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セカンドシーズン
Show By? しょーばい
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その瞬間、スマホを持つ手にバイブレーションが走ったΣ( ̄□ ̄)!
電話がきたのだ。
私は、発信主が奈津子と知って動悸に苦しみながら震えるスマホを通話モードにする。
スマホは途端に沈黙したが、奈津子の声を耳元で聞いて、私の動悸はレベル3くらい上昇する。
「なっ、なによ。」
開口一番、私はよくわからない文句を放つ。
その尖った感じを察知して、奈津子が申し訳なさそうに小声になった。
「ごめん、旦那さんと一緒だった?」
(///∇///)!えっ…
私は、その瞬間、赤面するのを感じながら、奈津子が旦那とイチャつく私を想像したのを感じた。
「ち、違うわっ。じゃなく、旦那はまだ帰ってないわ。」
と、話ながら、何故か私は立ち上がり、自分の部屋へと移動を始める。
中学時代から、友達とのプライベートな話をするときの癖である。
あの頃と違い、この家に、現在、私一人しかいないとしても、落ち着かないのだ。
「そうなの?なーんだ。良かった。で、小説の感想なんだけどさ。」
奈津子がリラックスするのを感じて、私も自室の戸を閉めて気を許す。
「小説?あれ、小説じゃないでしょっ!?
もうっ、あれじゃ、すぐに身ばれしちゃうでしょ?」
私は、さっきまで読んでいた小説もどきを思いだし、
奈津子の間接キスを思いだし、一人で悶絶する。
「身ばれ…神経質だなぁ…大丈夫だよ。
ほら、ちゃんと、『フィクションです』って書いてあるでしょ?」
奈津子はあっけらかんと笑って言う。
「はぁ?そんなんで皆、納得したら、Web小説のパクリ問題なんかでネット掲示板が炎上しないわよっ。」
私は、アイドルの瞳に写る景色から住所を特定すると言う、謎の男達を想像して恐怖する。
こんな田舎で、剛の話がバレたりしたら、いもずる式に私たちにも飛び火する。
ネットも怖いが、田舎のネットワークはもっと怖い。
「パクリなんてしてないから大丈夫だよ。
みんな、剛の馬鹿話なんだしさ。」
と、奈津子はわははと笑う。
「『わはは』じゃないわよっ。だから、それが怖いんだって!
身ばれしたら、近所の人にも色々と知られちゃうし、剛だって困るんじゃないの?」
私は不安になる。
そんな私の雰囲気をスマホごしに感じながら、奈津子は寂しそうに『ふっ』と笑いをこぼす。
「スミレちゃん、あなた、ネットに夢を見すぎだわ。
ネットで炎上するなんて、素人がそうそう出来るもんじゃ、ないんだから。
例えるなら、火おこしよ。」
「火おこし?」
私は、いきなり降ってきた例えばなしについて行けずに聞き返す。
「そう、火おこし。ほら、中二の夏にスミレのおじさんが科学館につれていってくれたじゃん。
で、皆で弓つかって火おこししたじゃない?」
奈津子の説明に、夏休みにおじさんの車で出掛けた事を思い出した。
そこで、板に炭を乗せて摩擦で火をおこす体験をしたことを思い出した。
奈津子は弓と言ったけれど、そんな感じの紐のついた弓状のものに木の棒をつけて必死に上下に動かして摩擦で火をおこそうとした事を思い出した。
あれは辛かった…
結局、15分頑張って、点火できずに職員のお兄さんがやって来て、何かに取り憑かれたような高速の上下運動を繰り返して一瞬、赤い光を見たのだった。
「そんな事、あったわね。」
私は、遠い昔に気持ちを引き戻される。
奈津子と二人で近所の科学館に行った私たちを、ハワイに連れていって貰った綾子がヤキモチを妬いていたっけ。
「そうよ。理論と実践は別物よ。
摩擦熱で火をおこせるけれど、実際の火を手にするには、あのお兄さんのような、激しい体力と信念が必要なのよ。
それは、ネットだって同じなのよ。
スミレちゃんが考えるほど、ネットの向こうの人達は私達の事なんて関心ないんだから。」
奈津子は、何かを思い出したような、ため息をつく。
そう、奈津子は婦人会の活動で観光ブログを書いたりしていた。
地震とか色々あって、それはうやむやになったけれど、閲覧数が稼げずに大変だったらしい。
奈津子は、その時の事を思い出しているのだろう。
「でも…種火を甘くみたら、大火事になることだってあるんだからね。
たまたま奈津子の所の区長さんが小説をみて、奈津子の事だって分かったら…嫌だわ。」
私は、缶ジュースのやり取りを思い出す。
剛も奈津子も独身だ。
中年の独身と言うことで、へんな噂になりやすいのだから心配なのだ。
そんな重い気持ちをぶっ飛ばすように、奈津子の笑い声が部屋に響く。
「くっ…区長さん……はははっ。」
そうだった…奈津子のところの区長さんは、ネットとか、するタイプでは無かった。
私は、例えばなしに失敗したことを感じながら、しばらく、奈津子の笑いが収まるのを待った。
あれから、また、新しい春が来たんだわ…(T^T)
私は、懐かしく去年の夏を思い出していた。
あれから、何も成長はしてないけど…
奈津子のために作品を書きたいと思う。
それが、奈津子の願いなんだから。
電話がきたのだ。
私は、発信主が奈津子と知って動悸に苦しみながら震えるスマホを通話モードにする。
スマホは途端に沈黙したが、奈津子の声を耳元で聞いて、私の動悸はレベル3くらい上昇する。
「なっ、なによ。」
開口一番、私はよくわからない文句を放つ。
その尖った感じを察知して、奈津子が申し訳なさそうに小声になった。
「ごめん、旦那さんと一緒だった?」
(///∇///)!えっ…
私は、その瞬間、赤面するのを感じながら、奈津子が旦那とイチャつく私を想像したのを感じた。
「ち、違うわっ。じゃなく、旦那はまだ帰ってないわ。」
と、話ながら、何故か私は立ち上がり、自分の部屋へと移動を始める。
中学時代から、友達とのプライベートな話をするときの癖である。
あの頃と違い、この家に、現在、私一人しかいないとしても、落ち着かないのだ。
「そうなの?なーんだ。良かった。で、小説の感想なんだけどさ。」
奈津子がリラックスするのを感じて、私も自室の戸を閉めて気を許す。
「小説?あれ、小説じゃないでしょっ!?
もうっ、あれじゃ、すぐに身ばれしちゃうでしょ?」
私は、さっきまで読んでいた小説もどきを思いだし、
奈津子の間接キスを思いだし、一人で悶絶する。
「身ばれ…神経質だなぁ…大丈夫だよ。
ほら、ちゃんと、『フィクションです』って書いてあるでしょ?」
奈津子はあっけらかんと笑って言う。
「はぁ?そんなんで皆、納得したら、Web小説のパクリ問題なんかでネット掲示板が炎上しないわよっ。」
私は、アイドルの瞳に写る景色から住所を特定すると言う、謎の男達を想像して恐怖する。
こんな田舎で、剛の話がバレたりしたら、いもずる式に私たちにも飛び火する。
ネットも怖いが、田舎のネットワークはもっと怖い。
「パクリなんてしてないから大丈夫だよ。
みんな、剛の馬鹿話なんだしさ。」
と、奈津子はわははと笑う。
「『わはは』じゃないわよっ。だから、それが怖いんだって!
身ばれしたら、近所の人にも色々と知られちゃうし、剛だって困るんじゃないの?」
私は不安になる。
そんな私の雰囲気をスマホごしに感じながら、奈津子は寂しそうに『ふっ』と笑いをこぼす。
「スミレちゃん、あなた、ネットに夢を見すぎだわ。
ネットで炎上するなんて、素人がそうそう出来るもんじゃ、ないんだから。
例えるなら、火おこしよ。」
「火おこし?」
私は、いきなり降ってきた例えばなしについて行けずに聞き返す。
「そう、火おこし。ほら、中二の夏にスミレのおじさんが科学館につれていってくれたじゃん。
で、皆で弓つかって火おこししたじゃない?」
奈津子の説明に、夏休みにおじさんの車で出掛けた事を思い出した。
そこで、板に炭を乗せて摩擦で火をおこす体験をしたことを思い出した。
奈津子は弓と言ったけれど、そんな感じの紐のついた弓状のものに木の棒をつけて必死に上下に動かして摩擦で火をおこそうとした事を思い出した。
あれは辛かった…
結局、15分頑張って、点火できずに職員のお兄さんがやって来て、何かに取り憑かれたような高速の上下運動を繰り返して一瞬、赤い光を見たのだった。
「そんな事、あったわね。」
私は、遠い昔に気持ちを引き戻される。
奈津子と二人で近所の科学館に行った私たちを、ハワイに連れていって貰った綾子がヤキモチを妬いていたっけ。
「そうよ。理論と実践は別物よ。
摩擦熱で火をおこせるけれど、実際の火を手にするには、あのお兄さんのような、激しい体力と信念が必要なのよ。
それは、ネットだって同じなのよ。
スミレちゃんが考えるほど、ネットの向こうの人達は私達の事なんて関心ないんだから。」
奈津子は、何かを思い出したような、ため息をつく。
そう、奈津子は婦人会の活動で観光ブログを書いたりしていた。
地震とか色々あって、それはうやむやになったけれど、閲覧数が稼げずに大変だったらしい。
奈津子は、その時の事を思い出しているのだろう。
「でも…種火を甘くみたら、大火事になることだってあるんだからね。
たまたま奈津子の所の区長さんが小説をみて、奈津子の事だって分かったら…嫌だわ。」
私は、缶ジュースのやり取りを思い出す。
剛も奈津子も独身だ。
中年の独身と言うことで、へんな噂になりやすいのだから心配なのだ。
そんな重い気持ちをぶっ飛ばすように、奈津子の笑い声が部屋に響く。
「くっ…区長さん……はははっ。」
そうだった…奈津子のところの区長さんは、ネットとか、するタイプでは無かった。
私は、例えばなしに失敗したことを感じながら、しばらく、奈津子の笑いが収まるのを待った。
あれから、また、新しい春が来たんだわ…(T^T)
私は、懐かしく去年の夏を思い出していた。
あれから、何も成長はしてないけど…
奈津子のために作品を書きたいと思う。
それが、奈津子の願いなんだから。
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