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懺悔
黒魔術
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プレアティは鼻唄を歌う。これから死刑になる人物とは思えないほど明るい歌。
「悪魔…カルロ様は見た事がありますか?」
プレアティは楽しそうに質問する。
彼の視線が、ロザリオを握る自分の手元に注がれている事に気がついてカルロは手を膝へ置いた。
「いいえ。私が見たものは人間です。イエスの愛を信じる事の出来なくなった憐れな人間しか見た事がありません。」
逆に言えば、イエスの愛を信じる事が出来るなら、救われない魂など無い。
カルロは自分の言葉に気持ちを含ませる。
このプレアティに残された懺悔の時は残り少ない。
プレアティは、カルロの顔の表情を観察するようにしばらく彼を見つめていた。
「確かに、あの錬金術師の魂の売り先はサタンではなく、ジャン5世。悪魔ではなくイエスを売ったユダのような欲望に素直な男。」
プレアティの言葉に、カルロは軽く唇を噛む。
彼がブルターニュの人間と関わりがあったのは確かなようだ。
彼の言うジャン5世とは、ブルターニュ公ジャン5世の事だろう。
公は、手荒な方法でモンモランシー男爵…ジルから土地や財産を奪おうと策略した。
あの……男爵の処刑すら、彼らの陰謀だと口にする者もいる。
カルロは、プレアティの懺悔の行方に不安を感じはじめた。
「悪魔…カルロ様は見た事がありますか?」
プレアティは楽しそうに質問する。
彼の視線が、ロザリオを握る自分の手元に注がれている事に気がついてカルロは手を膝へ置いた。
「いいえ。私が見たものは人間です。イエスの愛を信じる事の出来なくなった憐れな人間しか見た事がありません。」
逆に言えば、イエスの愛を信じる事が出来るなら、救われない魂など無い。
カルロは自分の言葉に気持ちを含ませる。
このプレアティに残された懺悔の時は残り少ない。
プレアティは、カルロの顔の表情を観察するようにしばらく彼を見つめていた。
「確かに、あの錬金術師の魂の売り先はサタンではなく、ジャン5世。悪魔ではなくイエスを売ったユダのような欲望に素直な男。」
プレアティの言葉に、カルロは軽く唇を噛む。
彼がブルターニュの人間と関わりがあったのは確かなようだ。
彼の言うジャン5世とは、ブルターニュ公ジャン5世の事だろう。
公は、手荒な方法でモンモランシー男爵…ジルから土地や財産を奪おうと策略した。
あの……男爵の処刑すら、彼らの陰謀だと口にする者もいる。
カルロは、プレアティの懺悔の行方に不安を感じはじめた。
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