7 / 12
田園
しおりを挟む
目が覚めると…花純が米をといでいた。
驚く私に花純は不安そうに言い訳をする。
ファミレスで無職の伯母に散財させない言い訳を!
全く…
車を運転しながら、イライラするこころをベートーベンが慰める。
『田園』
1808年、この曲を作曲したベートーベンは人生のどん底にいた。
「クラッシック…好きなの?」
花純に聞かれて苦笑する。
母の看病をしながら、私は自宅で何か、小遣い稼ぎを考えていた。
で、ネットに動画を投稿しようとか…今考えると…なんとも恥ずかしい事を思いつき、著作権の切れた作品を探したりしていたのだ。
「ま、まあね。私の学生時代は、音楽の授業であんまりクラッシックを扱わなくなったから。」
これは本当だ。こんなネット全盛期になるなら、著作権の切れた作品を教えたり、演奏させてくれたらよかったのに、と、あの時は思った。
まあ…当時の音楽の先生に言ったら、『教えました』と、返り討ちにされそうだけれど…ちがう曲の記憶しかない。
「凄いね…」
姪に誉められた(///∇///)
「別に…わりとクラッシックってかかってるのよ?あのガス屋のCMとか、」
「うん。あの面白いオジサンが出るやつでしょ?」
花純が食いついてきた!
「そうそう。この曲はベートーベンの『田園』って曲でね、音楽家のベートーベンが耳の病気で辛かった時に作曲したものなのよ。凄いわね。」
ふふっ…CDの解説の受け売りなんだけど。
「だから、好きなんだね。」
花純が尊敬の眼差しを向ける。
「いや、そういう訳じゃないわ…と、言うか、私はそんなに大変じゃないわよ?優雅にも…暮らしてはないけど。」
私は花純がまた、変な気を回してないか気になる。
花純は黙って頷くと曲を聴いている。
「この曲が好きな人は、わりと多いのよ?
例えば、宮沢賢治とか。」
ああ、これは音楽の先生のウンチクだった…
山田という名の男の先生で、オデコの形はベートーベンに似ていた。
それで、ベートーベンの話をするときは楽しげだったのを思い出す。
ああ、先生、確かに、クラッシックも教えて貰ってました(>_<)
もっと、素晴らしい曲を教えたいとボヤく山田先生の額の輝きを思い出す。
「宮沢賢治…」
「ねえ?まさか、宮沢賢治を知らないなんて言わないわよね?」
「『セロひきゴーシュ』を書いた人でしょ?」
花純は先生に答えるように少し、得意気に話す。
「そ、そう。あ、ついたわ。」
そうこうしていると、目的地についた。
そこはうちの畑と健太のうちの畑がある場所だ。
うちが畑が出来なくなると、変わりに手入れをしてくれていた。
この数年、健太には随分と世話になった。
畑を借りて貰い、野菜を貰っていた。時には肉も。
彼のお陰で、食料の心配はしなくて済んでいた。
「おばちゃーん!ああ、カスミちゃんだろ?
久しぶりだな!」
私達の姿を見て、健太の息子の颯太(そうた)が駆けてきた。
颯太は確か、小6。
やんちゃざがりで、畑仕事なんて、手伝いもしない奴なのに。
不信に思う私以上に花純が不安そうに私にしがみつく。
驚く私に花純は不安そうに言い訳をする。
ファミレスで無職の伯母に散財させない言い訳を!
全く…
車を運転しながら、イライラするこころをベートーベンが慰める。
『田園』
1808年、この曲を作曲したベートーベンは人生のどん底にいた。
「クラッシック…好きなの?」
花純に聞かれて苦笑する。
母の看病をしながら、私は自宅で何か、小遣い稼ぎを考えていた。
で、ネットに動画を投稿しようとか…今考えると…なんとも恥ずかしい事を思いつき、著作権の切れた作品を探したりしていたのだ。
「ま、まあね。私の学生時代は、音楽の授業であんまりクラッシックを扱わなくなったから。」
これは本当だ。こんなネット全盛期になるなら、著作権の切れた作品を教えたり、演奏させてくれたらよかったのに、と、あの時は思った。
まあ…当時の音楽の先生に言ったら、『教えました』と、返り討ちにされそうだけれど…ちがう曲の記憶しかない。
「凄いね…」
姪に誉められた(///∇///)
「別に…わりとクラッシックってかかってるのよ?あのガス屋のCMとか、」
「うん。あの面白いオジサンが出るやつでしょ?」
花純が食いついてきた!
「そうそう。この曲はベートーベンの『田園』って曲でね、音楽家のベートーベンが耳の病気で辛かった時に作曲したものなのよ。凄いわね。」
ふふっ…CDの解説の受け売りなんだけど。
「だから、好きなんだね。」
花純が尊敬の眼差しを向ける。
「いや、そういう訳じゃないわ…と、言うか、私はそんなに大変じゃないわよ?優雅にも…暮らしてはないけど。」
私は花純がまた、変な気を回してないか気になる。
花純は黙って頷くと曲を聴いている。
「この曲が好きな人は、わりと多いのよ?
例えば、宮沢賢治とか。」
ああ、これは音楽の先生のウンチクだった…
山田という名の男の先生で、オデコの形はベートーベンに似ていた。
それで、ベートーベンの話をするときは楽しげだったのを思い出す。
ああ、先生、確かに、クラッシックも教えて貰ってました(>_<)
もっと、素晴らしい曲を教えたいとボヤく山田先生の額の輝きを思い出す。
「宮沢賢治…」
「ねえ?まさか、宮沢賢治を知らないなんて言わないわよね?」
「『セロひきゴーシュ』を書いた人でしょ?」
花純は先生に答えるように少し、得意気に話す。
「そ、そう。あ、ついたわ。」
そうこうしていると、目的地についた。
そこはうちの畑と健太のうちの畑がある場所だ。
うちが畑が出来なくなると、変わりに手入れをしてくれていた。
この数年、健太には随分と世話になった。
畑を借りて貰い、野菜を貰っていた。時には肉も。
彼のお陰で、食料の心配はしなくて済んでいた。
「おばちゃーん!ああ、カスミちゃんだろ?
久しぶりだな!」
私達の姿を見て、健太の息子の颯太(そうた)が駆けてきた。
颯太は確か、小6。
やんちゃざがりで、畑仕事なんて、手伝いもしない奴なのに。
不信に思う私以上に花純が不安そうに私にしがみつく。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
【完結】返してください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと我慢をしてきた。
私が愛されていない事は感じていた。
だけど、信じたくなかった。
いつかは私を見てくれると思っていた。
妹は私から全てを奪って行った。
なにもかも、、、、信じていたあの人まで、、、
母から信じられない事実を告げられ、遂に私は家から追い出された。
もういい。
もう諦めた。
貴方達は私の家族じゃない。
私が相応しくないとしても、大事な物を取り返したい。
だから、、、、
私に全てを、、、
返してください。
私と継母の極めて平凡な日常
当麻月菜
ライト文芸
ある日突然、父が再婚した。そして再婚後、たった三ヶ月で失踪した。
残されたのは私、橋坂由依(高校二年生)と、継母の琴子さん(32歳のキャリアウーマン)の二人。
「ああ、この人も出て行くんだろうな。私にどれだけ自分が不幸かをぶちまけて」
そう思って覚悟もしたけれど、彼女は出て行かなかった。
そうして始まった継母と私の二人だけの日々は、とても淡々としていながら酷く穏やかで、極めて平凡なものでした。
※他のサイトにも重複投稿しています。
さよならまでの六ヶ月
おてんば松尾
恋愛
余命半年の妻は、不倫をしている夫と最後まで添い遂げるつもりだった……【小春】
小春は人の寿命が分かる能力を持っている。
ある日突然自分に残された寿命があと半年だということを知る。
自分の家が社家で、神主として跡を継がなければならない小春。
そんな小春のことを好きになってくれた夫は浮気をしている。
残された半年を穏やかに生きたいと思う小春……
他サイトでも公開中
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる