていたのなら、巨大トンボやカミキリムシ、巨大蛾…そんなものが、巨木の下で蠢(うごめ)いていたかもしれない。
なんだか、ワクワクしてくる気持ちを、北城の台詞が消沈させる。
研究所に保管された…
北城はそう言った。
当たり前だろ?貴重な資料なんだから。
と、クールにドヤりながら。
が、一生懸命、MCをしている秋吉の画像を見ていると気持ちがゆらいだ。
何をしたいのか、わけが分からないが、法を犯したわけでもないし、撮影にかかった費用を考えれば、迂闊に邪魔をしに行くのも怖くなる。
一呼吸した。
何にしても、雅苗の謎を解くのが先だと考え直した。
赤いカバーの『砂金』を手にした。
考えてみれば、絶妙なタイミングで倉庫に誘(いざな)ったのは北城だ。
北城が、企てた何かであれば、この本には私が解かなければならない謎が含まれているはずだ。
多分、ヒントは、素数ゼミ。都市伝説と共に蘇り、故意に挿し絵を張り付けられていた『トミノの地獄』がキーワードになるのだろう。
『トミノの地獄』
この詩は、西条八十と言う詩人が、1919年に自費出版した本に収録された詩である。
彼の作品には、『かなりあ』など、子供に内在する無邪気な残酷さを謡うような作品もあるが、
『東京音頭』
『蘇州(そしゅう)夜話』
『青い山脈』
など、幅広いカテゴリーで人気を博した作詞家である。
不気味な詩に傾倒していた訳ではない。
そして、彼は、詩人であり、仏文学者である。
生物学者の類いではないし、その方面で何かをしていたような話は、無さそうだった。
これは、作者ではなく、『トミノの地獄』を目にした雅苗が作り上げた謎を解け…と言うことなのだろう。
ふと、朝方の長山の話がよみがえってきた。
イシスの神殿のスカラベのミイラ……
私にアレを探せと言った、あの言葉は、本当だったのだろうか?
「虫探偵 シンゲン…懐かしいですよね。」
長山の台詞が胸に刺さる。
あの時見せたあの顔に、嘘があるとは思えない。
イシスのスカラベのミイラ…
本当にそれはあるのだろうか?
そして、あったとしたら、どんな虫で作られたのだろう?
やはり、ここはインドから献上されたオオクワガタのメスかもしれない。
そう考えると、胸がワクワクしてきた。
あまり、期待してはいけないが、古代に絶滅した新種…なんて事もありえる。
古代、現代では砂漠と化した北アフリカは、鬱蒼とした森が広がり、ピラミッドの辺りにも緑が溢れていた…なんて聞いた事がある。
インドまで行かなくとも、聖書に書かれた天にも届くレバノン杉…そんな巨大な杉の林が中東で広がっていたのなら、巨大トンボやカミキリムシ、巨大蛾…そんなものが、巨木の下で蠢(うごめ)いていたかもしれない。
なんだか、ワクワクしてくる気持ちを、北城の台詞が消沈させる。
研究所に保管された…
北城はそう言った。
当たり前だろ?貴重な資料なんだから。
と、クールにドヤりながら。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる