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1917

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  なんだか、面倒くさい流れになってきて、私はベルフェゴールを盗み見た。
  彼女は私に何を求めているのか…

  ベルフェゴールはマイペースに紙パックのジュースを飲んでいる。

  「飲みたい?」
私の視線に気がついて、ベルフェゴールは、紙パックを自慢する。
「いらないよ。」
私は、ため息を着いた。
「あら、美味しいのに~フルーツ牛乳って言うのよ。」
悪魔にフルーツ牛乳をドヤられても…
「そうなんだ…それはともかく、話の続きをしようよ。」
私はあせる。気がつくと…既に師走!
  この年に全てをかける予定がぁ…壊れて行く(T-T)
「勿論よ。早く貴女の話が聞きたいわ。」
ベルフェゴールは、楽しそうに微笑む。
「そう期待されても…」
話すことなんて…いや、何を話したら満足して消えてくれるんだろう?
  マグカップでコーヒーをがぶ飲みしたくなってきた。
  私の気持ちが分かったようにベルフェゴールがコーヒーを淹れてくれた。
「そんなに警戒しなくても…ファティマの予言と西条八十の物語をしてくれればいいのよ…面白く。」
「面白く…ね(T-T)」
「あら、その顔、シブイ~」
ベルフェゴールは、キャッキャと笑う。
  私は、諦めて話を戻した。
  「面白いかどうかはわからないけれど…なんか、面倒に巻き込まれてきた事はわかってきたわ(T-T)」
そう、この話は思ったより面倒なのだ。
  1917年、ポルトガルのファティマで少年少女が見た聖母は、なぜか、ロシアを指名で危険を語る。

  これは、共産主義と言う、新しい国家の形に警告したのか…と、考えていたけれど、この年、ロシアは革命で混乱していた。
  ロシアから沢山の難民が国を追われ、そこにはユダヤ人もいた。
  彼らは聖地イスラエルを目指し、それは新たな問題を生む。
  そこにつけ込んだのがイギリス…

  バルフォワ宣言が、現在のパレスチナ問題をややっこしくする1つだと、言う人もいる。

  2023年現在、本当に困ったことになっていた。
  
  私が大賞落選してから一月がたつと言うのに、世界も私の平穏も遠く感じ(T-T)

  それも、こんなに政治が絡むと、もう、金にもならないんではないだろうか(>_<。)

  わぁぁ…っと叫んで逃げ出したいけれど、剛を質にとられてるからやめられない。
  
  「それにしても…私に何を書かせたいのよ?私にはなんの力もないわよ。」
そう、これだけ書いても100円にもならないのだ。私はコーヒーをがぶ飲みした。
「力なんて…ルチアも無かったわよ。しかも、一緒にマリアを見た2人はすぐに天国へと逝ってしまって。」
悲しそうなベルフェゴールの姿に胸が痛くなる。

  そう、ジャシンダ、フランシスコの2人の従弟妹(いとこ)は、1919、1920年と続いて亡くなっている。
  そこからの長い時代(とき)をルチアは1人で生きて行くのだ。
「そうね…ルチアを思うと、『トミノの地獄』のモデルだとしたら…姉が一番辛い気がするわ。」
切ない気持ちの私をベルフェゴールは、目を細めて見つめていた。
「あら?死んだ人間も辛いわよ。言ったじゃない?和洋折衷の世界観だって…。
  早死した子供は、賽(さい)の川原で石積みするんでしょ?日本は。」
ベルフェゴールに言われてハッとした。

  現世でいきるのも辛いけれど、亡くなった人も、生きてる人の辛い様子を見るのは切ないのだ。

「そうだね。」
ふと、剛を思い出した。
剛もまた、私が小説を続けているのを悲しげに見ているのだろうか?

  ま、無いわな。

  なんだか、笑いが込み上げる。
  剛の事だから、きっと、面倒くさそうにこう言うのだ。
  『嫌ならやめちゃえばいいでしょ?』と。
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