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復活の大魔法使い

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朝、いつもより豪華な朝食を全て平らげ
クロードにいってきますと言うと
ティアリアは一人で治療院に向かった



治療院の処置室でティアリアは目を覚ます

今日は治療の最終日でロイドを訪ねていた

治療をされている最中眠くなってしまい気づいたら体は軽くスッキリとしていた

魔法回路は元通りになり
魔力も体に行き渡り、前以上に魔力量が保持できるようになった気がする

体力も気力も問題なし

「完全復活!」

その言葉と同時に体を大きく
元の大きさに戻してみる

以前は痩せてこけていた頬も
目下のクマもなく

健康的な大魔法使いが復活した

「ティア、すごい美人だったんだね」

ロイドは感心している

「これは、クロードの美味しいごはんのおかげね!」

部屋に備わっていた鏡を見る
髪も肌もツヤツヤである

「元がいいのに不摂生で引きこもりだったからでしょ」

ロイドのツッコミは無視して、お礼を言い

ティアリアは服を着替え城に向かった
治療費はトラビス持ちだという

ラッキーだ

城の門番はティアリアが名乗ると
ウットリと見惚れていたが
姿勢を正し丁寧に城内へ招き入れた

城内を歩くたび、ざわつく周りを不思議に思いながら塔への階段を登る

城内の掃除をしていた侍女はティアリアの歩く姿をウットリ見つめていた

「ね、あの方はどなた?」
城の侍女は先輩の侍女に話しかけた

「さぁ、見たことない方ね」

無理もない

引きこもりの大魔法使いは不健康で人前に姿を現さなかったため
ほとんどの人間に知られていない

移動も面倒で魔法で飛んでいたし
廊下など歩かなかった

小さくなって動き回るようになると
歩くのが好きになった 


騎士達の視線も見たことのない美女に釘付けになり
その姿が見えなくなると
いっきにざわつきだした

あの美人は誰だと

「おいクロード、さっきの美女!昨日ここに来た女の子に似てない?」
同僚のセノビオがクロードを揺さぶる

(めざといな)

確かに、小さい姿のティアリアが成長したらああなるだろうと思うほど
幼女のティアリアも美しく可愛らしかった

クロードは茶髪の騎士セノビオから目を逸らすと塔を見た

「もう魔力は戻ったのか」

一瞬だけど残念そうな表情を見せたクロードに
セノビオはアレ?っと思ったが
次の瞬間はすでにいつもの無表情だった




塔の扉の自室の前で魔力を解放すると
魔法陣が発動する
そこへ切った指から流れた血が動きだし
解錠の魔法陣を描いた

最上階の空間が光輝き
パキンと音が響く

「開いた!」

ティアリアはドアノブに手をかける
キィッと古めかしい音がして扉が開いた

「1ヶ月ぶりの我が家」

しかし、懐かしい感じはあまりしない

「、、、、。」

むしろ乱雑な仕事場は道具や書類だらけで足の踏み場もない

「よくこんなところで暮らしていたな」

クロードの家があまりにも心地よく、もはやあっちが家で早く帰りたい気分だった

ティアリアは魔法で部屋を片付けていく

あっという間に整理された部屋はがらんとだだっ広い

コツコツと奥へ進み
壁に擬装した大きな金庫室の扉をあける

いろいろ入っている中から必要な物を空間魔法へ移すと

クローゼットから黒いローブを取り出してソレを羽織り

ティアリアは部屋を出た

扉はまた、魔力で閉じた



コンコン

ハイゼルが扉を開けると
黒いローブの女性が被っていたフードを下げ姿を表す

「ティア先輩!元の姿に戻ったんですね」

ハイゼルは喜び、ティアリアを招き入れ、トラビスを呼ぶ

「殿下!ティア先輩が来ましたよ」

「昨日も来ていただろう」

奥の部屋からトラビスが来ると
ティアリアはヨッと軽い感じで右手を上げた

その姿にトラビスは唖然とした

そこには美しい大魔法使いがいた

痩せていた、クマのある疲れきった顔をして、いつも分厚い魔法書なんか読んでいた残念美人ではなく

まごうことなき
本当の美女が

「ティアなのか?」

「ほかの誰にみえるのさ」

ティアリアは応接室のソファに腰掛けるとニコリと微笑む

「戻ったぞ」

「良かったな、今日から塔に戻るのか?」

「うん、仕事も溜まってるしね」

「そうか」

トラビスはホッとした
(こんな姿でまだクロードと住むとか言わないでよかった)

「とりあえず、トラビスには迷惑かけたから復帰の挨拶にきたよ」

「そうか、よく元気に戻ってくれた」

大魔法使いティアリアがが不在の間、アルビスのお抱え魔法使いがティアリアの部屋に入ろうとしたが、強固な封印を解くことができず、あえなく諦めたと
ハイゼルから報告があった

ティアリアの実力を知らない魔力の多い魔法使いは大魔法使いの座を狙う者もいるという

王である父は何故かティアリアを気に入っているから、好きにさせてやれと言ってくれていた

「とりあえず、溜まった仕事を片付けないとだし、また、しばらく塔に籠るよ」

「わかった、しかし、ちゃんと食事を取れよ」

「はいはい」

そんな話をしていると、ハイゼルが紅茶と菓子を並べていく

「あ、先輩!前に助手をしていた女性だけど」

「ああ、ベッキーね、呼び戻してくれた?」

「それが、、休んでいる間に身籠っていることがわかって退職するそうです」

「え!」
ハイゼルの報告に驚いているとトラビスが聞いてくる
「助手を募集するか?」

(いまさら知らない人に気を使うのは嫌だな)

「いい、最近は一人でやってたし、食事は城の食堂で摂るから」

「そうか?」

お茶をいただき、ハイゼルに向く

「ベッキーと連絡を取ってくれてありがとう」

「いえ、先輩の頼みは最優先ですから」

トラビスは冷めた目でハイゼルを見やる

「ハイゼルの優先第一はトラビスでしょ」

「殿下の秘書官はやめて、ティア先輩の助手についてもいいですよ」

ハイゼルの有能さはわかっていたためティアリアは本気で迷う

「いや、迷うなよハイゼルも冗談はよせ、お前がいないと仕事が捌けないだろ



やっぱりだめか

ティアリアは本気でガッカリして、塔に戻って行った



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