16 / 162
本を売る女
予兆3
しおりを挟む
そう、アヴィニオンの大学を中退してから少しの間、ノストラダムスの消息は不明になる。
本当かどうかは知らないがノストラダムス関連本を読んだ私の知識ではそうだった。
だから、そこからの数年は適当な話を作っても問題は無いはずだった。
1話完結の小さな物語を考えていた。
ミシェルの父さんは商人だ。
16世紀…大航海時代の商人。
ミシェルは、母親と祖父の屋敷で暮らしていた。
子供の頃、読んだ本には、祖父のユダヤの血族に伝わる…なんかチートな知識を伝授するためにそうした、とか書かれていた…気がする。
ここで、ミシェルは、カバラの神秘や医術、占星術…ついでに日本語まで(しかも標準語で)取得する。
いやぁ…さすがにそれはないわぁ…
と、考えた。
それで、父親が子供を預ける理由を考えた。
出稼ぎ…
そう、旅にいってる事にしたら、すんなりと話が続くじゃないか!
世は、まさに大航海時代だったのだ。
1517年にはエルナンデスがマヤを発見している。
西洋では、黄金伝説ブームだったに違いないのだ。
どちらにしても、ミシェルのとーちゃんの話なんて、史実に無いだろうし、私の読んだ本には『商人』としか書いてなかった。
どうせ、初めての連載だし、まっ、いいか
と、空想で話をつくる。
大切なのは史実でもノストラダムスでもない。
剛の間抜けなエピソードが輝く舞台なのだから。
剛は、今はどうあれ、先祖は偉い人だったらしい。
『奥さま』とか『旦那様』とか呼ばれていたらしいから、世が世なら、剛だって『お坊っちゃま』と呼ばれていたかもしれない。
血筋なら、ノストラダムスにひけをとらない…かもしれない。
うん、そうだ、そう言うことにしておこう。
剛の学生時代…
流行りはフォークだった。
「だって、かっこいいでしょ?アコースティックギター。
アコースティックって、電気を使わない楽器の事なんだよ。」
と、自慢げに語る剛を思い出す。
アコースティック…こんなものの意味なんて、知って何の特になるのかと思ったが、まさか、小説としてカネになる可能性があるなんて
いっすん先は分からない。すごい時代に生きてるわぁ…
私は、新しい世界、新しい文化にワクワクしながら物語を考えた。
そして、90年代のディスコミュージックに今でも執着している剛が、エレキギターを選ばなかったのはなぜなのか?不思議にも思った。
私は、今から500年前のアヴィニオンの酒屋に、吟遊詩人に憧れて、リュートを買ったノストラダムスを作り出した。
剛をモデルに作り出された私のミシェルは勉強なんてしてなかった。
当時、次男の貴族などは、騎士で吟遊詩人として旅をしていたと聞いたことがあった。
少し前まで教皇庁がおかれていたアヴィニオンは、巡礼者も多く、その中には旅のイケメン吟遊詩人も沢山来たろうし、ミシェルも憧れたに違いない。
ミュージシャンのテツヤを語る剛を思い出す。
「やっぱ、テツヤさんはカッコいいよね?
今は、あまり聞かないけど、活動を始めたら、また、流行ると思うんだ。」
剛は、テツヤの話をするときは、やけに自信に満ちていた。
いつになく饒舌な剛をのせて、私のミシェルも小太りの体にリュートを大切に抱えて、酒場でそれを見せびらかしていた。
「いいでしょ…これ、買っちゃったんだ!」
嬉しそうにスマホを見せびらかしながら、えびす顔をする剛の笑顔を思い出した。
あいつは、新し物好きで、仲間内で一番にスマホに買い換えた。
後先考えずに、つい、衝動買いをする剛の浅はかな性格を受け継いだミシェルもまた、なにも考えずに学費で送られたカネで、リュートを買った。
学生たちは、そのリュートを珍しそうに見つめて、曲を弾いてほしいと剛に懇願する。
が、剛は、それをはにかみながら断り、ひきたそうに見つめる学友に屈託なく貸すのだ。
「よかったら、ひいてみる?」
それは楽しい時間だった…
外は雨が激しくなってきたが、店の中は熱気と客の笑顔と歌声で輝いていた。
激しくドアが開かれて一人のおお男が登場するまでは。
「ミシェル!ミシェル・ノートルダム!!どこにいる?」
激しい怒声にミシェルは、椅子から転げて豚のように四つ足で逃げようと試みた。
が、二本足のおお男に襟首を捕まれ、ひっくり返されて怒鳴られる。
ミシェルは、断末魔の豚の悲鳴のように高く切ない声で男に言った。
「ぱ…パパン……」
そう、この人こそジョーム・ノートルダム。
ミシェルの父親だ。
長い航海から帰り、学校から、学費の督促状を受け取り、ミシェルを探していたのだ。
ミシェルの悪事は、その場の皆に知られることになり、ジョームは、そこでミシェルに判決を告げる。
「お前には失望した。2度と援助はしない。」
ジョームは低い声でそう言って、地獄に戻る悪魔のように颯爽とミシェルを振り向くこともなく去って行く。
ひっぱたかれて放心していたミシェルは、我にかえってそれを追う。
父親は馬車に乗り、ミシェルを見ることなく走り去る。
ミシェルは、本当に、これで終わりだと悟り、我を忘れて雨の中、馬車を追うが転んでしまう。
ぱ…パパーン………
雨に沈むミシェル……
こうして、ノストラダムスは放浪の旅へと出掛けることになるのだ。
「なんなの…その話。」
私の話を聞いて剛は、眉を潜めた。
「それ…面白いの?」
剛の畳み掛けるような問いに、当時は不敵な笑いで返答した私。
「面白いわよ。ここから、ミシェルの冒険が始まるんだ。アンタの面白エピソードを振り撒きながら。
それに…ノストラダムス、本当に、学費の未払いがあったみたいだから。」
今となっては…その未払いの話すら、本当か、創作なのかはわからないが、このとき考えたノストラダムスの冒険は楽しかった。
間抜けで善良なノストラダムスに、狡猾で、イケメンのイタリア人をつけようと思っていた。
フランソワ1世の統治の時代、イタリアは神聖ローマ皇帝とフランス王に狙われ、東欧もトルコの驚異に怯えていた。
そのイタリア人も名前を隠す必要があった。
だから、ミシェルの名前をかり、
ミシェルに従者の役をするように言いくるめた。
“お父さんに知られないように。”
この言葉に騙されるまま、ミシェルはローマに向かうはずだった……
評価がよければ……
が、評価の前に、私は、衝撃の事実を知ることになる。
ジョーム・ノートルダム。
ミシェルのお父さんは、海の男でもなければ、アヴィニオンから出ても居なかった。
じゃあ、なんで奥さんは実家にくらしてるのよぅぅ…
1話を投稿してしまっていた。
だから、混乱した。
ジョームについてなんて、考えたことはなかった。
ついでに、ミシェルの母方のジーさんは、ミシェルの誕生時期に亡くなってる可能性まで飛びだしてきた。
いきなりのピンチ。
混乱。参考資料が参考にならない腹立たしさ。
そんな私は古本屋で衝撃の再会をする。
本当かどうかは知らないがノストラダムス関連本を読んだ私の知識ではそうだった。
だから、そこからの数年は適当な話を作っても問題は無いはずだった。
1話完結の小さな物語を考えていた。
ミシェルの父さんは商人だ。
16世紀…大航海時代の商人。
ミシェルは、母親と祖父の屋敷で暮らしていた。
子供の頃、読んだ本には、祖父のユダヤの血族に伝わる…なんかチートな知識を伝授するためにそうした、とか書かれていた…気がする。
ここで、ミシェルは、カバラの神秘や医術、占星術…ついでに日本語まで(しかも標準語で)取得する。
いやぁ…さすがにそれはないわぁ…
と、考えた。
それで、父親が子供を預ける理由を考えた。
出稼ぎ…
そう、旅にいってる事にしたら、すんなりと話が続くじゃないか!
世は、まさに大航海時代だったのだ。
1517年にはエルナンデスがマヤを発見している。
西洋では、黄金伝説ブームだったに違いないのだ。
どちらにしても、ミシェルのとーちゃんの話なんて、史実に無いだろうし、私の読んだ本には『商人』としか書いてなかった。
どうせ、初めての連載だし、まっ、いいか
と、空想で話をつくる。
大切なのは史実でもノストラダムスでもない。
剛の間抜けなエピソードが輝く舞台なのだから。
剛は、今はどうあれ、先祖は偉い人だったらしい。
『奥さま』とか『旦那様』とか呼ばれていたらしいから、世が世なら、剛だって『お坊っちゃま』と呼ばれていたかもしれない。
血筋なら、ノストラダムスにひけをとらない…かもしれない。
うん、そうだ、そう言うことにしておこう。
剛の学生時代…
流行りはフォークだった。
「だって、かっこいいでしょ?アコースティックギター。
アコースティックって、電気を使わない楽器の事なんだよ。」
と、自慢げに語る剛を思い出す。
アコースティック…こんなものの意味なんて、知って何の特になるのかと思ったが、まさか、小説としてカネになる可能性があるなんて
いっすん先は分からない。すごい時代に生きてるわぁ…
私は、新しい世界、新しい文化にワクワクしながら物語を考えた。
そして、90年代のディスコミュージックに今でも執着している剛が、エレキギターを選ばなかったのはなぜなのか?不思議にも思った。
私は、今から500年前のアヴィニオンの酒屋に、吟遊詩人に憧れて、リュートを買ったノストラダムスを作り出した。
剛をモデルに作り出された私のミシェルは勉強なんてしてなかった。
当時、次男の貴族などは、騎士で吟遊詩人として旅をしていたと聞いたことがあった。
少し前まで教皇庁がおかれていたアヴィニオンは、巡礼者も多く、その中には旅のイケメン吟遊詩人も沢山来たろうし、ミシェルも憧れたに違いない。
ミュージシャンのテツヤを語る剛を思い出す。
「やっぱ、テツヤさんはカッコいいよね?
今は、あまり聞かないけど、活動を始めたら、また、流行ると思うんだ。」
剛は、テツヤの話をするときは、やけに自信に満ちていた。
いつになく饒舌な剛をのせて、私のミシェルも小太りの体にリュートを大切に抱えて、酒場でそれを見せびらかしていた。
「いいでしょ…これ、買っちゃったんだ!」
嬉しそうにスマホを見せびらかしながら、えびす顔をする剛の笑顔を思い出した。
あいつは、新し物好きで、仲間内で一番にスマホに買い換えた。
後先考えずに、つい、衝動買いをする剛の浅はかな性格を受け継いだミシェルもまた、なにも考えずに学費で送られたカネで、リュートを買った。
学生たちは、そのリュートを珍しそうに見つめて、曲を弾いてほしいと剛に懇願する。
が、剛は、それをはにかみながら断り、ひきたそうに見つめる学友に屈託なく貸すのだ。
「よかったら、ひいてみる?」
それは楽しい時間だった…
外は雨が激しくなってきたが、店の中は熱気と客の笑顔と歌声で輝いていた。
激しくドアが開かれて一人のおお男が登場するまでは。
「ミシェル!ミシェル・ノートルダム!!どこにいる?」
激しい怒声にミシェルは、椅子から転げて豚のように四つ足で逃げようと試みた。
が、二本足のおお男に襟首を捕まれ、ひっくり返されて怒鳴られる。
ミシェルは、断末魔の豚の悲鳴のように高く切ない声で男に言った。
「ぱ…パパン……」
そう、この人こそジョーム・ノートルダム。
ミシェルの父親だ。
長い航海から帰り、学校から、学費の督促状を受け取り、ミシェルを探していたのだ。
ミシェルの悪事は、その場の皆に知られることになり、ジョームは、そこでミシェルに判決を告げる。
「お前には失望した。2度と援助はしない。」
ジョームは低い声でそう言って、地獄に戻る悪魔のように颯爽とミシェルを振り向くこともなく去って行く。
ひっぱたかれて放心していたミシェルは、我にかえってそれを追う。
父親は馬車に乗り、ミシェルを見ることなく走り去る。
ミシェルは、本当に、これで終わりだと悟り、我を忘れて雨の中、馬車を追うが転んでしまう。
ぱ…パパーン………
雨に沈むミシェル……
こうして、ノストラダムスは放浪の旅へと出掛けることになるのだ。
「なんなの…その話。」
私の話を聞いて剛は、眉を潜めた。
「それ…面白いの?」
剛の畳み掛けるような問いに、当時は不敵な笑いで返答した私。
「面白いわよ。ここから、ミシェルの冒険が始まるんだ。アンタの面白エピソードを振り撒きながら。
それに…ノストラダムス、本当に、学費の未払いがあったみたいだから。」
今となっては…その未払いの話すら、本当か、創作なのかはわからないが、このとき考えたノストラダムスの冒険は楽しかった。
間抜けで善良なノストラダムスに、狡猾で、イケメンのイタリア人をつけようと思っていた。
フランソワ1世の統治の時代、イタリアは神聖ローマ皇帝とフランス王に狙われ、東欧もトルコの驚異に怯えていた。
そのイタリア人も名前を隠す必要があった。
だから、ミシェルの名前をかり、
ミシェルに従者の役をするように言いくるめた。
“お父さんに知られないように。”
この言葉に騙されるまま、ミシェルはローマに向かうはずだった……
評価がよければ……
が、評価の前に、私は、衝撃の事実を知ることになる。
ジョーム・ノートルダム。
ミシェルのお父さんは、海の男でもなければ、アヴィニオンから出ても居なかった。
じゃあ、なんで奥さんは実家にくらしてるのよぅぅ…
1話を投稿してしまっていた。
だから、混乱した。
ジョームについてなんて、考えたことはなかった。
ついでに、ミシェルの母方のジーさんは、ミシェルの誕生時期に亡くなってる可能性まで飛びだしてきた。
いきなりのピンチ。
混乱。参考資料が参考にならない腹立たしさ。
そんな私は古本屋で衝撃の再会をする。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
6年3組わたしのゆうしゃさま
はれはる
キャラ文芸
小学六年の夏
夏休みが終わり登校すると
クオラスメイトの少女が1人
この世から消えていた
ある事故をきっかけに彼女が亡くなる
一年前に時を遡った主人公
なぜ彼女は死んだのか
そして彼女を救うことは出来るのか?
これは小さな勇者と彼女の物語
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
青い祈り
速水静香
キャラ文芸
私は、真っ白な部屋で目覚めた。
自分が誰なのか、なぜここにいるのか、まるで何も思い出せない。
ただ、鏡に映る青い髪の少女――。
それが私だということだけは確かな事実だった。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる