127 / 162
1917
38
しおりを挟む
冗談じゃないわよ~
私は頭を抱える。
既に私は落選し、ついでに、イベントは終わったのに、私だけは終わらない。
普通に決まったシナリオですら終わらないのに、ここに来て、まさかのイタリア史!?
ムッソリーニとイタリアの20世紀を語ることになろうとは(>_<。)
窓辺では、ベルフェゴールに命令されて、メフィストが『フェレンツェは花咲く木のように』を歌っていた。
この長文題の歌を、知らないと思う人が多いと思うが、聴いてみればジェラードやピザの風景と共に記憶がよみがえるかもしれない、良く使われるBGMである。
嫌なら断ればいいのに…
開け放たれたフランス窓を背に燕尾服も颯爽に歌うメフィストに呆れるが、長い足と、細マッチョの整った背筋に流れるようなシルクのスタイルをみると、本来、彼は目立つのが好きなんだとも考える。
シェークスピアとゲーテに愛された悪魔。
そう考えれば…確かに、ベルフェゴールの命令を拒否する理由もないのかもしれない…
ああ、でもっ、ジャンニ、ジャンニ・スキッキ…
深くため息が出てくる。
2021年…私は『パラサイト』の製作の為にメフィストとこの曲を追いかけたことがある。
この話に『トミノの地獄』を加えてしまったのが原因だ。
『パラサイト』は昆虫ミステリーだ。
そこに、都市伝説にもなった詩を付け加えて…改編することになってから泣かされた。
泣きながら、何とか馴染ませようと西條八十を調べた。
が、糸口はそれほど時間はかからなかった。
森鴎外
この教科書に載る文豪があいだを持ってくれた。
私のなかでは、甘いマスクのアイドルが演じる『舞姫』に合わせて、なんか、恋多き、退廃的な文人のイメージだった森鴎外。
この人、ネットで調べて一気に印象が変わった。
鴎外作の『舞姫』の主人公と作者の人生を重ね、留学先の異国の女性との色恋を思い、なんか、チャランポランとした人の印象は一気に変わる。
この人、ほぼ、国語の授業でしか語られないが、本業は医学研究者。
留学時代は、日本はコレラで大変で、何万人と人が亡くなっていた。
パンデミックを経験した現在、気楽な若者でも、鴎外がチャランポランと日本の税金を使って勉強もせずに遊んでいたとは思わないだろう。
江戸から明治にかけての日本で、数万人の死者が出るようなパンデミックなのだ。
親を亡くし、10代で働く少年からも集められる税金でドイツまで勉強に行くのだから。
設定は、少年漫画の派手さはないが、名実ともに日本国民の…ひいては世界の人達の命を背負った旅なのだから。
実際、この頃の日本の学者は、世界的に貢献した。
鴎外もまた、その中の1人であり、日本国は、21世紀を過ぎて、いまだに降伏の難しいコレラを都市環境の改善などで感染者を減らす事に成功している。
『パラサイト』は、細菌の物語である。
ここで、文学と生物学を合わせて、話を継続することが可能になった。
あのときは…幸せだった…
でも、こんなに上手く組み合わなきゃ、今頃、異世界の話を書いていられたかもしれないとぼやきたくなるほど、終わらない話にもなっていった。
まあ、ともかく、私は張り切って文学と生物学を会わせた話を作り始めた。
当時、作家は役人や貴族、学者の副業みたいなところがあった。
森鴎外もまた、主業は医師であり軍人だった。
そして、インテリの人達は、時代の変わり目をルネッサンスの芸術などで語りだし、そこにはボッチチェリの絵画やダンテなんかがあった。
ダンテ…『神曲』での地獄めぐりの話が有名で…私はこの辺りから『トミノの地獄』の新解釈と、なんか、秘密結社を作ろうと考えていた。
私はもとより、『神曲』は、数々の文豪、クリエーターに影響を与えた。
『ジャンニ・スキッキ』は、プッチーニが『神曲』からインスパイヤーしたオペラで、1918年リリースされた。
アメリカで上演されたこのオペラでアメリカ人がイタリアに憧れている頃、
イタリア国民は、本当の地獄に足を踏み入れようとしていた。
第一次世界大戦では…イタリアは上手くまとまりきれなかったのだ。
1917年…ヒトラーは奇跡の生還を体験し、ムッソリーニも九死に一生を得ていた。
爆発事故に巻き込まれたのだ。
それは奇跡的な生還ではあったが、大怪我をした。
それはムッソリーニには、最悪の出来事だろうが、イタリア国民の未来に大きく影響する正に、首の皮1枚の幸運な事なのかもしれない。
負傷したムッソリーニの病院に国王が訪問し、ムッソリーニに励ましの言葉をかけたのだそうだ。
後の第二次世界大戦で、首相として、上に、王や、天皇がいたイタリアや日本と、ヒトラーの独裁下のドイツでは、終戦までのステップが違ってくるからだ。
ムッソリーニが、国王を廃して独裁者になっていたら…また、歴史は違っていたかもしれないし、重傷の病床で、国王に会うことがなかったら、もしかしたら…歴史はまた、変わっていたかもしれない。
そして、時を同じくしたロシアでは、2月革命が成功しつつあった。
そして、ポルトガルの小さな村で、ルチア達は春の訪れをただ、無邪気に待ち焦がれていたに違いない。
去年の初夏の牧場で出会った光の天使の不思議な出来事を思い出しながら…
私は頭を抱える。
既に私は落選し、ついでに、イベントは終わったのに、私だけは終わらない。
普通に決まったシナリオですら終わらないのに、ここに来て、まさかのイタリア史!?
ムッソリーニとイタリアの20世紀を語ることになろうとは(>_<。)
窓辺では、ベルフェゴールに命令されて、メフィストが『フェレンツェは花咲く木のように』を歌っていた。
この長文題の歌を、知らないと思う人が多いと思うが、聴いてみればジェラードやピザの風景と共に記憶がよみがえるかもしれない、良く使われるBGMである。
嫌なら断ればいいのに…
開け放たれたフランス窓を背に燕尾服も颯爽に歌うメフィストに呆れるが、長い足と、細マッチョの整った背筋に流れるようなシルクのスタイルをみると、本来、彼は目立つのが好きなんだとも考える。
シェークスピアとゲーテに愛された悪魔。
そう考えれば…確かに、ベルフェゴールの命令を拒否する理由もないのかもしれない…
ああ、でもっ、ジャンニ、ジャンニ・スキッキ…
深くため息が出てくる。
2021年…私は『パラサイト』の製作の為にメフィストとこの曲を追いかけたことがある。
この話に『トミノの地獄』を加えてしまったのが原因だ。
『パラサイト』は昆虫ミステリーだ。
そこに、都市伝説にもなった詩を付け加えて…改編することになってから泣かされた。
泣きながら、何とか馴染ませようと西條八十を調べた。
が、糸口はそれほど時間はかからなかった。
森鴎外
この教科書に載る文豪があいだを持ってくれた。
私のなかでは、甘いマスクのアイドルが演じる『舞姫』に合わせて、なんか、恋多き、退廃的な文人のイメージだった森鴎外。
この人、ネットで調べて一気に印象が変わった。
鴎外作の『舞姫』の主人公と作者の人生を重ね、留学先の異国の女性との色恋を思い、なんか、チャランポランとした人の印象は一気に変わる。
この人、ほぼ、国語の授業でしか語られないが、本業は医学研究者。
留学時代は、日本はコレラで大変で、何万人と人が亡くなっていた。
パンデミックを経験した現在、気楽な若者でも、鴎外がチャランポランと日本の税金を使って勉強もせずに遊んでいたとは思わないだろう。
江戸から明治にかけての日本で、数万人の死者が出るようなパンデミックなのだ。
親を亡くし、10代で働く少年からも集められる税金でドイツまで勉強に行くのだから。
設定は、少年漫画の派手さはないが、名実ともに日本国民の…ひいては世界の人達の命を背負った旅なのだから。
実際、この頃の日本の学者は、世界的に貢献した。
鴎外もまた、その中の1人であり、日本国は、21世紀を過ぎて、いまだに降伏の難しいコレラを都市環境の改善などで感染者を減らす事に成功している。
『パラサイト』は、細菌の物語である。
ここで、文学と生物学を合わせて、話を継続することが可能になった。
あのときは…幸せだった…
でも、こんなに上手く組み合わなきゃ、今頃、異世界の話を書いていられたかもしれないとぼやきたくなるほど、終わらない話にもなっていった。
まあ、ともかく、私は張り切って文学と生物学を会わせた話を作り始めた。
当時、作家は役人や貴族、学者の副業みたいなところがあった。
森鴎外もまた、主業は医師であり軍人だった。
そして、インテリの人達は、時代の変わり目をルネッサンスの芸術などで語りだし、そこにはボッチチェリの絵画やダンテなんかがあった。
ダンテ…『神曲』での地獄めぐりの話が有名で…私はこの辺りから『トミノの地獄』の新解釈と、なんか、秘密結社を作ろうと考えていた。
私はもとより、『神曲』は、数々の文豪、クリエーターに影響を与えた。
『ジャンニ・スキッキ』は、プッチーニが『神曲』からインスパイヤーしたオペラで、1918年リリースされた。
アメリカで上演されたこのオペラでアメリカ人がイタリアに憧れている頃、
イタリア国民は、本当の地獄に足を踏み入れようとしていた。
第一次世界大戦では…イタリアは上手くまとまりきれなかったのだ。
1917年…ヒトラーは奇跡の生還を体験し、ムッソリーニも九死に一生を得ていた。
爆発事故に巻き込まれたのだ。
それは奇跡的な生還ではあったが、大怪我をした。
それはムッソリーニには、最悪の出来事だろうが、イタリア国民の未来に大きく影響する正に、首の皮1枚の幸運な事なのかもしれない。
負傷したムッソリーニの病院に国王が訪問し、ムッソリーニに励ましの言葉をかけたのだそうだ。
後の第二次世界大戦で、首相として、上に、王や、天皇がいたイタリアや日本と、ヒトラーの独裁下のドイツでは、終戦までのステップが違ってくるからだ。
ムッソリーニが、国王を廃して独裁者になっていたら…また、歴史は違っていたかもしれないし、重傷の病床で、国王に会うことがなかったら、もしかしたら…歴史はまた、変わっていたかもしれない。
そして、時を同じくしたロシアでは、2月革命が成功しつつあった。
そして、ポルトガルの小さな村で、ルチア達は春の訪れをただ、無邪気に待ち焦がれていたに違いない。
去年の初夏の牧場で出会った光の天使の不思議な出来事を思い出しながら…
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
6年3組わたしのゆうしゃさま
はれはる
キャラ文芸
小学六年の夏
夏休みが終わり登校すると
クオラスメイトの少女が1人
この世から消えていた
ある事故をきっかけに彼女が亡くなる
一年前に時を遡った主人公
なぜ彼女は死んだのか
そして彼女を救うことは出来るのか?
これは小さな勇者と彼女の物語
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
はじまりはいつもラブオール
フジノシキ
キャラ文芸
ごく平凡な卓球少女だった鈴原柚乃は、ある日カットマンという珍しい守備的な戦術の美しさに魅せられる。
高校で運命的な再会を果たした柚乃は、仲間と共に休部状態だった卓球部を復活させる。
ライバルとの出会いや高校での試合を通じ、柚乃はあの日魅せられた卓球を目指していく。
主人公たちの高校部活動青春ものです。
日常パートは人物たちの掛け合いを中心に、
卓球パートは卓球初心者の方にわかりやすく、経験者の方には戦術などを楽しんでいただけるようにしています。
pixivにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる