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ちょっと一服 〜作者のぼやき〜12
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大丈夫か?私。
お嬢様が積極的にレクスに迫る。
レクスは、見られているから気が気ではない。
まさか、少女の前でクロスボーでレクスを射ぬいたりしないだろうけれど、少女がレクスを嫌がれば、その時は確実に射殺される。
レクスは少し困りながら、軽く自らの唇を少女の唇に触れさせた。
それだけでも、まだ、動機が激しくなり、平静でいるのが大変なのだが、少女はそれでは許してはくれないようだ。
「ダメよ、そんな、お父様のするようなキスでは!夫婦になったのですもの、恋人の口づけをしてほしいの。」
ああっ。恥ずかしい(///∇///)
でも、昭和な言い回しが好きだわ。
最近の少女漫画も発展的で、わたしゃ、ついて行けないし、これくらいがいいや。
なんて、バカな事を作者の私が考えて悶絶するのと違い、少女の願いは切実だ。
レクスは明日出航する。
そうしたら、もう、何年も帰ってこない。
20年も帰らずに、現地で愛人を作ったベネチア商人の話とか読んだ気がするし、
少女からしたら、この夜が最初で最後の夜なのだ。
恥ずかしがってなどいられない。
まるで、羽化した蝶が生き急ぐように少女は、よく分からない不安に心を捕まれてレクスを見つめる。
が、レクスだって、いっぱい、いっぱいだ。
少女の親父には睨まれてるし、クロスボーのおっさんには観察されるし、
大好きな少女の温もりをはじめて、肌で感じて頭がどうにかなりそうだ。
でも、純粋な瞳で自分を真っ直ぐに見つめる少女に、愛しさが込み上げないわけはない。
日本では、月は愛でるものだけれど、
西洋では、月は人を狂わすもの。
月の光のなかで、白く輝く美しい少女の肌や、自分を求める瞳を見ていると、もう、クロスボーで射抜かれてもいい気がしてきた。
それくらい、彼女は綺麗で、泣きたくなるくらいレクスは彼女が好きなんだから。
レクスは理性を忘れて、少女を強く抱き締めると、その髪の香りで胸を満たして、少女の耳元で囁いた。
「……そんな事を無闇に言ってはいけません。
きっと、私は自分の気持ちが止められず、思いきり抱き締めて、貴女を壊してしまいそうです。」
少し腕に力を入れただけで壊れそうな細い体を再確認して、レクスは少し力を抜いた。
レクスの心臓のドキドキを彼の胸のなかで聞きながら、少し困ったように目を細めて、少女は頬を赤くしながら頷いた。
って…あんた、ま、不味くないかい?
調子にのって、なんだか書いちゃってるけど、私は児童小説を書きたいんだよ。
雲行きの怪しさに、私はふと、クロスボーのおっさんの所へ行ってみる。
どちらにしても、ラブシーンとか、あんまり得意じゃないし。
と、言うか、私だってこんな公衆の面前で披露したことはないぞ。ラブシーンの文章なんて、多分。
まあ、私の話のパターンからして、そろそろクロスボーが飛んできそうな…感じはないなぁ。
まあ、いくら雇われたからって、好きあって新婚初夜を迎えた夫婦のファーストキスをクロスボーで邪魔するなんて、無粋なことをヴェネチアっ子がするとは思えないし。
ヴェネチア人の知り合いはいないけど。
向かいの部屋では、一人の男がレクス達二人の様子を見つめていた。
で、いよいよ…って時に立ち上がる。
げっ、まさか、アンタΣ( ̄□ ̄)!
と、男を睨んでいると、それに気がついた訳でも無かろうが、私の…横のマリア様の絵を見て、
「心配しなさんなマリア様、俺の使える弦(ゆみ)は、一つじゃありませんからね。」
と、微笑み、ベッドの横に立て掛けていた竪琴を手に取ると、窓辺に明かりを灯し、それは美しく張りのあるテノールを響かせて歌い出した。
ああっ。ヴェネチア。愛とゴンドラの流れる水の都。
一般人ではあるけれど、このオッサンもヴェネチア人。昔はイケメン。恋のハンター。
若い頃、ゴンドラの上でならした美しい美声は今でも健在なのである。
お嬢様が積極的にレクスに迫る。
レクスは、見られているから気が気ではない。
まさか、少女の前でクロスボーでレクスを射ぬいたりしないだろうけれど、少女がレクスを嫌がれば、その時は確実に射殺される。
レクスは少し困りながら、軽く自らの唇を少女の唇に触れさせた。
それだけでも、まだ、動機が激しくなり、平静でいるのが大変なのだが、少女はそれでは許してはくれないようだ。
「ダメよ、そんな、お父様のするようなキスでは!夫婦になったのですもの、恋人の口づけをしてほしいの。」
ああっ。恥ずかしい(///∇///)
でも、昭和な言い回しが好きだわ。
最近の少女漫画も発展的で、わたしゃ、ついて行けないし、これくらいがいいや。
なんて、バカな事を作者の私が考えて悶絶するのと違い、少女の願いは切実だ。
レクスは明日出航する。
そうしたら、もう、何年も帰ってこない。
20年も帰らずに、現地で愛人を作ったベネチア商人の話とか読んだ気がするし、
少女からしたら、この夜が最初で最後の夜なのだ。
恥ずかしがってなどいられない。
まるで、羽化した蝶が生き急ぐように少女は、よく分からない不安に心を捕まれてレクスを見つめる。
が、レクスだって、いっぱい、いっぱいだ。
少女の親父には睨まれてるし、クロスボーのおっさんには観察されるし、
大好きな少女の温もりをはじめて、肌で感じて頭がどうにかなりそうだ。
でも、純粋な瞳で自分を真っ直ぐに見つめる少女に、愛しさが込み上げないわけはない。
日本では、月は愛でるものだけれど、
西洋では、月は人を狂わすもの。
月の光のなかで、白く輝く美しい少女の肌や、自分を求める瞳を見ていると、もう、クロスボーで射抜かれてもいい気がしてきた。
それくらい、彼女は綺麗で、泣きたくなるくらいレクスは彼女が好きなんだから。
レクスは理性を忘れて、少女を強く抱き締めると、その髪の香りで胸を満たして、少女の耳元で囁いた。
「……そんな事を無闇に言ってはいけません。
きっと、私は自分の気持ちが止められず、思いきり抱き締めて、貴女を壊してしまいそうです。」
少し腕に力を入れただけで壊れそうな細い体を再確認して、レクスは少し力を抜いた。
レクスの心臓のドキドキを彼の胸のなかで聞きながら、少し困ったように目を細めて、少女は頬を赤くしながら頷いた。
って…あんた、ま、不味くないかい?
調子にのって、なんだか書いちゃってるけど、私は児童小説を書きたいんだよ。
雲行きの怪しさに、私はふと、クロスボーのおっさんの所へ行ってみる。
どちらにしても、ラブシーンとか、あんまり得意じゃないし。
と、言うか、私だってこんな公衆の面前で披露したことはないぞ。ラブシーンの文章なんて、多分。
まあ、私の話のパターンからして、そろそろクロスボーが飛んできそうな…感じはないなぁ。
まあ、いくら雇われたからって、好きあって新婚初夜を迎えた夫婦のファーストキスをクロスボーで邪魔するなんて、無粋なことをヴェネチアっ子がするとは思えないし。
ヴェネチア人の知り合いはいないけど。
向かいの部屋では、一人の男がレクス達二人の様子を見つめていた。
で、いよいよ…って時に立ち上がる。
げっ、まさか、アンタΣ( ̄□ ̄)!
と、男を睨んでいると、それに気がついた訳でも無かろうが、私の…横のマリア様の絵を見て、
「心配しなさんなマリア様、俺の使える弦(ゆみ)は、一つじゃありませんからね。」
と、微笑み、ベッドの横に立て掛けていた竪琴を手に取ると、窓辺に明かりを灯し、それは美しく張りのあるテノールを響かせて歌い出した。
ああっ。ヴェネチア。愛とゴンドラの流れる水の都。
一般人ではあるけれど、このオッサンもヴェネチア人。昔はイケメン。恋のハンター。
若い頃、ゴンドラの上でならした美しい美声は今でも健在なのである。
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